木の香の家 展示場 兼 実験住宅 建築物語
第10話:家づくり構想-その1-
土地が決まったことで、いよいよ家づくりの基本構想がスタートしました。
私は流れに従って生きようとするタイプの人間なので、『この土地になったこと』 や 『ここ数か月の私のまわりで起こっていること』から 自分は何をするべきなのだろうか・・と考えていましたが、その時点である程度の方向性は、ぼや~っとですが感じていました。
〇 実は、その年の1月・・私は、何かに導かれるように10数年ぶりにドイツに行きました。
定期的にある新住協の海外研修なのですが、ここ10数年は私の子供が小さくて「1週間も家を空けるのはダメ!!」と・・かみさんの許可がおりず、スタッフの勉強のためにとスタッフを行かせていました。
ただし、今回のドイツ研修は 『新住協がNPO法人として最後の海外研修』 と 『鎌田先生の室蘭工業大学退官記念』 という名目があったため、私が行くべきかな・・と感じ、10数年ぶりのドイツ視察となったのでした。子供が小学校の高学年になったということで、かみさんの許可が超~珍しく出たことも大きな理由でした(^^;)。
そのドイツ&オーストリア視察では、サッシまわりの考え方に刺激を受けたり、昨今聞くようになった 『パッシブハウス』を提唱しているファイスト先生 と 日本で『キューワン住宅』を提唱している鎌田先生 の ダブル講義を聴くという二度とあり得ないような体験をしました。
この講義の中で一番印象に残ったことは・・断熱や性能ではなく・・、ファイスト先生と鎌田先生が実は30年ほど前に 「同じ時期」 に 「同じ大学」 で 「同じ研究者の下」 で学問を学んでいたという事実と・・、その後、それぞれ、日本とドイツという違う地域で、住宅の高性能化に取り組んで、同じような住宅性能計算ソフトまで開発していたことでした。
(パッシブハウスの計算ソフト:PHPP と キューワン住宅の計算ソフト:Q-PEX)
しかも、お互いに全く知らない間柄ということで興味深さを感じました。
このお2人の研究者も何かに導かれて生きてきた運をもっているのだろうか・・と。
〇 次にその数か月後の5月・・私はNPO法人新住協の登別総会で研究発表することになりました。『NPO法人としての最後の研究発表会』 かつ 『鎌田先生の退官記念』ということもあり、室蘭工業大学の講堂で初めて行われたものでした。
北海道の室蘭&登別での総会は約20年ぶりです。
この登別にはそれなりに縁がありまして・・、私が新住協で初めて研究発表したのが実は20年前の登別総会だったのです(当時25歳くらい)。
その当時、20代半ばで約200人のプロを前に発表するのはかなり緊張したことを記憶しています。
そんなゆかりのある地域で行われるNPO法人としての最後の総会での発表・・しかも最後の発表者ということでおおとりを任されました。
こんな不思議なことが続いてからの土地取得だったので、家づくりには、「パッシブハウス」と「キューワン住宅」に関係する何かをするべきなのだろうと感じていました。
そんな初期構想をしている11月・・タイミングよくというか・・青森の平野商事さんより
「今年ドイツに行った続きのセミナーがあるけど来ませんか?」という連絡が入ったのです。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】
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第9話:土地決定後日談
紆余曲折を経て、ようやく土地が決まりました。
その土地は、手に余るほどに広い・・という以外は全ての条件を満たしていました。
その土地には、70坪程度の家と物置も建っていましたが、それは解体して、超高断熱住宅を建てます。
この土地の取得には、その後、単なる偶然なのか・・不思議な後日談が2つほど付いてきます。
① 実は、同じ時期に、私はどうしても実家の田んぼを譲り受ける・・という事情が出来てしまいました。
ただ(無料)同然なので要らないといえば要らないのですが、どうしても引き受けないとならない状況でした。
