すみません。今週は連載をお休みさせてください。
2週連続の見学会 ・ お引渡し準備 と プランニング作業が 重なっており、展示場物語まで作業が出来ませんでした(><)
GW中に数話まとめて書いておきます(--;)
第19話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その8- ついに出た! 暖房負荷=5.0KWh/㎡
SEさんのところに行って燃費ナビという計算ソフトでの計算結果で「パッシブハウス認定には程遠い」と判断された私は、帰りの車中で諦める気持ちが70%・・何とかならないものかと諦めない気持ちが30%・・という状態だったと思います。
そんな悶々とした頭の中に、最後のあがきでしょうか・・。ふと・・最後の手段が浮かんできました。
その最後の手段とは・・、
設計の平屋ゾーンを切り捨てて、総2階ゾーンだけで申請するというものです。
下図のようなイメージです。
間仕切り壁はともかく、上のような図面のうち右側の平屋部分を切り落とすのです。
本当の設計では平屋の部分も残りますが、玄関ホールから総2階部分に行くドアのラインのところで断熱的に切って、総2階で1つの断熱ゾーン(赤い部分)にするという考え方です。
以前にクーラーさんから「こういう手法もありますよ」・・とアドバイスされていたのですが、玄関ホールからリビングに行くときに、いちいち断熱ドアを開け閉めするのは不便ですので、話をまじめに考えていませんでした。
しかし、ここまできたら最後の手段と思い、ついに大ナタを振り落して総2階の建物と図面を変更してQ-PEXで計算してみようと思ったのでした。
ついでに、最高の計算結果を見たかったので、南面以外の窓を全部無しにしてみました。
つまりは、窓は南だけ・・です。
半分やけくそになっている感もあり・・何のために家を作ろうとしているのか、根本的な家づくりの目的が見えなくなっていく感じを覚えました・・。
Q-PEXの計算結果・・
暖房負荷=5.0Kwh/㎡!
5.0Kwh/㎡・・!
ついに 5.0Kw という数値をたたき出しました!!
私はしばし呆然としました。
ようやく追い求めていた数値である 暖房負荷5.0Kwh/㎡ という数値を出せた思いと・・、
5.0Kwh/㎡ってこんなレベルを指すの?・・という思いと・・
もし、これならパッシブハウス認定クリアしますと言われても、
こんな家・・とても住みたいとは思えない家だなァ・・という思いと・・
暮らしやすい家にするために努力して設計しているのに、
認定を取るためには東西北の窓を全部無くした・・住みたくもないような家になるの・・?
なに・・この認定レベル?・・という、パッシブハウス認定のレベルに対する疑問と・・
とにかく、ようやく出た暖房負荷5.0Kwh/㎡ の数値によって、今までにないくらいのいろいろな思いが頭の中をぐるぐると巡りまわっていました。
しかし、こんなに苦労して出した5.0Kwの数値です。しかも、Q-PEXという計算ソフト上での数値ですので、本場ドイツの熱計算ソフト(PHPP)との計算結果も違ってくるので、とりあえずこの資料をクーラーさんにメールで送ることにしました。
私「ようやく5.0Kwh/㎡を出せましたが、南面以外の窓を全部無くしてたどり着きました。このままの仕様ですと、通風は悪い、夏は死ぬように暑い、北の部屋は暗い・・など、住みたくない家になります。
パッシブハウス認定を取得しながら東西北面に設置できる窓の面積を計算してほしいのですが・・」というお願いもしました。
そこから・・2週間ほどの日数が経ちました。
なかなか返事が来ない状況下で、実は基礎着工も迫っていました。
地鎮祭は3月に終わらせておりました。
パッシブハウス認定のための仕様調整と、そのほかもろもろの施工実験するため鎌田先生とも並行で研究の話を進めており、着工のタイムリミットも設定しながらの図面調整だったのです。
着工するにあたり、基礎の新しい施工方法の計画図も完成していました。
クーラーさんからなかなか返事が来ないが、とりあえず基礎だけは着工してしまおう。
その間に建物の窓仕様などを調整すればいいや・・と、ギリギリの判断を迫られていたときでした。
クーラーさんからようやく国際電話が入りました。
そして、クーラーさんからの熱計算ソフトPHPPによる計算結果と
パッシブハウス認定の可否についての結果が伝えられました・・。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第18話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その7- 驚く計算結果
苦労に苦労を重ねた末・・、正攻法で暖房負荷を8.2KWh/㎡まで絞り込んだ私は、「燃費ナビ」というソフトを使えるSEさんの会社を朝一で訪問しました。
SEさんも、「随分すごい断熱厚やサッシ仕様ですね」・・と言ってくれて、わくわくしながら2人で数時間かけて燃費ナビに情報を入力していきました。
入力に時間は掛かりましたが期待しながらの作業だったので苦にならない思いでした。
そして昼頃・・ついに計算結果が!。
計算結果・・
「この建物はパッシブハウス認定に・・」
・・・
「なりません」
...(・・;)
私「SEさん、あとどれくらい認定まで開きがあるんですか?
