高断熱住宅は暑いのか涼しいのか・・というのを少しでも理解するため、2つの測定データーを見てみましょう。
これは猛暑と呼ばれた2010年に、OBさま5軒を測定させていただいたデーターです。
当時、「高断熱住宅なんて暑くてダメな家だ!」 「断熱より自然の風を通して涼しい家!」 というフレーズで、高断熱高気密住宅=悪 断熱はてきと~な自然派住宅=正義 と叫んでいたフランチャイズ系の家づくりがありました。
それに反論するにもデーターは無かったためOBさまのご自宅を測定させていただきました。
(私自身、実際に夏はどんな感じで暮らしているのかヒアリングをしたことがなかったので興味もあったという理由もあります)
Data【A】 : まず、5人の中で一番、夏の良いデーターが取れたお客様のグラフです。
外気温が35℃越えを連日しておりますが、1階のリビング・2階のホールとも30度を超えないで生活できております。
実際に測定器を設置しに行ったとき、あまりの涼しさに 「エアコン・・随分、動かしているんですね・・」と尋ねたところ・・ 「白鳥さん、我が家エアコン付いてませんよ・・」という話に驚きました。
ここまでのデーターはなかなか取れませんが下記のような条件が揃うと可能です。
① 周辺建物との関係など立地条件
② 南側の庇の長さなど デザイン面
③ 生活パターンの工夫(あとで記述します)
④ 熱帯夜が続かない 地域性
① ~ ③ は努力次第で、何とかなります。 ただし、④は地域性によるので、熱帯夜が続く地域では、エアコンは必須になります(もちろんエアコンに頼るパワーは少なくなります)
Data【B】 こちらは、一番暑いデーターを記録したグラフです。
実は、このお客様には、「日中になるべく窓を開けて生活してください」とお願いしたのです。
夏に、「窓を開けて自然の風で ひゅ~っと涼しい暮らし」 というが本当なのかな・・ということを知りたかったためです。
結果としては、当然ですが、室温も35℃になるときもありました。
お客様からは 「熱風しか入ってこないから暑いよ・・」 というお話もいただき、大変ご迷惑をお掛けしたデーター採取でした・・(--;)
多分 窓を開けても涼しいというのは次のような時ではないでしょうか・・(これは予想の範囲です)。
① 暑いと言っても、気温27度前後の 風がある日
② 仮に35℃の外気温でも風速10m以上ある日(逆に強力熱風で死にそうになったりして・・(^^;))
③ 春や秋と 夏を いっしょに考えての発言
④ 室内に蓄熱力がある仕上げが相当量使われていると違うのかな・・?
【簡単な考察】
深いご説明は次回するとしまして、簡単な考察をします。
〇 デザインにもよりますが、夏は実は窓を閉めていた方が涼しいことが多いです。ただし、最近、流行の 「庇の無い」 デザイナーズ系住宅デザインですと、逆になります。窓を閉めていると、どんどんどんどん 室温は上がっていき、40度越えも出てきます。
〇 窓の開閉ですが、朝晩の涼しい時間帯は開けた方がいいです。(室温より外気温が下がったら、積極的に風を通しましょう)。
【 住宅業界にあるさまざまな表現 】
〇 「家は夏を旨とすべし」 と、いにしえの言葉をアピールして、断熱はてきと~にして、自然派を歌う家づくり説明が10年くらい前にありました。今でもあるかもしれませんが、データーからみますと、そろそろお客様からいろいろ言われて、その言葉は使えなくなっているのかな・・と想像します。
〇 「高断熱高気密住宅なんだから1年中窓は開けません。ですから網戸は要りません」という説明をする会社さんもあります。これも、10年前の昔の話かな・・と思ってましたが、今でもあるそうです。
夏に涼しい暮らし方、春や秋の体に心地よい外気温のときにの暮らし方 と考えますと、その表現もどうなのかなと思います。
ちなみに、「高断熱高気密」を最初に提唱した研究者の先生は、「窓を閉め切って生活しましょう」・・なんて言ってません。
詳しくは次回以降で説明していきます。
夏は簡単ではありません・・とだけ、何度もお話しておきます。
【 高断熱は夏涼しいの? は 毎月20日にアップしていきます。】