ただし、農地を譲り受けるというのは簡単ではなく、予想以上にその手続きも苦労して進んでいました。
意図したわけではないですが、なんと、今回購入した「北上市の土地」と「宮城県の実家の田んぼ」の登記完了日が同一日だったのです。
不動産の取得なんて一生に一度あるかないかの作業なのでびっくりです。
本当に単なる偶然なのでしょうか・・不思議な話です。
② もう一つ、土地の前所有者(Tさん)に、敷地に建っている家の鍵を譲り受けに行こうと思い、現在住んでいるご自宅にお伺いしたときの話です。
私は電話で住所を聞き、ナビに入れて向かいました。
そして、その場所に到着したときです。
目を疑いました。
「 あれ・・ナビだとこの家だよなァ・・」
「 おかしいなァ・・。この家は違うはずだ・・。 」
「 もしかして、ナビが間違ってて、隣の家かな・・」
実は、ナビで案内された家には、私は10年前に何度か入ったことがある家なのでした。
その当時、若いご夫婦が中古でその家を購入し、リフォームの相談を受けた家なのでした。
その後、いろいろあって話は進まなかったのですが、その後も2~3度、相談が来ていたのでした。
目を疑った私は、Tさまに電話しました。
私「多分・・ご自宅の前あたりに着いているのですが・・どの家なのかが、はっきりわからないのです。」
Tさん「今、外に出ますから待っててください。」
そう言って、Tさんが出てきた家は・・
なんと・・やはり、その家だったのです。
私の頭の中は混乱してました。
??・・・???・・・
こんな感じです。
私「あれ・・?Tさん、ここに住んでいるんですか?」
Tさん「そうですけど、何かありましたか?」
私「ここを何年か前に購入なさったんですか・・?」
Tさん「いいえ・・」
私 ??・・・???・・・(?o?) ←こんな感じです。
私「実は・・私、この家に10年ほど前、何度か入ってますよ・・」
Tさん「え!?どうしてですか!?」
私「当時、20代くらいの若いご夫婦が、この住宅を中古で購入してそのリフォーム相談で入らせていただきました。」
私「もしかして・・その若いご夫婦は、再度この家を売りに出したのですか?」
Tさん「ああ、私の息子ですね!今は盛岡に住んでます。」
私「え・・息子さんだったんですか・・。不思議な縁ですね(^^;)」
Tさん「ほんとですね・・。そういえば先日、白鳥さんを見ましたよ!。
孫のピアノ発表会で さくらホールに行ったら、
白鳥さんが走って出てきて娘さんとファンモンのピアノ演奏やってましたよ(^^)。
それ見たとき、『あ!白鳥さんだ!』ってびっくりしましたよ・・。
何かとご縁がありそうな感じですね(^^)」
世間が狭いのか・・偶然なのか・・北上市内には何万戸という住宅があります。
その中でのあまりの偶然に、やっぱりあの土地が呼んでいたんだな・・と改めて思った瞬間でした。
土地の迷走・・「完」
話は、つづく・・
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次回は年明けてのアップになます。
第8話:土地が呼んでいる その⑥
私が、「『9月中に結論出してほしい』と言われた」・・」というウソの話をした翌日だったと思います。
不動産屋さんから電話がきました。
不動産屋さん「あの土地のご検討は、どんな状況ですか・・?」
私「もう少しで結論出ますが、何かありましたか?」
不動産屋さん 「実は・・あの建物を借りたいという人が現れまして・・、
地主さんのところに行かれたようなのです。
そして既に暮らすための設備関係の修繕の下見まで始めているようなのです。
ただ地主さんから、『買おうかなと考えているかたは、どんな感じでしょうか』・・と電話がきまして、
確認のお電話をした次第です。
できれば9月中に結論を出してほしいそうで、購入しないようであれば、あの家を賃貸で貸すそうです。」
なんと・・多少内容は違いますが、私の言ったウソの話が、本当の話になってしまいました・・・。
かみさんにその話をしました。
かみさん「え?借りたい人? 買いたい人じゃないの?」
