ACT 23 Cホームでの改革
私がCホームで、まず着手したのは、商品(標準仕様)づくりと、営業ツール(簡易見積もり計算書、諸費用計算書、打ち合わせツール・・など営業7つ道具)でした。Cホームの問題点の根本は、N建設と同じこの点にあることがすぐに分かりました。
適正利益を上げられる「仕様」と「価格」が決まっていないので、初回の打ち合わせで、そのお客さまの自己資金や年収から、建築可能なお客様なのか・・、そうでないお客様なのか・・、判断ができない状況でした。
そのため、総工事費用を概算で把握できないまま、プランや打ち合わせに時間が掛かり、かつ、やっと見積もりが出たときには、「とても建てられません」・・という展開が待っているのです。
そうなると、「数ヶ月も打ち合わせで時間を費やしたんだから、利益無視でも値引きしてでも営業成績にしたい」・・という悪循環になるのでした。
また、営業の教育にも着手しました。
もっとも駄目な部分は、「坪単価」×「面積」における「面積」の誤認識なのです。
Cホームの誰も知らないのがガンだったのですが、
坪単価に掛ける「面積」を「延べ床面積」にすると、とんでもない落とし穴が待っているのです。
最初に、営業マンがお客様におおよその工事金額を「坪単価」×「延べ床面積」でOKであるかのように説明すると、 「吹き抜け」「ロフト」「ポーチ」「バルコニー」「ウッドデッキ」は、お客様の頭の中で「面積計算」されないのです。
ちょうどそういう物件が社内にあり、営業マンと積算部署で喧嘩していました。
「坪40万円くらいって聞いたから、50坪で2000万円くらいのはずじゃないのか!?なんで2500万円の見積もりが出てくるんだよ!!」
「仕方ないでしょ。拾ったらそういう結果になったんだから!」
「こんなんじゃ、お客さんに怒られて契約できない!2000万円まで下げろ!」
「出来るわけないでしょ!。これでも、業者をたたいて詰めたんだから!!」
図面には10畳分の吹き抜けと、10畳分のバルコニーがあり、ウッドデッキも広々付いて、玄関ポーチも広々設計の豪華な設計でした。
確かに「延べ床面積」は50坪ですが、価格を算出するときに使うべき「施工面積(工事面積)」は65坪くらいの計算になりそうな図面だったのです。
結局、この物件はお客様が激怒して、営業マンが悪者になって白紙となりました。
最初に2000万円という予算を知っておきながら、施工面積の認識がなく設計した設計部の責任が一番なのですが、この契約白紙の責任は営業部に負わされる会社の仕組みでした。
・・というよりは、「施工面積」という認識が会社全体にあれば、営業マンも「吹き抜けほしい」と言われた時点で、「吹き抜けも費用が掛かりますよ」と説明できたのであり、設計部も2000万円なら、延床面積は45坪くらいで設計して、5坪分の予算はバルコニーや吹き抜け分に使おう・・となったのです。
この手の落とし穴に気づかず、金銭トラブルを起こし、
利益が残らないため
破産していった工務店は日本中に数多くあります。
私もO君に聞くまでは、実は意識しておりませんでした。
そういう意味で、O君がN建設に居た わずか1年ちょっとの期間は
私にとって重要な時期だったのだと気づかされるのでした。
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