ACT22 Cホーム入社
こうして提案書を送った半月後の10月1日、私は、ほどなくCホームに入社しました。
入社前に提案書を送るという前代未聞の行動を取ったので、どういう目で見られているのか気にはなりましたが、その会社の器の大きさもみれるかな・・と開き直り感もあっての出社となりました。
しょっぱなから、またサプライズがありました・・。
私の配属は営業ではなくなっていたのです。
なんと、開発室になっていました。
もっともっとやってみたい事があったのでラッキーだと思いました。
社長からは、提案書について否定的な意見は言われず、よく覚えていませんが褒められた記憶があります。そういう点では、意見が言える会社だな・・という安心感がでました。
ただ、入社したときのCホームは決して前途揚々という感じではありませんでした。社員の目や会話振りを見てればそれは肌で感じました。N建設と同じ臭いがしたのでした。
1週間もしないうちに、その原因がわかりました。
家を売るという仕組みとしては、ほとんどN建設と同じで、商品もなければ、価格も不明、やはりアピールするものもない・・と営業マンが大苦戦。
言葉は悪いですが、土地をエサにお客さまを確保するか、価格の安さでかろうじて物件を取ってきているという状態でした。
さらに、その価格の安さも根拠がなく、営業マンが契約欲しさに勝手に価格を切ってくるという状態でした。
現場は、「予算がないんだから」と混乱しており、さらに、あとから明るみになる営業マンの「サービスしてお付けします」の別途工事の山に不満が爆発しそうな状態でした。
全体会議で、それぞれの部署からの意見を出す機会もあったのですが、ここで、思わぬ発見をします。
それは、ほとんどの人が、他の部署のことを知らないということでした。
営業部は、いままで営業の仕事だけしていたため、「設計部の考えていること」「工務の考えていること」を全く知らないし、他の部署も同じことが言えたのでした。
私は、N建設で基本的には全部やってきたので、この状態での全体会議の光景が不思議も思えたし、ちょっと面白く見えました。
営業が「設計積算部の提案力がないから売れない。もっと安くしないと売れない!」
「工務は、なんでもっと現場に出て、きちんと管理できないんだ」
設計積算部が「営業の売り方がだめなんだ。これ以上安く出来るか!」
「いいから、見込み客つれて来い。設計してやるから!」
工務が「営業が、勝手に値引きし過ぎて、こんな予算で現場のやりくり出来ない!」
「設計も、予算に合った設計しろ」
力関係としては、設計部が一番えらい「先生」という格付けで、技術屋主体のゼネコン体質で・・「ありゃりゃN建設よりひどい会社だなぁ」・・と思いました。
会議は、大体こんなやり取りが続き、お互いにうまくいっていない責任を他人に擦り付けるだけの、子供のけんかのような会議でした。
これが滑稽でした。
だれも、どこに原因があるのか見通せていないのに、評論家のような「敗者」を演じていたのです。
ここで、N建設時代にいろんな事をさせられた経験が、実は良いことだったと思い知らされました。
私には、うまくいっていない原因がどこにあるのか見通せていたのです。
このあと、さらに驚かされたことがありました。
私の給料でした。
社長が高く評価してくれたのだろうか、期待料なのだろうか・・入社前に聞いていた金額(25万円前後)より驚くほどあがっていたのです。
なんと、年俸制の月給48万円でした(@@;)。
ビックリしました・・・。
提案書を出してよかった・・とつくづく思いました。また、48万円ということは、年俸で600万円弱・・。「俺一人で年収の3倍にあたる1800万円の利益に値する仕事をすればいいんだな!」というやる気も出ました。
前述しましたが、私は「10期待されれば12で応える」つもりだったので、この金額に恥じない成果を上げてみせると思いました。
・・と同時に、俺がこの金額だと、ここにいっぱい居る上司の給料っていくらなの???。
経理の人に、「年間何棟やってるの?平均粗利率は?」と不安になり尋ねました。他人の給料はさすがに聞きませんでしたが、想像で計算してもどうやっても矛盾してしまうのです。
この会社、5年もつんだろうか・・。
それとも、経営マジックってあるのだろうか・・。
不思議いっぱいの入社初期でした。
ここから、Cホームの改革が始まります。
*【流れに従って生きる】は毎月1日に更新していきます *