何%くらい絞れば良いとかわかりますか?」
SEさん「ん~・・ちょっと途方もないくらい遠いですね・・」
SEさん「あと40%近く暖房エネルギーを減らさないとならない感じです・・」
私「はァ!?(@@;)」
私「屋根480㎜・・壁350㎜・・サッシも通常以上に高性能にして・・
敷地周辺に日射を遮るものが無い、これ以上ないと思われる最高の環境で・・、
パッシブハウス認定には程遠いという計算結果なんですか!?」
私 「ここまでの仕様で、『あと少し頑張れば認定に届きます』・・ならばわかりますが・・『程遠い』・・は、さすがにおかしくないですかねぇ・・?」
その後、SEさんも「燃費ナビ」を使える他の人に電話をして相談してみましたが、
総2階~総3階でないとかなり難しい認定だという事がわかってきました。
私「ん~・・。総2階でしか取れないような認定レベルならさすがに諦めようかな・・。
家づくりが面白くなくなってしまう思いがしてきますよ」
SEさん「せっかく苦労して頑張ったのに、こんなに認定までの差があるのであればこれ以上無理しなくてもいいかもしれませんね・・」
私は、帰りの車中・・ふぬけ状態になりました。
今までノイローゼになりそうなくらい頑張って報われないものだろうか・・。
あれだけの仕様で、随分といろいろプラン上の希望を諦めてきた。
そこまでやって、片手も掛からない認定って何なのだろうか・・。
悶々と考えて、頭の中がモヤモヤしてました。
そんな状態で 過去の作業 や いろいろな思いを グルグルと考えている最中・・
ふとした閃き(ひらめき)がでました・・。
私「もしかして・・」
諦めの悪い私は、最後の最後のあがきで、
ひらめいた調整をしてみようと思いつきました。
そして、会社に帰るなり、Q-PEXをいじり始めました。
大ナタを振り下ろしたのです。
そして・・ついに、計算ソフト「Q-PEX」上で、暖房負荷5.0KWh/㎡が出るのでした。
次回:ついに出た 暖房負荷=5.0KWh/㎡
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第17話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その6- 山あり谷あり...
正攻法でなんとかQ-PEX上、『暖房負荷=10.6KWh/㎡』まで絞り込んだ私は、さらなる絞込みの方法を画策してました。
そんな矢先でした・・。
今回使おうとしていたサッシのK-windowさんからメールが入りました。
「今回考えていた高性能ガラス仕様だと、熱割れを起こす可能性があるそうで、Low-e膜の構成を変えるため、日射透過率の数値を変更してください。」との突然の内容でした。
日射透過率を63%→58%に変更を余儀なくされました。
それをQ-PEXに入力してみると・・
暖房負荷が10.6KWh/㎡ ⇒ 11.2KWh/㎡ ( ̄□ ̄;)
日射透過率が5%も違うだけで、あっという間に暖房負荷がまたしても
11KWh/㎡台と悪くなってしまいました(;_;)
コツコツ・・コツコツ・・コツコツ努力したものが、一気に壊された感じで、精神的ダメージが大きく、
一時、ふぬけ状態になってしまいました・・(;_;)。
ん〜・・でも、やっぱりまだまだ!
