ACT41 岩手へ戻る「流れ」が加速し始める
私はこの頃から、E氏とは決別しようと強く思い始めていましたが、出会った3人のお客様の仕事だけは終わらせてからにしようと考えていました。まだ、正式契約までなっていませんでしたが、全てのお客さまに対して家づくりの断熱理論を熱く説明していたからです。
そんな、曖昧な精神状態で仕事をしているとき、思わぬ出来事が起きました。
私は現在かみさん(しばらく菅原さんと記します)とその頃付き合っていたのですが、その菅原さんからの電話でした。
菅原さん「うちのお父さん家を建てるんだって。それで、私がプッシュしておいたから説明に来て欲しいの」という突然すぎる話です。その時点で大手Mホームと、なんと私が在籍していたCホームが営業に来ているというのです。
そのときは、何の流れが始まるんだ?とビックリしました。
Cホームは私と犬猿の仲だった人が営業に来ていたので絶対に勧めさせたくなかったし、Mホームも値段の割には性能が悪かったのでお勧めできませんでした。
しかし・・そのときの木の香の家では建てたくないという思いも出てきました。自分の彼女の実家をE氏の息が掛かった会社の物件にしたくないという思いが強く出てきたのです。
どうしたらいいか悩みました・・。
人が家を建てるのは、一生に1回か2回・・そんなめったにない出来事が、こんなタイミングで自分の彼女の家で起きるなんて・・。もしかして「岩手に戻れ」・・という「流れ」なのか・・?
頭の中がかなり混乱してきました・・。
そんなときに、さらに追い討ちを掛けるような出来事が起きたのです。
突然、東京で設計事務所をしているウッチーさんから電話があったのです。
ウッチーさんは、私の先輩でACT9でも出てきましたが、私が初めて高断熱高気密住宅に携わることが出来た恩人でもありました。
その後、5年くらい東京で設計事務所をしていたのでした。
突然の電話の内容はこうでした。
ウッチーさん 「白鳥君、僕ねぇ・・今度、岩手に行くことになったよ!」
私 「え!?何でですか!?」
ウッチーさん 「岩手県立大学の講師にならないかって誘いがあったんだ。いろいろ考えて岩手に行くことにしたよ。」
私 「そうですかぁ・・。これも流れなのかなぁ・・」
ウッチーさん 「何?岩手に戻ろうと考えているの?」
ウッチーさんは、以前から私の「流れ」という不思議な出来事を何度か見ているので、すぐ理解したようでした。
私 「何となく・・そうなんですよねぇ・・。」
ウッチーさん 「E氏とは、合わなかったんだ。」
ウッチーさんには、以前にE氏に会ってもらっていましたが、ウッチーさんのE氏に対する印象も実はかなり悪かったのです。
私 「それもありますし・・、実は彼女の実家で家を建ててくれという話が降って沸いてきたんですよ」
ウッチーさん 「まぁ何となく・・、寒研(寒地住宅研究所)の本間さんも岩手に来るみたいだし、磁力は岩手に向いている感じはするね・・。」
ん~。私はますます悩みました。
仙台の3人のお客様を手がけてから退社・・にはもうひとつ理由があったのです。
それは、私には仙台にいるうちに恩を返しておかなければならない人がいたということでした。
大工さんです。
仙台に居たときにお世話になったT大工さんなのですが、私に多大な期待をかけてくれた人なのでした。岩手の会社に行くときも「白鳥さんはいずれ独立する人間なんだから、仙台に戻ってきたらいつでも手伝うから」と、その後もちょこちょこ連絡を取り合い、私が仙台に戻ってくるのを待ってくれていました。
T大工さんは大手ハウスメーカーの下請けで、最近はもっぱらツーバイフォー工法の現場が多く、軸組みをやりたいという事も言っていました。そんな事情もあり、せっかく仙台に戻ってきたのだから、1つくらいは仕事をいっしょにしたかったのです。
私は悩みに悩んで・・T大工さんに相談に行くことにしました。
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