ACT28 帆を上げる
しばし、呆然としました。
時間的にはそんなに秒数はなかったと思いますが、
頭の中が混乱していたせいで、
長く呆然としていた感覚を覚えました。
私「な・・なんで、お前がこんなところに居るの!?」
「カナダに居るんじゃないの!?」
牧田「あれぇ、パソコンのメールに 『12月の中旬1週間だけ日本に帰る』 ってみんなに送ったよ・・。見てないの?」
私「しばらく、パソコンメール見てなかった・・。
でも、なんで古川に居るの!?」
牧田「まあ、それはいいとして、こちら俺の彼女」
なんと・・、牧田は、いつの間にか彼女がいたのでした。
そんな話は置いておき・・
牧田は群馬県出身で大学のため仙台市に来たのです。
仙台市より北30kmに位置する古川市に居る縁もなければ、そこに来る理由も極めて少ないのです。
・・というより、カナダに居るはずだった人間が古川市にいること自体、きわめて低い確率です。
さらに私が古川市に来るのも稀なことで、その蕎麦屋でそばを食べるのは人生2回目だったと思います。
ましてや、蕎麦屋の滞在時間は1時間程度。
当然、牧田の滞在時間も1時間程度。
このタイミングで意図せずに牧田に会う確率は・・、
多分、宝くじで100億円当たる確率より低いはずです。
背筋に電流が走りました。
私 「ところでさ・・カナダのワーキングホリデーから帰ったら、住宅会社を一緒にするか・・
という話を昔してたじゃん・・。
あれは牧田の頭の中ではどんな感じなの?」
牧田 「白鳥がいいのなら、そのつもりで考えておくよ」
私 「実は、そういう機運が周辺で徐々に出てきているんだよ・・。
分かった・・そのつもりで動いておくよ。」
牧田 「了解!」
そのとき、ふと・・昔、牧田が言っていた言葉を思い出しました。
「追い風が吹いているときに帆を上げられないやつは、いつまでたっても進まない。」
「追い風が吹いていることに気づかない人もいる。」
・・・と。
私は、この絶対にありえないような「奇跡の事件」に勇気をもらう形となり、迷いがすっかり吹き飛びました。
F様の家づくりを最後に独立に向かって『帆を上げる』ことを決心したのでした。
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