ACT37 HAさま と 着工。 そして・・・
㈱木の香の家としての最初の現場であるHAさま邸は2月に着工となりました。
HAさまとは設計での打ち合わせを繰り返していく中で、経営者としての考え方や姿勢について、非常に多くのことを感じ学び取らせていただきました。
HAさんは1人で地縁血縁のない土地に来て開墾からスタートし、地域とのつながりを深めながら、農業・畜産業を通してかなりの事業規模になりました。
まったく地縁の無い場所でいろいろご苦労も多かったそうですが、そんな雰囲気は感じないほどいつもニコニコしています。
HAさまの凄いところは、その事業の中で得たお金を自分のためだけには使っておらず、町の小中学生を毎年、数人ずつ海外へホームステイさせていたのです。
「次の世代は国際感覚を身につけなければな・・。次の世代を育てる」と言っていました。
それを10数年継続していたのです。
全て、HAさんの会社からの寄付という形で行なっていたそうが、今では町にも国際交流課ができるほど町ぐるみの活動にまでなっていようです。
他の地域から移り住んで、その地域のために感謝の気持ちもあるでしょうが・・そこまでの行動を起こすという経営者としての器・人間の器の大きさを学ばせていただきました。
もし、私が経営者になったとしたら、どこまでHA様のように社会還元ができる人間になれるのだろうか・・。
E氏は「寄付は経費になるからだろう・・」と冷めたように言っていたが、その言葉には、人の上に立つべき「人間の器」の違いを強く感じさせられました。
「次の世代」・・私たちにもそれを期待されていたのでしょう・・。今考えるとそう思います。そういう価値観でなければ、会社の形態もままならぬ若造に、とんでもない規模の自宅を依頼するはずがありません。
地鎮祭は春まで待たず、HAさんのご要望で急ぐことになり1月末ころという寒い時期に地鎮祭を行いました(^^;)。
雪もめったに積もることはない地域なので、着工してしまおうというHAさまのご希望でした。
平屋ということもあり、地鎮祭のときの地縄の大きさも見たことがないほどの大きさです。
私 「でかっ(@@;)。こんな地縄、住宅で見たことないよ」。
地鎮祭では、HAさまご家族や、ご友人の業者さんも何人か参加なさって行われました。
厳かに地鎮祭は終わりましたが、地鎮祭終了後、ご友人の方が
「HAさん風邪でもひいたかのかなぁ。顔色ちょっと悪かったけど・・」。
私 「そうですか?。あまり気づかなかったですが・・」
ご友人 「いやぁ・・。いつもだともっと元気だよ。寒い時期だから体調崩してるんだな。」と心配していました。
基礎工事は、地鎮祭後にすぐに始まりました。
平屋の全面べた基礎なので、配筋作業も通常の2階建て住宅の4倍近くとなり、かなりの迫力です。
基礎工事と合わせて、プレカット・輸入建材ともどんどん発注を掛けていき、工事の着工といっしょに会社の運営経費が確保できる安堵感で、私たちの会社は次の受注への展開も考えていこうという意気揚々の雰囲気になりました。
いろいろ想定していた会社のスタート像の中では、もっとも良い形になりました。
1年間も安定した経費が見込めるスタートなんて、本当に想定していた以上です。
そんな、意気揚々としていた、着工して1か月足らずのある日・・
突然、予想もしていなかった電話が会社に入りました。
Ho建材のM部長さんからでした。
その電話で、私たちは凍りつくことになるのです。
M部長 「もしもし! 大変だ! HAさまが亡くなられた...」
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