「今まで20年近く断熱で培ってきたスキルをもってすれば、解決の糸口が見えるはずだ!」・・と力を振り絞って、図面調整を繰り返しました。
ステップ5‐① : 2階のサッシをW1700×H1400 にサイズアップ
(日射を少しでも多く取り入れるため)。
ステップ5‐② : 建物角度をもう少し真南に向けよう。
建物の真南に対する振り角度 16.3°⇒14.9° にして少しでも真南向きに微調整
そんな作業をいろいろとしている中・・思わぬ連絡が入りました。
クーラーさんからの国際電話で「天井高さ2m以下のロフトは床面積の半分を算入していいですよ」とアドバイスがありました。
これは大きい!救いの神です(^^)
ロフトの天井高さを将来2m以上にするとして、ロフトの床面面積を100%算入することにしました。
和室もちょっとだけ広げたので・・
ステップ5-③:ロフトの床面積を堂々と加算・和室もちょっと面積増
相当延べ床面積 191.4㎡ ⇒ 210.839㎡
暖房負荷が11.2KWh/㎡ ⇒ 8.2KWh/㎡!
またまた一気に8KW台になりました(^^)b
「結局・・面積か」・・と釈然としない部分もありますが・・
これだけの断熱仕様なので認定取得を優先で考えることにしました。
しかも、以前の8.7KWよりもさらに絞り込んで8.2KW!・・。
これは行けるぞ!
さすがにプラン調整の限界だ・・と感じて、この仕様でパッシブハウス認定に近づいているか検証しようと思いました。
暖房負荷=5KWh/㎡ とは行きませんが・・これだけの断熱仕様で認定が取れないはずはないだろうという自信が出てきました。
知り合いのSEさんという方が「燃費ナビ」というパッシブハウス認定を計算する日本語版のソフトを使えるので、SEさんと計算してみて、あとどれくらい微調整すればいいのかの目途を立てようと考えたのでした(^^)
意気揚々とSEさんの会社を訪問。
そこで、驚く計算結果が出るのでした・・。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第16話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その5- 正攻法で...
裏ワザを駆使して Q-PEX計算ソフト上での 『暖房負荷8.1KWh/㎡』 まで落とした私でしたが・・、
時間が経つにつれ悶々としてきました。
「裏ワザ」と言えば聞こえがいいが、「数値の改ざん」といえば卑怯感が漂うなぁ・・。
そこまで数値を調整して取得する認定に何の意味があるのだろうか・・。
逆に、数値を改ざんしてまで認定を取得したという
「自分の気持ち」と「会社のイメージ」が悪くなりそうだ・・。
そんな思いも脳裏に浮かび、もう一度数値を戻してみました。
ステップ④-1:クーラーさんから、「玄関ホール正面のFIX窓の上か下に通風用の窓を設けてください」と指摘があり、窓を増設。
暖房負荷 8.1KWh/㎡ ⇒ 8.7KWh/㎡
影になる時間が多い位置に窓を増やすと一気に数値が悪くなるなァ・・という印象。
窓を増やすのがだんだん怖くなってきます(--;)
ステップ④-2:ロフトの床面積は算入させない(209.71㎡→189.74㎡)
クールチューブによる仮想評価は無にする(換気効率2%ダウン)
暖房負荷 8.7KWh/㎡ ⇒ 11.5KWh/㎡
分かっていても・・やはりがっくり来ます・・(><)
しかし、「ここで諦めてなるものか!」と図面調整。
ステップ5-①:玄関ホールのガラス面の影の影響を少なくするため壁を455南に移動してみました。
床面積と天井断熱面積も増えますが、外壁面積は逆に減るのでその点でも効果はありそうだと感じました。
暖房負荷 11.5KWh/㎡ ⇒ 11.2KWh/㎡
やはり、ガラス面の日陰になる時間を減らすと効果が大きいなァ・・という印象です。
ステップ5‐②:そうであれば、玄関ホールの窓を少し妥協して、ガラス面を小さくしようと考えました。
3m近い大型FIX窓を考えていましたが、1.5m角の横滑りだし窓1台に変更。
影の影響が少ない位置に微調整して設置してみました。
暖房負荷 11.2KWh/㎡ ⇒ 10.6KWh/㎡!
