ACT19 HAさんとの不思議な縁
住宅設計を依頼してこられた牧場のオーナーHAさんは不思議な方でした。
住宅設計の打ち合わせで初顔合わせのときに、
私が「省エネルギー住宅の設計という立場で、住宅設計に加わるアルバイトの白鳥です。」・・と自己紹介しても、
「おお!そうか。」とニコニコして理解をしてくれました。
「アルバイトです」と正直に言って、
それに対してHAさまから「え・・?」の一言も無かったことに・・
こちらの方が「え・・?」っと・・びっくりしました(^^;)。
設計内容のご要望としては、海外との交流も多いということで、外国の方の来客用宿泊室も設計に入れるという、規模・予算とも実は桁外れの豪邸だったのです。
私自身、そんな規模の設計をしたことがなかったので面食らいましたが、それよりも、そんな大事業を20代の2人が行うということに、よく不満も漏らさないでニコニコしてるなぁ・・と、不思議に思いました。
後で知ったのですが、HAさんも20代半ばで牧場を始めるため、他の県から最適な土地を探して東北までたどり着いてしまい、そこで小さい開墾からスタート。
たった1代で大きな牧場にまでしたということでした。
そんなこともあり、20代の私たちが担当することに快諾をしてくれたのでしょうか・・。
この設計は、時間制限があるという・・こちらの勝手な事情もあり、3ヶ月間で細部までどんどん詰めていきました。
しかし、肝心のところで二転三転してしまい、振り出しに戻ることが多い設計でした。
何度となく図面と模型を修正しましたが、肝心のところで大きな変更を余儀なくされました。
今、考えると提案力に力不足があったと感じます。
私も牧田もタイムリミットが近づいてきて・・正直言ってあせり始めていました。
私がCホームに就職した後も、メールでやり取りして、打ち合わせに同行するか・・とか、工期を逆算してワーキングホリデーに間に合わせるには・・など日程の作戦も練らざるを得ない時期にさしかかっていました。
・・と、そんなタイムリミットとの格闘で焦りはじめていたときです。
9月だったと思います。
突然HAさんから「家づくりは長期延期」という連絡が入ったのです。
「何があったの・・?」 と思いましたが・・
なんでも、占い師さんに見てもらったら「今年は、住宅建築には最悪の年」だというのが理由だそうでした。
ちょっと拍子抜けしましたが・・、
正直言って・・内心ホッとする部分もありました。
これで10月からのCホーム就職に心おきなく行けるし、牧田もワーキングホリデーに心おきなく行けると感じました。
HAさんは、ここ4か月くらいの途中までの設計諸経費として、〇百万円も都市計画事務所に支払ってくれたのです。
それもまたびっくりです・・。何の図面も完成してないのです。
よく支払ってくれたなぁ・・と、かなり驚かされました。
その4か月の間、HAさんとは 家づくりの打ち合わせ という形でお話をお伺いすることがありましたが、経営者として・・そして人間としての「器の大きさ」を学ばされた思いがしました。
HAさまは 事業で得た利益の一部を使って地域の子供たちを海外に勉強のためにホームステイさせるという活動もしているそうで、私も自分で事業を始めることができたら、HAさまのような人間の器になれるだろうか・・という人間像を学ぶ機会になりました。
たった4か月でしたが、私の人生の中で、何かを悟るような刺激のある日々でした。
このあと、HAさんとは、一定期間をおいて、不思議な縁で再びつながることになります。
事実は小説よりも奇なり・・
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