私 「買いたい人の話は、俺が作ったウソの話・・。
いつまでも決めないで土地をキープするなんて失礼にもほどがあるから、9月で結論づけようと思っただけ。
6月からすでに3か月もキープしているんだぞ!不動産屋さんにしてみれば迷惑な話だよ。」
私 「そして、借りたい人の話は、本当の話!。
でも、1回借りられれば、間違いなく何年間も暮らすということだから、実質、あの土地は手に入らないということになるね。」
私「いずれにせよ、9月中の結論を出すのは同じだから、タイムリミットが出来てよかったよ」
かみさんは、9月のタイムリミットが正真正銘の話であることに「どうしよう・・」と悩み始めました。
私たちは、今までの経過を整理しました。
① かみさんの誕生日に、超~超~珍しく・・、ショッピングではなく不動産屋さん巡り・・となり、今まで見つけることが出来なかった「ほとんどの条件を満たした土地」
○ 国道から100m ○景色は良い ○駐車スペースは十分 ○学区は変わらない
② しかも、1000万円以下で買える、超激安(600坪が無駄に大きいかな・・)
③ 別の土地Bの地主さんを訪問したら、引っ越していて、既に所在不明
④ 土地Aで配置計画してみようと思い不動産屋さんに行こうとしたタイミングで、不動産屋さんの部長さんが唯一の来社
⑤ ようやく土地Bの地主さんの所在を見つけて会いに行こうとした矢先に実家の火事(150年もの間、起きなかった火事)で地主さんに行く気持ちが消えてしまった。
⑥ それでも、土地Bの地主さんに相談して、案の定 NG
⑦ それでも他の土地をもう少し探してみようという事から、私が「9月中の結論」というウソ話を作ったら、その直後に不動産屋さんから電話が来て、その話が本当になってしまう。
〇「これ以上迷うな」と言わんばかりのタイムリミット発令
私 「これだけのことが続いてるんだよ・・。他の土地を探そう探そう・・とすればするほど、
『こっちよ・・。ここの土地よ・・』って呼ばれているようなものじゃん」
勝手な思い込みかもしれませんが、出来事を並べてみると本当に呼ばれているような感じがするのでした。
かみさんも、それだけの出来事を並べてみて、ようやく「確かにそうだね。この土地にしようか・・」と判断しました。
このかみさんの決定により、ようやく土地選定が結審しました。
かなり、紆余曲折ありながら、ようやく・・ようやく・・です。
疲れました(;´Д`)
9月下旬・・私たちは不動産屋さんの事務所で土地Aの地主さんと土地契約を交わしました。
こちらの地主さんも、非常に人柄の良いかたで、こんな方から譲ってもらえる土地でよかったね・・と感じるほどでした。
その地主さんとは、またまた後日談で、ありえない偶然に驚くことになるのですが・・
つづく
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第7話:土地が呼んでいる? その⑤
150年という長い歴史に終止符が打たれたことで、心置きなく土地探しができるようになった私は、お盆前に土地Bの地主さんに会いにいきました。
土地Bの地主さんは人柄が素晴らしい方で、初めて訪ねて土地の話をするという不躾な私の話をしっかりと聞いてくれました。
お盆明けにお返事をいただくことで、その日はお礼を言って帰りました。
今までの流れから何となく予想はしていましたが、結果はやはり「今すぐ土地を売る予定はございません」という丁寧な回答でした。
これによって、今まで「呼ばれている感」がある「土地A」に絞れたと思いました。
ところが・・、かみさんは「まだ、街に近い場所に良い土地があるのでは」・・と、もっと他を探そうとしたのです。
よほど街から離れる「寂しい感じ(静かな感じ)」が気になるようでした。
ただ、「国道から近く」て、「景色が良く」て、「車の駐車がしやすい土地の広さ」で、「手の届く価格」で、「小学校の学区が変わらない」というすべての条件を満たす土地なんて、何年も探してようやく見つかったくらいの確率なので、金輪際出てこないことは明らかでした。
あきれてしまった私は、かみさんにウソの話をしました。