ようやく、正攻法で11KWh/㎡の壁を越え、10KW台に突入!
少しだけうれしくなりました(^^;)
でも・・まだまだ5KW台には程遠いです・・(--;)
ここで冷静になって、別の視点から物事を見てみましょう。
最初の段階での暖房負荷は12.5KWh/㎡ 一冬の暖房用灯油消費量は272リットルと想定されました。
ここまで血のにじむような思いで、いろいろなものを調整したりコストを掛けたり、
間取りで諦める部分も積み重ねて、ようやく、暖房負荷が10.6KWh/㎡にたどり着きました。
予想される暖房用灯油消費量は、想定で233リットルになります。
初期図面の頃より1年間で約40リットルの灯油が減ることが想定されます(272リットル-233リットル)。
1年間の灯油代が 1リットル100円と考えたときに、27200円→23300円になるという事です。
これを、どう評価するか・・です。
〇 一冬の暖房用の灯油が40リットル(4000円)も減ったとプラスに考えるか
〇 こんなにコストを掛けて、プランの諦める部分も増えて40リットル(4000円)しか減らなのかと思うか
私自身も、ここまで来ると、「何のために家づくりをしているのだろうか・・」と悩み始めました。
パッシブハウス認定を取るための家づくり?
楽しい空間や楽しい生活をするための家づくり?
悶々と考える時間が増えました(--;)
でも、今回は、実験住宅でもあり、パッシブハウス認定を取るというのも目標の1つなので、
もう少し頑張ってみようと心に決めるのでした。
本当に5KWh/㎡なんて出るのだろうか・・
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第15話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その4- 裏ワザ...
目標値である Q-PEX計算ソフト上での 『 暖房負荷5.0KWh/㎡ 』
図面骨格を変えても、窓の高さや庇の長さを変えても、何をやっても・・まったく近づく気配を感じず・・ほとほと疲れ果てて来ました(‐‐;)。
目標値が絶対におかしいと思うほど・・。
そんな悶々としてパソコンの前で腕組みしているとき・・
ふと・・頭の中に妙案が浮かび上がりました。
「もしかして・・ロフトの天井高さを上げて、
いっそのこと3階建てのように床面積を増やしてしまえば効果があるのでは」・・
(割り算の分母の数値が大きくなるため)
日本では天井高さ1.4m以下のロフトは床面積に算入しませんが、それ以上になれば床面積になるので、その点を利用してみよう。
そんなひらめきでQ-PEXをいじってみると・・
ステップ③-1:ロフトの天井高さを上げて床面積を意図的に増やす
(分数の分母の数値を増やすため)
【ステップ③-1の計算結果】
床面積が19.97㎡増えて・・なんと・・
暖房負荷 11.6KWh/㎡ ⇒ 9.1KWh/㎡ !!
なんと、一気に9KW台まで向上しました(^^)/。
これはすごい!!!
ちまちまサッシの高さや、図面をいじるより床面積を増やしてしまった方が効果抜群です!
光が見えてきました!
