ACT 44 E氏の攻勢
数日後、私はE氏に会社を辞めることを伝えました。
理由をなんと話したか忘れてしまいましたが、とにかく、考え方がかなりずれているという意味合いは伝えたと思います。
それを聞いたE氏の攻勢は、私の予想をはるかに上回るほどすごかった・・というか・・すさまじいものがありました。
「おまえは絶対にお金で失敗する」と脅したり、すかしたり、なだめたり、わびたり、その喜怒哀楽の激しさといったら、尋常な人間がする行為には思えないほどでした。
おかしいとも感じました。
私が社長だったら、辞めたいという人間を会社に置いていても仕方ないので、あっさり認めるだろうなぁ・・と想像できたからです。嫌々仕事するくらいなら辞めてもらって、お互いに次のステップを踏むように話すだろうなぁ・・と想像できました。
E氏が何故そこまでして、辞めさせないように怒鳴ったり、組もうと歩み寄ったりするのかが理解しづらいものがありました。
E氏の怒涛の攻勢は1か月も続きました。脅しの内容はいつも同じで「こういう理由でお金でつまずき、お前は人生を棒に振る」というものでした。
散々脅したあとでなだめるときは「今、うちの会社には4000万円の現金がある。少し貸してやってもいいぞ」という譲歩案もありました。
私は、これもおかしいと思いました。
4000万円は一時的に入金された工事代金であり、その8割~9割は支払いにまわり、会社の運営費用も考えれば数%しか使える資金は無いはずなので、数か月後にはほとんどが消えるお金なのです。あたかも、その4000万円がず~っとあるように表現している感覚に違和感を覚えました。
もちろん、お金なんて借りたら、何十倍もの「貸し」に化けることは分かっていましたし・・、再独立に向けて強い流れも感じて腹も決まっていたので、そんな茶番劇に動じることはありませんでした。
私を信頼して出資してくれたHo建材の社長さんには、何度も事情を話して最終的には理解してもらいました。
1ヶ月ほどの攻勢でも折れないことが分かったE氏は、私に会社を辞める代わりとして2つの条件をだしてきました。
1つは、その時点で私が担当して契約寸前だったお客さま(STさま)の引継ぎでした。私の手紙でここまで話が進んだので心苦しかったのですが、STさまには、E氏の方から「白鳥が結婚するので岩手に戻る」という電話をするので、私から一切の連絡をとらないことを言われました。
私から電話すれば契約すら壊れると警戒したのでしょう。
私は快諾し、「どうぞご自由に」・・という思いでした。
もう1つは、私が居なくなるとE氏にとってHo建材の社長の存在は邪魔でした。
「株式会社」の称号は取れているし仕事も見えている状態なので、株を買い取ってHo建材の社長さんには、株主から抜けてもらうように私に協力しろ・・ということでした。
これも、問題ないと思い快諾しました。
Ho建材の社長にとっても、私が居ない会社に出資する義理もないと思うので、すぐにOKしてくれると思いました。
私は2つの条件を飲むことでE氏をようやく説得でき、次のスタートのための準備に取り掛かりました。
菅原様邸を初めての物件にさせていただくお願いや、周りの人へのあいさつなど周辺整理に日々を費やし、ほぼ事務所には行かなくなりました。
しかし、ここから思わぬ方向へ話が展開していくのです。
数日後、突然、私の携帯電話にST様(お客様)から電話が掛かってきたのです。
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