ACT29 独立準備
長い間 心の中に抱いていた恐怖心は、奇跡の出来事によってすっかり打ち消され、
「独立する」という腹は決まりました。
まず、立つ鳥あとを濁さずではないですが、きちんとローコスト住宅の手法をまとめて、上司にレポートとして作成することにしました。
そして、正月中、じっくりと本格的にどう進めていくか考えました。
「どういう家」を「どういう価格」で「どういう営業方法」でやれば市場に受け入れてもらえるのか?・・。
どこの地域を市場とするか?・・。
誰と組むか?・・。
某建材メーカーのKさんは、「いい住宅を建てれば簡単に売れる」という感覚を持っているので、やはり心もとないと感じました。住宅営業したことない人では売れないだろう・・という予感がするので、営業・設計・現場管理まで私がすることになり、結局、苦労するのは私だけのような絵が浮かぶのでした。
友人Oの同僚Eは、3つほど年上なのですが、雰囲気はエゴイスト。頭が良いせいか、自分の意見を押し通す論理展開に長けているタイプです。まず、相手の逃げ道を1つ1つ納得させる形で塞いで行き、だから自分の言っていることが一番正しい・・という、論理展開をします。さすが、大手ハウスメーカーの営業をしていただけあって、お客さまを説得するのがうまいです。
金融の知識も相当あるようなので、先物取引の営業をさせても、お客さんをだましていけるほどの頭脳と話術を持っているように感じでした。
しかし、私まで洗脳されて取り込まれそうな気がして組むのには危険な香りがプンプンしました。
ただ・・、そのころの私は、それほど人を判断できる人生経験がなかったので、出した結論は「流れに従う」でした。
ここまで「流れ」が来ているのなら、決して破滅の道への「流れ」ではないだろう・・。まじめに生きてきたつもりだから・・という開き直りで構えることにしました。
正月明けから、KさんやE氏と会いながら各々の考え方を話すことが何度かありました。牧田との絡みも総合的に考えていくと、基本的には牧田と組んだほうがやりやすいという感じがしました。
Kさんは候補から外れました。
E氏は「親の土地に自宅を建てるつもりなので、それを、新住協の考えを盛り込んだ家で建ててもいい。そこを、事務所として使ったほうが営業的にも経費的にもいい」という案を考えていました。
さらに、友人O君から 「Eは人相は悪いが、金計算はすごいぞ!。組んだ方がいい。」という話までされました。
私 「んでもなぁ・・。多分、性格や考え方は、合わなそうなんだよなぁ・・」
O君 「きれい事言ってても、金でつまずけば人生終わりだからな!。一回組んでみて、やっぱり耐えられなくなったら、そのときはそのときで考えたらや?」
確かに、牧田に岩手県に来いといっても、牧田は帰国後すぐに結婚して仙台で暮すと言っているし・・。私も岩手県で旗揚げするには、Cホームの勢いがまだまだ強い(当時、Cホームの社長は、独立した人間は敵とみなして、取引建材店などに圧力をかけるのでした。そういう事情もあり、岩手県内では1年以上の空白を開けたほうが良さそうな感じがしていました。)
しかも、牧田が住むのは仙台市の泉区、E氏が家を建てるのも泉区、そして、私が住むとしたら親のアパートの泉区・・と、これまた偶然にも半径3km以内に3人の暮す場所と展示場予定地が集合していたのでした。広い仙台市で、これだけ重なるのは、この方向に進むべき「流れ」なのかな・・と思い、結論はE氏と組むことにしました。
条件は、牧田も入れて3人でやることでした。
牧田は、冷静に相手の話を分解するタイプなので、E氏が一方的に自分の考えを押し付けようとしても、その論理展開が本当にいいのか・・、他の視点からの考えがないのか・・という捉え方をしてくれると思ったので必要不可欠でした。
E氏は、「スタート時からでは経費が合わない」とか、「営業経験無いのに生産性が・・」とか、抽象的な論理展開で拒絶しようとしましたが、その条件だけは押し通しました。
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