・・でも、ちょっと待てよ・・。
何かおかしいなぁ・・
床面積を増やす・・ということはわざわざ暖房する気積を増やすということになる・・。
つまりは無駄にエネルギーを使う建物になっていくのに、そのほうが認定に近づく・・(??)。
何か矛盾していないだろうか・・
図にしてみると下図のような感じです。
図Aは2階が水平天井・図Bはわざわざロフトを作る。
黄色い部分の気積が増えて暖房するエネルギーが無駄に増える(工事費も無駄に増える)のに、
床面積が増えることでパッシブハウス認定に大きく近づく・・。
かなり矛盾した話になってしまいます・・。
やはり、全ての認定制度は完璧ではない・・ということがこういう点からも見えてきます。
そんな矛盾を抱えながらも・・、ようやく光が見えてきた私は、さらなる裏技を投入し始めます。
ステップ3-②:換気システムで熱交換効率78%をクールチューブ使って地熱利用すれば2%くらい加算してもいいのでは・・と80%に数字を勝手に改ざん。
【ステップ3-②の計算結果】
暖房負荷 9.1KWh/㎡ ⇒ 8.9KWh/㎡
ステップ3‐③:隙間相当面積は安全を見て0.3㎝2/㎡にしていたが、0.1㎝2/㎡にしてみよう。
(これは大丈夫だと思うので)
【ステップ3-③の計算結果】
暖房負荷 8.9KWh/㎡ ⇒ 8.2KWh/㎡
これは意外と大きい!!
ステップ3-④:2階の南窓をあと5㎝設置高さを下げる
(日射熱をわずかでも増やす目的)
【ステップ3-④の計算結果】
暖房負荷 8.2KWh/㎡ ⇒ 8.1KWh/㎡
なんと・・あれだけ苦労していた暖房負荷11KWh/㎡台の壁が、一気に8KWh/㎡台まで下がりました!
これなら目標値に到達するかも!・・という期待が大きく膨らんできました(^^)。
ここから更なる地獄が待っていたことも・・このときは思いもしませんでした・・。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
第14話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その3-
クーラーさんより言い渡された目標数値・・
Q-PEX上で 暖房負荷=5.0 KW/㎡
そんなことできるのだろうか・・と半信半疑な状態で、建物の仕様をいろいろ変えながら、家の性能計算を繰り返していく作業になりました。
サッシについては、UW値=0.8W/㎡Kという高性能サッシが輸入物の木製サッシしかなく、通常サッシの3~4倍くらいの値段がするため、とりあえずサッシ以外でどこまで性能を上げられるか・・に挑戦してみました。
いつも使っている 『樹脂サッシ+トリプルガラス』で、仮に家1軒のサッシ価格が150万円前後だとしますと、全部の窓を0.8W/㎡Kの木製サッシにするだけで、なんと・・サッシ代が500万円前後に跳ね上がるのです(@@;)
非現実的な金額で、とてもやれません・・(--;)
ステップ①:まずは、なるべくプランを変更しないでどれだけ性能が上がるかに挑戦しました。
***** ステップ①の調整内容 *****
ステップ①-1:2階の屋根をわずかですが10㎝上げました。
(冬の日射を少しでも多く取り入れるため。庇の影を極力無くす)
ステップ①-2:屋根の断熱厚さをあと10㎝厚くして、48㎝⇒58㎝にしてみました。
(単純に断熱性能UPのため。)
【ステップ①による計算結果】
暖房負荷12.5KW/㎡→12.2KW/㎡
わずか0.3KW/㎡ですが性能が良くなりました。
【 私の心の中 】
〇 庇による窓に掛かる影を少しでも減らすと効果があるなァ・・
〇 屋根断熱を厚くするのは、20万円くらい掛かりそうだなァ・・
それでも、暖房負荷の数値が減ったことは間違いないので、意気揚揚と次のステップに進みました。
***** ステップ②の調整内容 と 計算結果過程 *****
ステップ②は、本当に細かい寸法調整による性能の変化が見て取れます。
ステップ②-1:まずは、2階の南側のサッシを変更しました。