私 「不動産屋さんから電話が来たよ。
『あの土地に興味を持つ人が出たので9月中に決めてほしいそうだ』...」
というウソ話を・・。
私「あの土地がいやだったら他の人に譲るから、真剣に考えてね」
と話しました。
・・というのも、かみさんは変な直感が働くタイプで、特に不動産絡みではその直感で会社が救われたこともあるほど、神がかり的な判断をすることが何度かありました。
そのため、真剣に考えた上で、土地Aがダメなのか良いのかを判断してもらおうと思ったのでした。
かみさんは、タイムリミットが出来たことで、本当に真剣に考え始めたようでした。
そんなときです。
不動産屋さんから私に珍しく電話が掛かってきました。
そして・・、その電話の内容にびっくりすることになるのです。
つづく
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第6話:土地が呼んでいる? その④ -歴史の終止符-
実家の火事という一報を受けたのは12時・・。車を走らせてようやく着いたのは1時半でした。
休日にも関わらず消火活動に携わってくれた地元消防団のおかげさまで、火は、ほぼ鎮火しておりました。
おふくろは放心状態で、親父は出掛けていたため鎮火間際に家に戻ってきて、どうしたらいいのか頭の整理がついていないという状況でした。
建物はというと・・見事に「茅葺屋根の家」だけが焼失し、わずか5mしか離れていない2階建ての納屋にも延焼していないという不思議な光景でした。
なんだろう・・この光景は・・。
不思議な感覚を覚えました。
消防団の皆さんが、両親や私にも「気を落とすなよ」「元気出せよ」と声を掛けてくれて、感謝の気持ちもありましたが・・
この焼失の仕方に、「ひとつの歴史の終止符」という感覚を持たずにはいられませんでした。
この土地での長い歴史に・・ご先祖様が、きれいに終止符を打ってくれたんだな・・。
別の地に土地を買って、「次の時代に進んでいいんだぞ」・・と言ってくれているんだな・・
そう感じることができ、そういう意味で 涙がこぼれてきました。
実況見分でも、おふくろは「私が魚を焼いてコンロの火を消し忘れたのかも・・」と言ってましたが、焼け方の激しいのは厨房とは全く反対側の和室。厨房の魚は生焼け状態だったので、人為的ミスではないと判断されました。
先日までの長雨で、和室側の照明器具の傘に雨水が溜まるほど雨漏れが確認されており、結論としては、和室側の漏電による発火ということになりました。
この建物は、一時、小さな食堂をしていたので、テレビにも紹介されたことがあります。
そのときの映像の写真がこれです。
「茅葺屋根の家で昼寝しませんか?」・・。その真相とは・・という題名の映像です。
翌日、夏休みという事もあり、息子も連れてもう一度実家に行きました。昭和の建物は残っているので、必要最低限の電化製品だけそろえて、すぐに生活は出来たのは不幸中の幸いです。
そして・・落ち着いて考えても、この火事は「よかったんだな」という話が出るほど、
不思議な感覚をみんなが持ちました。
今回は書きませんが、この火事には後日談もあり、
どんな脚本家も描いたことのない、びっくりするような話が出てくるのです。
「日本で初の事例」としての後日談が出てくる 今回の火事は、いろいろなタイミングを考えても、
「起こるべくして起こった、ご先祖様による火事」
としか思えませんでした。
歴史の1ページとして・・、良くも悪くもこの火事を記憶に残すため「子供たちの記念写真?」
(息子に、「寂しそうな顔をしろ」・・と言ったら、こんな顔になりました。
下手くそな演技です。それを見て、娘がこらえきれず笑ってます(^^;))
私は、新たな地域での土地取得と、本格的な歴史のスタートに向かって、心置きなく進むことになるのです。
どの土地が、私たちを呼んでいるのか・・という事にアンテナを張りながら・・。
[ 次回: 土地・・ついに決定 ]
つづく
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第5話:土地が呼んでいる? その③ -実家の火事-
