ACT13 大手ハウスメーカーの営業マン入社
月日は流れ、私も新在来木造構法で家づくりする機会が何度もあり、それなりに、理論や技術は理解できるようになってきました。U様邸では、おんぶにだっこながら、U設計さんのおかげで、「省エネルギー住宅賞」をいただけることにもなり、その後のアピールにさせてもらう「後ろ盾」を棚ボタでGETしました。
その後に現場担当した旅館建築(鳴子の「宿みやま」)でも驚くような不思議は続出したのですが、脱線してどんどん深みにはまりそうなので、今回は書かないでおきます。
N建設入社4年のころでしょうか・・、突然、大手ハウスメーカーの営業マンだった友人O君から電話がありました。
電話の内容は・・その大手ハウスメーカー(A工務店とします)の詐欺的な契約方法で被害届けが続出しており、住宅金融公庫からそのA工務店への「融資停止処分」が決定したという話・・。
当時の住宅営業にとって住宅金融公庫の融資を受けれないということは、住宅営業が出来ない・・ということに直結してしまうくらいの大事件なのでした。
そのため、食べていけなくなったので、N建設に入社できないか・・という相談だったのでした。
友人O君は、A工務店のやり手営業マンだったので、営業ノウハウを教えてもらうには願ってもない話だと思い、すぐにN建設の専務に相談・・。
専務も住宅営業ノウハウを教えてもらえる・・ということで非常に喜び、友人O君の希望する「年収」や「勤務条件」などを約束の上、入社してもらうことになりました。
このO君の入社は、いろんな意味で私の人生の方向付けを変えるきっかけとなるのでした。
O君には入社直後に、早速、そのA工務店の営業実演を会議室でしてもらいました(まずは専務と私の前で)。
・・・・・・
背中に汗をかきました・・。
A工務店では、「1回の訪問で契約書に判子をつかせる」と言っており・・、最初は正直・・疑いました・・。
でも・・本当に判子をつきたくなる営業手法なのでした。
営業ツール・営業トークの流れ・どれをとっても背筋が寒くなるほど、そのときの私にとっては完璧な営業手法に思えました。
実は、「良い住宅を造っている」・・は仕事をとるための「必要条件にもならない」のである・・と気づかされてショックでした。
良い住宅でなくても、営業手法さえしっかりしていれば売れる・・と痛感させられました。
ただ、その営業手法に「良い家」がプラスされれば、「鬼に金棒」となる・・ということも同時に感じました。
その頃、ちょうどタイミングよく N建設に家づくりのご相談に来られたお客様がいましたので、O君とはそのお客様の同行営業してもらい実際の営業を教えてもらいました。
このたった1回の実際の営業で学んだものは多く、このたった1回の同行営業で、私自身・・「自分でも営業できる」という自信を持つことができました。
それは、私の今後の人生に大きな影響を与えてくる出来事でした。
友人O君の言葉で記憶に強く残っている言葉があります。
「俺は、おめぇのように建築の技術や性能云々は分からねぇ・・。でも、俺は、おめぇより家は売れるぞ」
なぜ、営業がたった1回だったのか・・
それは、ここから、私の人生に 大きなうねりが起きてくるのです。
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