ACT14
「勝者は問題解決に寄与する。敗者は問題点を指摘する」
この言葉は、N建設の格言の1つです。
そして、私の中でも今では格言の1つになっている言葉です。
N建設には社是のほかに、このような 「勝者の論理と敗者の論理」 という5つの文言がありまして、それを月に一度の全体会議のとき、社員全員で唱和するのです。
他の4つの言葉は忘れましたが、今でも肝に銘じているのはこの一文です。
よく、他人の意見に対して、代替案や改善案を持たずに問題点だけを指摘する人がいますが、私はそのたびにこの言葉を思い出します。
この言葉を唱和していたわりには、N建設には「敗者」が多かったと思います。
心底がっかりしたのは・・、社員全員の前でO君に営業実演をしてもらったときです。
若い人は「すごいなぁ・・」と感動していたのですが、部長クラスの上司は、その営業手法の良い点を言わず、2~3か所くらいの問題点だけを見つけて冷やかすだけなのでした。中には鼻で笑って、「そんなにうまくいくか・・」とまったく話を聞かない人も居るほどでした。
他社の営業方法の良い点に目が行かず、「いままでのN建設のやり方が絶対なのだから、外様大名は余計なこと言うな」・・という感じにも見えるほどでした。
結局、N建設は、せっかくの大手ハウスメーカーの営業手法に秘められた、契約までの大切な流れの真髄を吸収する前に、表面の一部分だけを茶化して終わってしまったのです。
O君も、「これだけ説明してあの反応しかできない上司では、この会社の体質として根本から住宅営業は向かないのでは・・」と半ばあきらめムードになりました・・。
私も、それまで、いろいろな提案やアイデアを出しては茶化されて潰されそうになったことが多かったので、O君のそのときの気持ちはよく理解できました。
私の運が良かったことは、そんなときに限って、「流れ」が味方してくれて結局は貫けることが多かったことです。
このあたりから、私のN建設 「卒業」 という 「流れ」 は、ゆっくりと動き始めました・・。
ときは、1997年、フランスワールドカップのアジア予選が始まった頃です。
「勝者は問題解決に寄与する。敗者は問題点を指摘する」
私の人生の格言の1つです。
*【流れに従って生きる】は毎月1日に更新していきます *