「実家が火事!? ホントですか!?」
一瞬、頭が真っ白になりました。
私「どの建物が火事なんですか?」
Sさん「茅葺の建物だって!」
私 「おふくろ と 親父は 大丈夫なんですか?」
Sさん「ご両親さんは大丈夫みたいだけど、すごい火が出ているみたいだよ」
いつも日曜日は打ち合わせなどで予定が埋まっているのですが、この日の日曜日は珍しく予定が空白で、長男をサッカーの練習試合に送って自宅でのんびりしていたのでした。
そんなすぐに動ける状態だった私は、 かみさんと娘が帰って来るなり、実家に車を走らせました。
しかし、不思議と・・「精神的に急ぎ慌てる」・・という感じではありませんでした。
私は、いろいろなことに頭をめぐらしていました。
私の実家は、江戸時代頃に建てられた築150年くらい前の「かやぶき屋根の家」と、「昭和に建てられた家や納屋」が3棟くらいある農家のような感じでした。
その150年経った「かやぶき屋根の家」は、私も小さいころ部屋にして寝ていた建物なので、思い出もたくさんあります。
土地を買って新しい家づくりをする際、実は、心に引っかかっているものがありました。
それは、この「かやぶき屋根の家」なのです。
150年の歴史を考えると、その歴史の重さに、解体することはかなりのプレッシャーなのです。
ご先祖様や多くの親戚のことを考えると、壊すに壊せないというのが正直な気持ちなのです。
しかし、かやぶき屋根を定期的に葺き替えるには、かなりの費用負担があり、とても維持できない。
兄貴は東京、私は岩手、妹は仙台で生活の拠点が出来ており、後を継ぐ者もいない。
「かやぶきの家」が放置されてボロボロになるのを見て見ぬ振りもできない。
土地を買って実家でない場所に住むとなった場合「実家のかやぶきの家はどうなるの?」というのが、いつも かみさんと話に出るのでした。
もちろん兄弟間でも、あの実家はこれからどうすればいいんだろう・・という話は以前から出ていました。
150年間、一度も火事が起きていない建物が、土地を探しているこのタイミングで火事が起きるなんてあり得るのだろうか・・。
そんなのは宝くじに当たるような確率の話だよな・・。
周辺の建物に延焼しているかどうか分かりませんでしたが・・不思議と、「もしかすると、この火事は、『起こるべくして起こっている火事』なのではないだろうか・・」と、感じてしまうほどでした。
他にもこの火事に絡む話があり、そんな会話をしながら実家に車を走らせました。
とりあえず、8月1日の 土地Bの地主さんに会いに行く気持ちだけは、さすがに消えてしまいました。
つづく
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第4話:土地が呼んでいる? その②
運動公園前の土地(土地Bとします)の地主さんの所在地が分からなくなったことで、私は、5月のかみさんの誕生日に見つけた土地(土地Aとします)に絞るか・・と考え始めました。
ただ・・土地Aも、無駄に広いのです。
そのため、配置計画をしてみようかなと思いつき、T不動産屋さんに寄って地積測量図などをもらおうと考えました。
仕事帰りに不動産屋さんに寄ろうと思い、事務所から出ようとした まさにそのときです・・。
なんと、T不動産の部長が突然、うちの事務所に来ました。
私 「あれ?なんでうちの会社に・・?」
T不動産の部長 「他にも土地物件があるので、他のお客様用にと資料を持ってきました。」
私 「今まで、うちの会社に来たことないですよね・・?」
T不動産の部長 「ええ。初めてです」
私 「ちょうど、今から御社に寄って、あの土地の地籍測量図があるかどうか聞こうと思ったんです。
配置計画してみかと思いまして・・」
T不動産の部長 「ありますよ!。事務所に戻って準備しておきます。」
何気ない会話なのですが、実はびっくりなのです。
その部長は、それ以前も・・、それ以降も・・、当社に一度も顔を出したことがないのです。
それが、ちょうど行こうかと思ったタイミングにぴったりだったので、「やはり、あの土地に呼ばれているのかな・・」と錯覚を覚えるほどでした。
