ACT 33:『牧田、帰国・・。そして、ありえない展開・・。』
牧田が帰国したのは8月でした。
E氏は、牧田と会った事もないためか、帰国する前から牧田の存在が邪魔なような感じが強く・・「牧田は住宅業界の経験がないから営業もできないだろうし、基本的には見習い扱いにするから」とか、「まだ仕事が見えていない状態で、仕事の取れないの人間を雇うのは経費の無駄になる」とか、言いたい放題でした(--;)
できれば、混ぜたくないということも言っていました。
私は、「まぁ、これも流れなんだから組むことに間違いはないと思うよ。いろいろ出来事を並べると、これでいい流れなんだよ。」と軽く言っていましていた。
しかし、E氏には、この「流れ」という『数値で計算できない可能性』は不愉快だったようでした。
自分の器の中で数値に置き換えて計算できる可能性しか信じたくないタイプの性格でした。
そんなモヤモヤの状態の中で牧田の帰国となったのです。
私は、初めて3人で顔を合わせた日、E氏が牧田に対してどんなひどいことを言うのだろうか・・とヒヤヒヤしていました。
牧田 「よ!久しぶり」
私 「元気だそうだなぁ!」
私と牧田は久々の再会にニコニコしてあいさつしていましたが、E氏は明らかに何か暴言を言いたそうなオーラを出していました。
私「こちらEさん(牧田に)。」 「こっちが牧田(E氏に)。」
牧田「どうも・・。よろしくお願いいたします。」
E氏「よろしく・・」
明らかにE氏は何か言いたそうでした。
私は、心の中で・・「初日から暴言をは吐かないよなぁ・・。いや・・E氏なら初日だからこそ釘を刺す意味でキツイ言葉を言うはずだ」・・とドキドキしてきました。
しょうもない雑談を数分交わしたあと・・、E氏が、重い口を開きました。
E氏 「ところでさぁ・・牧田さぁ・・」
私は心の中で「げ・・。もう暴言吐くの・・(@@;)」とドキドキでした。
しかし、牧田は何かを察したのか、E氏の話を止めるように・・話し始めました。
牧田 「ちょっとその前に急ぎの相談があるんだけど。」
私 「なになに?」。
私も、E氏の暴言を遮る目的で間髪入れずに牧田の話に合いの手をいれました。
牧田「実は、家づくりの相談が入ってきて、早速で申し訳ないんだけど、
その仕事をこの会社で受けれるかどうか相談したかったんだ。」
一瞬、ポカーンとした時間が流れました。
なんと・・
牧田は、『新会社の初仕事』という
とんでもない『お土産』を持って帰国してきたのでした。
詳しく話を聞くとそれも強烈にびっくりするような話でした。
それは、前述した牧場のオーナーHAさんから、
「やっぱり家を建てるから、帰国したら牧場へ遊びに来なさい」という話があったというのです。
すでに私と牧田は、当時の都市計画会社には務めていなかったのにも関わらず、牧田に直接連絡があったのでした。
牧田は、帰国前にメールでやり取りして、新しい会社での初仕事にしてもらえるように話までしていました。
しかもその住宅の規模は半端なく大きいものでした。
海外のゲストルームも兼ねている住宅なので、面積・工事費とも私の人生では未だに経験のない規模でした。
会社を設立して、最初の仕事をどういう方法でGETするか画策して悩んでいた私たちにとって、のどから手が出るほどの物件でした。
住宅業界の経験も無く、経費の無駄・・できれば混ぜたくない・・とまで言われていた牧田が、
帰国と同時に、一般住宅4~5軒分に相当する物件を持ってきたのでした。
この展開はさすがに私も予想しておらず、かなりびっくりしました。
E氏にとってはかなりバツの悪い展開になりましたが、自分の非を認めないこと信念にしているE氏は、あとで私に屁理屈を並べるような論理展開で、自分のそれまでの発言の正当性を主張してきました。
私は、その姿が滑稽に思えました。
救いだったのは暴言を吐く前に、牧田からこの家づくりの話が出たことでした(^^;)。
こんな、面白い展開で新会社10月のスタートを迎えることになりました。
まさに「事実は小説よりも奇なり」です。
申し遅れましたが社名は「株式会社 木の香の家」でした。
この社名は、私が提案し牧田が少し修正を加えました。
E氏はウッドフルホームとか横文字が好きだったみたいでしたが、多数決で「木の香の家」に決まったのでした。
私は、12月までCホームの現場があるので、1月から合流することにし、牧場オーナーHAさんは岩手県だったので、その打ち合わせだけ合流することにしました。
つづく
次回・・私の身に、岩手への吸引力がさらに増す運命の事件が起きるのでした。
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