奥まったサッシはマイナスに作用するということで、全部のサッシを南面に配置して、
1500角の大きなサッシ5台に変更しました。
(風景もダイナミックに取り入れられるし、日射取得もよくなるので。)
しかし・・ここで、プラン上、諦める内容も出てきました。
2階の雨に当たらないバルコニーです。
雨に当たらないバルコニーの場合、出入り用のサッシはどうしても奥まるため日射取得には不利になり、
今回はパッシブ認定を目指すため、やむなく諦めました(;_;)
(当初の2階平面図 概略図)
↓
( バルコニー部分を無くした2階平面図 概略図)
【 計算結果:暖房負荷 12.2KW/㎡→12.5KWと逆に悪くなりました。】
( 窓は大きくしたのですが、庇が深いため、その影の影響によるものです。)
ステップ②-2:その窓に断熱ブラインドを設置
【 計算結果:暖房負荷 12.2KW→12.1KWと改善。夜間のサッシの断熱性能UP 】
ステップ②-3:その窓に影響する庇を20㎝ほど短くする
【 計算結果:暖房負荷 12.1KW→11.9KWとさらに改善。日射取得量の増加 】
ステップ②-4:1階の庇も短くする
【 計算結果:暖房負荷 11.9KW→11.7KWとさらに改善。日射取得量の増加 】
ステップ②-5:北側の子供室のサッシに断熱ブラインドを付ける
【 計算結果:暖房負荷 11.7KW→11.6KWとさらに改善。 】
庇をちょっと短くしたり窓の位置を下げたりすると、暖房負荷の数値が随分良くなるんだなァ・・という印象は持ちました。
************
この間も、サッシをいろいろ調べたり、ガラスの資料を取り寄せたりして、「断熱性能が高く かつ 日射透過率の良い ガラス」 や 「 枠の性能が高いサッシ 」など、ノイローゼになるくらい探して、価格とのバランスを探っていました。
一般的にお勧めできそうなサッシはUW値=1.0くらいが限度で(これでもすごい性能だと思います)。UW値=0.8といのは価格的に負担が大きいので、サッシの答えはなかなか見つけられない状況でした。
さらに、ステップ① ステップ②で「庇の寸法」や「断熱厚さ」、「サッシのサイズと設置高さ」など、10㎝単位で調整を繰り返して、暖房負荷を0.1KW/㎡減らす努力を積み重ねているのです・・。
ボクサーが計量目前で10g体重を減らすには・・と過酷に苦労しているような印象です。
それでも・・右往左往しているのは・・暖房負荷11KW/㎡台・・
とてもクーラーさんの言っている5.0KW/㎡には遠く及びません・・(;_;)
頭が変になりそうです。
多分、クーラーさんが目標数値を勘違いして言ったんだろう・・と思うほど答えが全く見えない状態でした。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
ここから数値の話ですので・・少し難しい内容になります・・(--;)
この住宅業界には、さまざまな住宅性能を計算するソフトが存在します。
〇 新住協開発の「Q-PEX(キューペックス)」
〇 パッシブハウス協会さん開発の「PHPP」(日本版の名称は「燃費ナビ」)
〇 ドットプロジェクトさん開発の計算ソフト
そのほか・・私の知らないものもいろいろ
どのソフトが良いとか悪いとかではなく、どれも住宅の性能を数値化するという意味では今の時代に必要であり、どのソフトも常に変更調整を今でも繰り返しています。
「計算値」と「実際の生活燃費」の誤差を少なくするために・・。
かつ、使いやすくするために・・。
私はQ-PEXを使い慣れているため、このソフトを使って我が家の初期プランの性能を算出してみました。
クーラーさんには最終的にPHPPで計算してもらってパッシブハウス申請に使おうと考えたのです。
Q-PEXによる計算結果は・・
相当延べ床面積 57.28坪(189.74㎡)
暖房負荷 12.5KW/㎡
予想暖房灯油消費量(一冬) 272リットル/一冬
という計算結果がでました(表①)。
【 表① 】
数値の意味は理解しにくいかもしれませんが・・