その話を、晩御飯のときにかみさんに話をしました。
かみさんは「単なる偶然じゃない・・?」と相変わらずの反応。「それよりも、土地Bの地主さんをもう少し探してみようよ・・」と、コンビニが近い土地Bが諦めきれない様子でした。
土地Bの地主さんの情報は名前のみ・・。
10数年前に家を建てて引っ越した。
土地謄本を見ると、その土地には抵当や根抵当が一切ついていないので、ゆとりのある家庭かな・・という想像の域。
これくらいの情報しかありません・・。
ふとした思いつきで、電話帳を開いてみると・・なんと、同じ名前が1人載っています。
でも、よくありそうな名前なので、その人が地主さんだとは決められません。
数日後、その電話帳に載っている人を住宅地図でなんとなく見つけて、自宅周辺を怪しい感じで散歩・・。
建物は10数年目に建った感じのする印象。
しかも結構な豪邸・・。庭もかなり立派・・。
持っている少ない情報からの印象に合致しそうでした。
その後、いろいろな業界関係者さんからの情報で、ほぼ、その方が土地Bの地主さんの可能性が高いことを知りました・・。その間に費やした時間は1ヶ月。
ようやく土地Bの地主さんの所在が分かった7月下旬・・意を決して、8月1日の私の誕生日にその地主さんにところに訪問してみようと決めました。
5月のかみさんの誕生日に土地Aを見つけたので、それに合わせるかのように、私の誕生日に土地Bの地主さんに会おうと思ったのです。
その運命の日になるはずだった8月1日・・。その3日前の7月28日のことです。
たしか日曜日の正午だったと思います。
突然、幼馴染のSさんから珍しく私の携帯に電話が来ました。
私 「もしもし!珍しいですね。休日に・・」
Sさん 「白鳥さん!大変だ!」
その電話の内容に、衝撃が走りました。
「白鳥さんの実家が火事だ!」
つづく
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第3話:土地が呼んでいる? その①
土地の候補が現実味を帯びてきたことで、私たちは、本気でもう一つの候補地を打診してみようと決意しました。
雑木林を もし伐採すると・・その向こうは、運動公園・・
改めて見に行き、雑木林を伐採した場合のイメージをふくらませてみました。
ここも悪くないなぁ・・。
土地を切り売りしてくれるか・・造成費用にどれくらい掛かるか・・がポイント。
そもそも売ってくれるものなのかが一番のポイントで、地主さんとの相談に行くことにしました。
地主さんの住所は登記簿謄本で調べているので、1週間後・・早速、かみさんと2人でその住所のところに行ってみました。
相去町の小さな町の中に、その地主さんの住所があり、そのお宅に訪問。
私 「ごめんくださ~い。」
私 「こんにちはぁ・・〇〇さんのお宅はこちらでしょうか・・」
住人のかた 「え・・?違いますよ・・」
私 「あれ・・。ここの住所は□□番地ではないですか・・?」
住人の方 「そうですけど・・私たちの苗字は△△です」
私とかみさん「??・・・???・・・????」
登記簿謄本に載っている地主さんの住所に地主さんが居ない・・
こんなことってあるのだろうか・・
私とかみさんは、途方に暮れました。
その日は自宅に帰り・・「どういうこと?」・・「その400坪の土地には縁が無いのかな・・」 とまで感じるほどでした。
でも、登記簿に名前も載っているので、近所の人に聞いてみよう・・と思い、数日後、私は隣のお宅に訪問しました。
私 「〇〇さんという方、この辺に住んでいると思うのですが、住所は知っているのですがご存じありませんか・・?」
隣人のかた 「ああ・・〇〇さんなら10年以上前に引っ越したよ。 隣はその後 新しく住んでいる人だよ。」
私 「え!・・そうなんですか・・。どこに引っ越ししたかは分かりませんでしょうか?」
近所の方 「さあ・・町の方に家を建てて暮らしているような話も聞いたけど、詳しいことは分からないなぁ・・」
私 「そうですか・・ありがとうございます。」
なんと・・
