実験の続きのお話をする前に・・
なぜ、こんな実験をしようと思ったのか・・経緯をお話しいたします。
当社で、以前、とある設計事務所さんの依頼で、北上市内でデザイナーズ系住宅を建てました。
屋根勾配は2分勾配(2/100) 軒の出はほとんど無し・・ そんな屋根に突起物があり、トップライトまで付いている・・
「雪国で大丈夫なのだろうか」・・と感じつつも、
屋根屋さんも「危ないんじゃない・・」と警戒しつつも・・
設計事務所さんが各地で建ててきたのだから大丈夫なのだろう・・と思い、建築しました。
あるとき・・原因不明の雨漏りが起こりました・・。
夏の暑く晴れた後に強い雨が降ると、1階の軒天(1階だけは軒の出があったので)から雨漏りがしてくる・・のです。
夜の雨では起きない・・。 決まって、気温が高い後の雨で雨漏れが発生するのです。
(その前にスガモレも発生したのですが)
屋根まわり・・壁まわり・・ホースで水をかけての調査・・でも原因がつかめず・・
結局、屋根と外壁を全部はぎ取って原因を追究することになりました・・(--;。
屋根を最上部からはがしていき・・それでも原因がわからず・・気がおかしくなりそうになった・・2階屋根のはがし作業のとき・・
あれ?・・なにこれ・・?
(北上市内のとある現場の写真)
なんと・・野地板がすっかり濡れている部分を発見・・(@@;)
なんで・・
どっから・・入ったの?
・・というか、軒先から入ったのだとわかる写真・・
しかも、防水紙の下に入り込んで、野地板の上で横に広がるくらい、
何度も何度も染み込んだような 黒染みになってました。
しかも、軒の出なし・・
そこから壁の通気層伝って、1階の屋根まで到達していたことがわかりました・・。
緩勾配になると、屋根の仕様は
縦ヒラ葺になると思いますが、
その軒先は、板金を掴む+コーキングになります。
目視では、コーキングの切れはなかったので・・
本当に目に見えないピンホールの穴から吸い込まれて、
内部で広がっていく・・というイメージでしょうか・・。
その後補修で、屋根勾配4分勾配(4/100)に少し勾配UP
それ以上は上げれない現場状況だったので、最大上げました。
それでも、修理中に雨が降ってみると・・軒先の雨水の切れが悪いなぁ・・と
感じました。
防水紙は粘着テープ付きで
コーキングも いろんな部分で下打ちして、
念には念をいれて施工したので、
万が一軒先にコーキングのピンホールが有っても
大丈夫だとは思いますが・・。
工務店の皆さん、次のような点に注意してはいかがでしょうか・・。
① 緩勾配屋根では、軒を出すこと。
② 緩勾配屋根では、粘着つきの防水紙を使うこと
③ そもそも、緩勾配の限界を決めること。
特に雪国の工務店さんは要注意です。
今回の実験は③の「限界はどのへんなのか」・・ということを知る目的です。
追伸
多くのビルダーさん・工務店さん・大手ハウスメーカーさんですら、
失敗をたくさんしております。
ただ、ほとんど隠します。
それは、
技術者として恥ずかしいから。
ブランド名に傷がつく。
会社の信用が落ちる。
など理由がいろいろあります。
私だって、そういう気持ちがあります。
ただ、多くのお客様・工務店さんが被害に会わないように・・
設計事務所さんが、リスクを回避しながらデザインを追求できるように・・
恥を忍んで公開いたします。
その点だけは汲み取っていただければ救われます・・(--;
補修費は 数百万円でした・・。
【超緩勾配屋根の実験の様子のつづきは、毎月10日前後に公開していきます】