見学会が終わって、建て替えを間近に考えてらっしゃる方のアンケート20数枚は、N建設にとって、宝物みたいな資料でした。私も住宅事業部のスタッフも、その時点で住宅営業の経験はなかったので、そのアンケートのフォローは当時のN建設の営業部にゆだねられました。
ここで、ゼネコン営業の限界を痛感します。
2週間~3週間ほど経っても、「家づくりについて打ち合わせをしたい」・・という、お客様のお話がなかなかあがってこないので、営業フォローについてミーティングが開かれました。
そこで、はじめて営業方法を聞いてびっくり・・。
不在の方には「名刺のポスティング」・・ご在宅の方には「家づくりどうですかぁ?」という感じの話をするだけなのだそうです。
公共事業のための役所まわり営業と全く同じで、事務的な手法しかやらないうことを その時、はじめて知りました。
私自身も、住宅の営業って実際どうやっているのか頭を悩ませましたが、結局、良い営業方法がひらめく前に、そのアンケートはゴミと化してしまいました。
役所工事べったりのゼネコンにいると、「技術がしっかりしていれば仕事はむこうからやってくる」・・という感覚ができるみたいです。
よく上司から、「現場の近所の人で、うちもお願いします・・という人は出てこないか?」と聞かれることがありましたが・・、
一生に一度の大事業を、知名度もない会社の現場をちょっと見ただけで、アタッシュケースに現金を詰め込んで、「どうぞ、うちも建ててください。」という人がいるのだろうか?そう信じている技術屋中心の会社の自信体質に寒気を感じました。
「良い住宅を造っている」は「必要条件」であり、仕事を受注する「十分条件」ではない・・とこの時点ではそう感じました。
そんな、営業を全くしらないN建設の状況に、その後、念願の大手ハウスメーカーの営業マンが登場することになります。
事態は好転するのか・・
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