どこかに家を新築して引っ越して、土地の登記簿の住所を修正していないことが分かりました。新しい住所が分からない以上、かなり八方塞です・・(><)。
やっぱり 縁がないような気がしてきました。
逆に、かみさんの誕生日に見つけたあの土地が呼んでいるのだろうか・・とも感じ始めました。
・・しかし、この迷走は、もっと衝撃的な話へと展開していきます・・。
つづく
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第2話:土地の迷走
目の前に現れた土地(中古住宅)は、敷地が想像よりもかなり広く、その敷地内には、60坪くらいの家 と 30坪くらいの物置があり、なんと手入れの行き届いた庭までありました。
(冬の写真ですみません)
芝桜もきれいに咲いており、見事な庭です。
「これって住んでるんじゃないの?」・・と思わせるほどの状況でした。
不動産屋さんに確認したら、表札の名前も合っており、間違いなく売りに出されている物件でした。
しかも・・激安なのです。
あまりの激安ぶりに・・
「なにかあった土地なのだろうか・・」
「こんなに安いのに何で今まで売れていないの?」・・
と疑いたくなるほど不思議に思いました。
南は崖になっており、そのさらに南には森がある。
景色は絶景
絶対に南に家が建たない(建築の日射取得がばっちり)
国道4号線から100m
子供の学区内(小学校まで2km)
敷地も広いので運転の下手なかみさんでも駐車するのが楽
全ての条件が満たされたと思う土地なのです。
不動産屋さんに行って即買いしようか・・とも思うほどの衝撃でした。
しかし・・かみさんがボソ・・っと
「この広い土地の雪かき・・どうするの?」・・
「すこし寂しい場所だから、もう少し町に近い方がいいなぁ・・」
と気になるポイントを冷静にあげました。
たしかに・・北上市の雪の多さを考えると、この広さの雪かきはかなりの重労働だと気づきました。
寂しい感じの場所というのは、わずか1.5kmの違いで、コンビニやお店などが急になくなる境目なのです。
今まで住んでいた場所が少しにぎやかだったので、わずか1.5kmでも寂しい印象になるのでした。
ただ・・こんな理想に近い土地は二度と出てこないと感じ、不動産屋さんには、「この土地、かなり気に入っているので、最優先で検討させてください。一応、本気でもう1つの候補の土地もあたってみます。」と、話をして、とりあえず、他の誰かが相談に来たらこちらが優先という状態だけをお願いして保留にしてもらいました。
もう1つの候補とは、実は、売りに出ていない土地なのです。
小学校のそばで、南側は運動公園という位置に雑木林があり、そこを開拓すれば見晴らしのいい宅地になるなぁ・・と思い。「この林・・売ってくれないかなぁ」・・と以前から気にしていた土地が有ったのでした。
土地の資料も法務局から取り寄せてあり、広さ・持ち主さんも、とりあえず情報はありました。
ただ・・その土地は400坪もあったので、切り売りしてもらえないと手が出ない・・。
単純計算で、土地購入費(400坪)・林の伐採費・水道の引き込み費用など、ざっくり計算すると、土地購入から宅地にするまでで3500万円前後は掛かるのでは・・と思い、次に進めていない状況だったのです。
ここから、この2つの土地で、迷走が始まるのでした。
つづく
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第1話:土地探し
平成25年5月。
普段と変わらない日々を送りつつも、この日はかみさんの誕生日。
私は仕事を休みにして、かみさんと盛岡に買い物にでも行こうと思っていました。
ただ、その日はあいにくの雨模様で、「気分良くお出掛け!」・・という感じは出ないような雰囲気・・。
私の「盛岡に買い物でも行くか!?」の問いかけに、返ってきたかみさんの言葉にびっくり!。
かみさん「不動産屋さんに行ってみたい」
私「はあ!?なんで・・?」
かみさん「いい土地があるか不動産屋さんに聞いてみたいから・・」
実は、この言葉は、かなりのびっくり発言なのです。
