ACT54:株主総会前のHo建材社長の指示
牧田が重い腰を上げて「㈱木の香の家の社長をしてもいいよ」と言ってくれたので、私は早速Ho建材の社長のところに相談に行きました。株主総会の開催時期の話もあったのでタイミングの良い訪問になりました。
私は、簡単なあいさつを終えて、すぐに本題に入りました。
私「株主総会のお話もあるのですが、牧田が社長をやっても良いと言ってくれました。今後どう進めるのがよろしいでしょうか」
Ho建材の社長は簡略的に話してくれました。
1:E氏と会いたくないのと、そんな会議に時間を使っている暇も無いということで株主総会は欠席する
2:大株主であるHo建材社長の40%の議決権は全て委任状を付けて、私(白鳥)に議決権をゆだねる
3:E氏をどうするか、牧田をどうするかは任せる
4:もし牧田が社長になった場合、株はどうするのかを整理すること
私は、もともと20%の議決権(20%の出資金)を持っていたので、Ho建材の社長の40%の議決権と合わせると、つまり60%の議決権を私1人が持つということになるのです。
「議決権60%」というのを口で言うのは簡単ですが、今まで感じたことのない変なプレッシャーを私は感じ始めました。
自分の判断で人の人生をどうにでも出来てしまう・・という漫画の世界のような話が現実に起きているのです。
私1人が「E氏を解任する」といえば、当然E氏は解任で人生のレールが変わる。
逆に私が株主総会の会議の中で心変って、「E氏は社長続投」と言ってしまえば、E氏は社長の社長を継続できるのです。
私が「牧田を社長」といえば牧田が社長で、心変って「いっそのこと私が社長をする」といえば、㈱木の香の家は、実質、私の会社になるのです。
私は、帰りの車中、「『株』ってこんな恐ろしい社会ルールなのか・・」と、このような境遇になって初めて身に染みて感じることになるのでした。
悪く言えば、私1人の気分で他人を操ったり、他人の人生を変えたりしてしまうのです。
良い気持ちはしませんでした。
私はどういう決断を下して、どう言えばいいのか・・
本人を目の前にして、大ナタを振り下ろせるのか・・
その場で恫喝されて、心変わりしないのか・・
刺さて殺人事件にならないのか・・
不安が増してきました。
私は、早々にもう一度牧田と会うことにしました。
牧田の気持ちの再確認と、『株』をどうするか・・などを整理しないと、自分だけでは最終判断できないと思ったためです。
昔、ホリエモンが株式公開買い付けという方法で、株式会社の筆頭株主になっていった賢い出来事がありました。
その行動には賛否両論があると思いますし、その話の規模とは天と地ほど差はありますが、『株』という社会ルールは私には重いなぁ・・という印象だけは身に染みました。
*【流れに従って生きる】は毎月1日に更新していきます *