約60坪弱の家の暖房用灯油が一冬で272リットルですと考えればイメージしやすいでしょうか・・。
灯油1リットルが100円ならば 一冬 27200円の暖房費 1リットル50円ならば 一冬で13600円という 想定が出来るという事です。
もちろん全室暖房で昼夜の平均室温は20℃という仮定です。
すこぶる良い結果だと思います。
ただし、ここまでの燃費にするために仮想入力した断熱材の仕様は
屋根 が 480㎜(48㎝) 高性能グラスウール (下図の赤部分)
天井断熱 が 500㎜(50㎝) セルロースファイバー (下図の緑部分)
壁 が 345㎜(34㎝) 高性能グラスウール (下図のオレンジ部分)
基礎 が 220㎜(22㎝) 防蟻性ビーズ発泡
サッシ は 主に樹脂サッシのアルゴンガス もしくは クリプトンガス 入りのトリプルガラスなどの高性能サッシ
今までやったことのないような途方もない断熱仕様です。
図でイメージするより施工は大変です。
費用も相当あがりますので過剰性能のため一般的にはお勧めしないと思います。
まさに実験と認定取得のため無理してます・・(--;)
この計算結果をもとにクーラーさんにさらなるアドバイスをもらうため打ち合わせをしました。
クーラーさんは「Q-PEX」と「PHPP」の両方の性能計算ソフトを使えるので助かります(^^;)。
しかし・・その経験から、びっくりするような課題を出されました。
クーラーさん 「Q-PEXで計算した結果として、暖房負荷=5.0KW/㎡ を目指してください。5.0KW/㎡になれば、PHPPで計算して パッシブハウス基準になると思います。」
「できれば・・サッシのUW値も、0.8W/㎡K 以下のものがいいですね!」
「暖房負荷5.0KW/㎡に近づけるには・・この図面で言いますと・・云々・・」
私 「 ・・・ 」
「これだけの仕様で計算して 暖房負荷 12.5KW/㎡ と算出されたのに・・、
目指すは暖房負荷5.0KW/㎡・・なの(?_?)。」
「 出来るの?・・・ 」
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
今回の実験住宅はパッシブハウスの認定取得を目指すという目標を持つことになり、まずはクーラーさんからある程度のコツを聞き設計をスタートさせました。
クーラーさんとの話し合いの中から感じた、「パッシブハウス」 と 新住協で展開している「キューワン住宅」との違いは次のようなものでした。
① サッシのレベルを上げる必要がある。
② 南面の開口をいつも以上に大きくとる設計を意識する
③ 出来るだけ総2階に近い形を目指す
④ 気密ラインの連続にかなりうるさい(「真壁」や「柱あらわしのデザイン」が通りにくい感じ )
あとはキューワン住宅のグレードⅣを建てれば、認定を取れるのではないか・・という感じでした。
私は「そんなに難しくないな」・・という感じでスタートしました。
隣の市でパッシブハウスの認定を取った家があるということを耳にしたので、これだけ日射取得を邪魔するものがない最高の立地条件で、私の今まで培ってきた高断熱知識をもってすれば、認定を取れないはずがないという自信がありました。
そんな意気揚揚で設計を始めましたが、③の総2階 と ④の柱表しを控える ・・というポイントだけは少しだけ崩そうと思いました。
プランの大きな骨格は確かに総2階ですが・・総2階に見えない1階がどっしりしたプロポーションにしたかったのですし、柱を表すデザインもしたかったのです。
理由は次のようなものです。
〇 ドイツよりは気象条件が良いだろうから、総2階でなくとも認定が取れるという事例にしたい。(外観デザイン的に可能性の幅を広げるチャレンジ。)
〇 日本では2世帯住宅もありますし、LDK+和室などが来ることで1階が少し大きなプランが普通に多く存在するため、今後、そんな設計でもパッシブハウス認定取れるという可能性を示したい。
〇 我が家も親と同居する可能性があるので、和室の関係で1階が少し大きくなるため。
