ACT50 E氏の「大」墓穴
私は無事に㈱木の香の家の北上現場を終えて、すべての物を仙台の事務所から引き揚げる時期になりました。
短い期間ではありましたが平穏な日々も送り、あとは時間経過とともにHo社長と私の「株」を抜けば一段落という感じでした。仙台の事務所でも、私の退職金をどう計算するか・・などの話し合いになっており、いよいよ終焉かなという思いでした。
私が ここしばらく おとなしくしていたので、半年の退職金にしては少し高価ですが「数ヶ月前に買った社用車ビッツ」を退職金代わりにもらうことで円満にまとまりました。
E氏からの「株を売れ」という話だけは、「Ho建材の社長には俺(私)から話すからちょっと待っててくれよ」と てきと~な理由を言ってやんわりと断りました。
E氏の「株を売れ」は・・6割の議決権を持って、Ho建材の社長をコケにするつもりだろうとなんとなく想像できました。
だから売れませんでした。
そして、やっとの思いで鳥かご事務所から私の物すべてを引き揚げることに成功しました。新車(新古車ビッツ)も手に入ったのでマイカー『ビッツ』で岩手に戻ることになり、途中で見晴らしのいいところで車を降りて気分よく背伸びしました。新しいスタートをうれしく感じていました。
ところがです・・・。
そこからわずか数日後・・・、突然、Ho建材の社長から電話がありました。
電話の口調は尋常でない雰囲気を醸し出しており・・なにやら嫌な予感がしました。
「すぐに仙台に来なさい」というHo社長の意味深な言葉に
私は急いで150kmも離れている仙台まで車を走らせ、Ho建材の社長室に入りました。
あいさつ代わりに 遅ればせながらの近況報告した後、私はとんでもないものを目にすることになるのでした。
机に置かれたのは1枚の紙でした。
「これ、白鳥君の拇印か?」と質問しながら、Ho社長は1枚のFAXを私に手渡しました。
そこには、「もうニ度とよこさないでください」と殴り書きして、E氏・牧田・そして私の3人の署名と拇印が押された・・ものすごい高圧的なFAXがありました。
Ho建材から定期的に送られてきていた『経営に役立つ新聞コラム』のFAXに、わざわざ上から殴り書きして送り返したFAXでした。
その新聞コラムを送っていたHo建材の事務員さんが、大きなショックを受けたのだということでした。
筆跡から見ると仕掛け人がE氏であることは明らかでした。
もちろん私の拇印でないことは、社長もすぐに理解してくれました。多分、牧田は「書け書け」とごり押しされて、E氏がうるさいから「はいはい」と書いたのだろうとも想像つきました。
明らかに「有印紙偽造」か「私文書偽造」という犯罪行為です。
それよりも、恩をあだで返すという「行為」と「このやり方」の非情さが普通ではありませんでした。
この事件で、もうなんのためらいもなく決まってしまいました。
E氏を代表取締役から解任し、会社から追放するということが...。
あとは、解任するタイミングだけでした。
すぐに牧田に電話で打診してみましたが、「まだ住宅業界を理解しきれていない」ということで、代表になることは拒んだのです。
Ho建材の社長との話し合いの結果、解任するかどうかも含めて、しばらくE氏と一切の連絡を絶って様子を見ることにしました。
社長と私はある考えで一致していました。
1つは、E氏について あ~だこ~だしている時間があったら、自分の仕事に邁進した方がいいということ。
もうひとつは、沈黙していればE氏が勝手にストレスを感じ出して、牧田とケンカでも始めるんでないか?・・ということでした。
こうして・・これから訪れるはずだった平穏な日々は
わずか数日で崩れ・・、
ここからクライマックスに向かって
怒涛の展開が進んでいくのでした。
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