ACT55:株主総会のシュミレーション
株主総会の議決権60%を持つことになった私は、不安感と『恐怖感』も持ちつつ牧田にHo建材社長の考え方を説明しました。
その話を聞いた牧田は腹をくくったようで、牧田が代表を継いだときの拠点となる事務所の事や、どのタイミングで株主総会をするのかなどの調整に入りました。
そして、その後、数回の打ち合わせを経て大筋の話が決まりました。
〇 株主総会は年明けの1月下旬。場所は、会社と決まりました
〇 新しい事務所は、牧田が社長となる「㈱木の香の家」 と 私の「木の香の家‐木精空間」 と 時々出演する「(有)エコプロジェクト」KAさんの3社でシェアしようとなりました。
〇 さらに、異例の注意点も打ち合わせしました。
それは、「印鑑と通帳の没収方法」と「各々の避難経路」です。
社長解任という緊急議決が決議された際・・、もしE氏が大声で喚きだしたら、私がなんとか時間を稼ぎ、その隙を見て牧田は『印鑑と通帳』を2階の机から取り出すこと。そして・・もう1つ、キッチンの包丁やナイフは牧田が事前に隠しておくこと・・です。
この2つは、とても重要な打ち合わせ事項でした。
今までの行動から予測するに、E氏が逆上して通帳と印鑑を持って恫喝して手離さない可能性も考えられました。また、頭に血が上ったE氏が、包丁を振り回して刑事事件に発展する可能性も否定できなかったからです。
私も、いざというときの避難経路をシュミレーションしました。
牧田が通帳と印鑑を取り上げたら、牧田は玄関ドアから・・俺はテラスドアから逃げるのかなぁ。時間稼ぎの会話次第では2階に行かざるを得なかった場合は、どの窓から逃げるか・・、恐怖のあまり腰が抜けて動けなくなったらどうしよう・・など、こんなところで命を落とすわけには行かないと真剣に逃げ方を考えました。
こんな計画を立てる株主総会なんて・・と、どきどきして打ち合わせしていたことを思い出します。
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話は変わりますが、牧田との会議のなかで塩釜市のクレーン屋さんWGさまの現場の話にもなりました。
私「そういえばWGさまの現場、T大工さんがダメになって、結局WGさんのお勧めする大工さんで建築できたの?」
牧田「それが、WGさまのお勧め大工さんも忙しいということで、結局、こっちの伝手で紹介してもらった大工さんで施工したんだ」
私「そっか、いずれにせよ完成してよかったよ。今度から仙台の現場で建て方するときにはWGさまにクレーンをお願いしようと思っててさ。WGさまの打ち合わせ途中で俺は会社を辞めたけど、一時期給料をもらっていた恩はあるからね。円満に完成したのであればクレーン依頼しやすいや」
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この会議の翌日から、私はST邸の現場の基礎工事を見ながら新しい事務所探しをしました。
いろいろ探していると、1ヶ月くらいでようやく3人の都合に良さそうな物件が見つかりました。そのビルがある場所は、牧田は徒歩で通える範囲、KAさんも自宅から車で5分、そして、私の最大のメリットはサッカー場の仙台スタジアムまで歩いて5分の立地条件でした。
その年ベガルタ仙台は、みごとJ1に昇格し、私は翌年の年間シートを買うつもりでした。そのため、会社に駐車してサッカーを見に歩いていけるこの立地は、私にとって非常に都合よかったのです。しかも、ビルの2階といういい場所で眺めもいい。たまたま1ヶ月前にそこを借りていた会社(塾)が手狭ということで、4・5階に移ったというのです。ある意味出世部屋です!。
家賃も予想外に安く掘り出し物で、これも「流れ」と思い即決しました。
これで、牧田が代表になったときの拠点も確保したのでした。
そして、ついに運命の株主総会の日を迎えるのでした。
どんな株主総会だったのか・・
それは次回
*【流れに従って生きる】は毎月1日に更新していきます *