〇 日本では真壁という伝統もあります。その日本伝統を拒絶するような認定では今後も広がらないと感じたのです。
そんな理由もありつつ、かみさんとの意見も生かしつつ、パッシブハウス認定取得を意識しつつ、キューワン住宅グレードⅣを意識しつつ、奮闘してできた第1案が下の図です。
(内部の間仕切り壁は消去しております)
プランニングで意識したことは・・
① どれだけダイナミックに風景と冬の日射を取り込めるか(丸印の窓部分など)
② 冬だけのことを考えるのではなく、夏、できるだけエアコンを使わずに涼しい住環境にできるか
(日射遮蔽 と 通風排熱計画)
③ 最近、家づくりから消えつつある「広い軒下」
④ 量産住宅さんでは絶対にしない空間演出(サッシを使わないガラスのみの開口細工)
など他にもいろいろありますが、
「家づくりはこんなことまで可能なんですよ」
「こんなに冒険しても超高性能な家が出来るんですよ」
という可能性の幅を示そうと思いました。
この1回目のプランをもとにクーラーさんとパッシブハウス認定を目指しての
打ち合わせ⇒調整作業 が始まりました。
そして・・ノイローゼになるほどの仕様調整が何度も出てくることになるのです・・(--;)。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
木の香の家 展示場 兼 実験住宅 建築物語
第11話:家づくり構想-その2-
2013年・・
1月のドイツ視察によるパッシブハウス見学 → 5月のNPO法人新住協でキューワン住宅のおおとりの発表 → 8月~9月土地取得(実家の火事付き)・・と、怒涛の出来事が続いての12月・・・1年の締めくくりのように、私は青森にドイツ視察の補足セミナーを聞きに行きました(スタッフ全員で)。
セミナーをしていただいたのはクーラーアンドレアさんで、ドイツ視察のときに通訳兼解説をしてくれたかたです(写真右の女性の方)。日本の住宅事情にも詳しく、新住協のこともよく知っていらっしゃる方でいろんな意味で貴重な立場の方です。
(ドイツ視察:オーストリア インスブルックでの記念写真)
セミナーの内容も興味を持ちましたが、私は、懇親会のときにこんな話をしてみました。
私:「 新住協のキューワン住宅 も パッシブハウスも 結局のところやっている方向性は一緒ですよね。
我が家の建築で、『キューワン住宅のグレードⅣ』 を建築したら、『パッシブハウス認定』が取れました・・というストーリーは可能でしょうか・・?
そういうストーリーが住宅業界にとってプラスになるんだったら、私は、パッシブハウス認定を目指してみたいのですが・・。」
クーラーさん:「可能だと思いますよ。特に太平洋側は日射も多そうですし、やってみましょうよ!サポートしますよ!」
こんな感じの話を飲み会の間 いろいろさせていただいて、私の家づくりのベクトルはほぼ決まりました。
① 『キューワン住宅 グレードⅣ』を建てることで『パッシブハウス』の認定を取る。
② 面白い空間を創る(高性能だから面白くない家・・は嫌だったので)。
③ お客様の家づくりでは出来ない、さまざまな実験を盛り込む。
1年の最後に大きな方向性を決めれたことは気持ち的にスッキリしました(^^)
そして、正月休みのときに、
私は大きなベクトルを示すコンセプトスケッチを描きました。
玄関ホールのイメージスケッチです。
( 右側が玄関ドア・正面奥がリビングに行くドア・・という感じでしょうか・・ )
テーマは「玄関の中に入ったら・・あれ?・・外?」です。
南側の景色が非常に良い大開放敷地なので、玄関に入ったら「あれ?外?」と思うくらいの大きな窓を設けて、大量の日射取得によるパッシブソーラー効果を最大限生かしていこうというコンセプトスケッチです。
このスケッチで2014年は幕をあけました。
ここからノイローゼになるような「いばらの道」が待っていることも、
そのときは思ってもいませんでした・・。
( クーラーさんと家族で家づくりの相談食事会 )
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】