私たちがマイホームを建てようかと考えたのは、実は12年ほど前までさかのぼります。
既に干支は1周しています。
その12年前から2度ほど、本気で家を建てようかと思う時期がありました。
ただ、その2回の本気モードのときは・・不思議なのですが・・「まだ建てるな!」とばかりにいろいろなことが私の身の回りで起きて、見えない力に抑え込まれる形で、結局・・家づくり断念してきました。
それでも、いずれは・・と思い、数年前までは良い土地がないかなぁ・・と、不動産屋さんにちょくちょく寄っていましたが、なかなかイメージ通りの土地が見つからず、半ばあきらめかけており、ここ3年くらいは不動産屋さんに行くこともなくなっていました。
かみさんの希望の土地は、「景色がよく、国道から遠くないアクセスの良い場所」だったのです。
運転が下手くそなかみさんは、雪のことを考えると国道から何kmも奥に入りたくない。子供も小学校は変えたくない。それでいて景色がいい。
そんな条件つきで土地を探す・・という、ハードルがたくさん有り過ぎました(‐‐;)
そんな過去の事情もあり・・
私「そんな土地なんて出てこないって。これまでも何度も不動産屋さんに行って、調べたんだから・・。せっかくの誕生日なんだから買い物に行ったら・・」
しかし、そのときのかみさんは、いつもとは違いました。
買い物が 大大大...大好きの かみさんなのですが・・「いい。今日は不動産屋さんに行く。」と譲らなかったのです。
金輪際ありえないと思うような発言でした。
結局、しぶしぶながら、北上市内の不動産屋さんに行くことにしました。
1軒目、S不動産にて・・。図面を見ただけで、明らかに気になる土地はゼロ。
2軒目、E不動産にて・・。
たくさんの物件情報をいただきましたが、土地の大きさが小さすぎたり、袋小路の突き当り・・という車の運転が苦手なかみさんには無理があり、あきらめムード。
3軒目、C不動産にて・・。
不動産屋さん「なかなか、アクセスが良くて景色が良いとなると難しいですねぇ・・」
やはり、あきらめムード。
ところが・・
不動産屋さんが思い出したように、「中古物件であればネットで公開していない、面白そうなのがありますよ」と、資料を見せてくれました。
その他にも、「とりあえず見てください」と2つの土地資料をいただき、合計3つの土地を見に行くことにしました。
私とかみさんは、半分くらいの期待感で土地を見に車を走らせました。
不動産業界では、表現が悪いですが、こんな言葉があります。
「ブス → ブス → 並」・・
土地を見るとき、 悪い土地 ⇒ 悪い土地 ⇒ 並の土地 という順番でみると、
並の土地が良く見えて土地制約率が上がる・・という業界用語です(--;)。
私もその変な風習にならって、この3つの土地を見るとき、
面積の小さそうな土地 ⇒ 距離が国道から遠い土地 ⇒ ちょっと期待できる土地
の順番で行こうと決めました。
1つ目の土地・・明らかに小さい上、車の出し入れも難しく、運転が下手なかみさんには絶対無理・・↓。
2つ目の土地・・土地自体は広くて良さそうでしたが、巨大な倉庫壊すのに1000万円くらい掛かりそう・・。しかも、国道4号線から4~5kmも奥にあるので、雪道の運転が大の苦手なかみさんには絶対無理↓。出来れば自己資金内で土地を買いたいと考えていた私の気持ちも資金的にも無理・・↓
「やっぱり無いものだね・・。アクセス良くて景色が良い土地なんて言ってたら、一生、家なんか建たないんじゃない・・?」・・と、気分も数年前の土地探し同様、すっかりあきらめムード・・。
そんな沈んだ気分で、最後の「並」と思っていた中古物件に到着・・。
国道4号線からわずか100m入った場所
・・・・
「え!?何これ?・・。」
「これって、本当に売っている建物なの!?」
「まさかぁ・・ここじゃないよなぁ・・」
「でも、地図を見るとここだなぁ・・」
「不動産屋さんに確認してみようか・・」
そこには信じられない土地が出現したのでした・・。
つづく
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