ACT59:「人間、楽しようとすると、その分、苦労する」
私は、30歳で本当の独立をすることになりましたが、いろんな会社の失敗例、人の失敗例を間近で見てきました。その多くに共通することとして、ある哲学者の言葉を思い出します。
「人間、楽しようとすると、その分、苦労する」
多くの人は、机に座っているだけで自分の懐にお金が入ればいいのになぁ・・と考えるかもしれません。
○一番最初に勤めたN建設は、役所工事にべったりだったため、名刺配りの楽な営業方法しかしりませんでした。民間での本当の競争にさらされないまま過ごしてきたため、役所工事が減った段階で慌てて作戦を模索しましたが、そのまま解散という結果になりました。
○次に務めたCホームは、株を上場して、濡れ手に粟のような一儲けしたいという理念のもとに、安売りで地域を荒らしまわった結果、倒産しました。
○営業マンも、「安ければ売れる」という発想で、安易に儲けがなくても契約するという路線に走りました。もちろん、「安ければ売れる」のは当然なのですが、「安くて売れるなら営業マンは要らない」のです。結局、営業マンは自分の仕事を失うという結果になりました。
○E氏は、有能なロボットを従えて、自分の寝ている間に稼ぐような仕組みをつくりたいと考え、その仕組みづくりに苦労して、結局、ダメにしてしまいました。
同じように、楽しようとして、結果的にその何倍も苦労する人も多く見てきました。
○ 実行予算なんて作るの面倒だから、余ったのが利益だ!・・と、どんぶり勘定で切り盛りする。→結果、残る利益が少ないか、赤字で会社が倒産する。
○ 営業したくないから、楽して仕事を取れる方法を教えてもらいたいと考え、500万円を支払って甘そうなシステムに手を出す。→自分の理念と合わないノウハウを教えてもらっただけで、うまく受注できない。500万円の損失。
○ 細かい図面を引くのは面倒なので、現場での口先指示だけで済ませたい。結果、納まりの不具合が生じて、手直し工事が発生し、利益が減っていく。
全て、「自分で○○をしたくないから、できれば楽したい」・・なのだなぁと感じてきました。
「作業の効率を良くすることで楽する」のと、「めんどくさいから手を抜いて楽する」のとでは、ちょっと性質が違うと思います。
直接は関係ないですが、「ねずみ講」でも、「マルチ商法」でも、「楽して儲ける」の言葉にだまされて、結果ものすごい苦労を背負い、友人を失っています。
だから、私は「努力すれば、報われる」という理念でがんばっていこうと思いました。
経理もする。営業もする。営業ツールも作る。図面も何回でも描く。実行予算もつくる。模型もつくる。カラースケッチも描く。詳細図も描く。現場には職人より早く行く。漫画も描く。講習会の依頼が来れば期待以上の講演をする。原稿依頼があれば、「またお願いします」と言わせるくらいの内容で書きあげる。クレームが出れば床下にももぐる。近所からクレームが出れば、頭を下げに行く。ホームページもこまめに更新していく。とにかく、楽しようとしない・・。
「10期待されたら、12で応える」です。
こうやって、まずは全てを自分でやっていくと、やはり問題が起きたときに、その原因が手に取るように分かってきます。努力してお客様と打ち合わせすれば、仕事にもつながると思います。
現在では、ある分野で任せられるものをスタッフに分担していますが、経験したことないものを尻込みして最初から任せることはしていないつもりです。
ただ・・ときどき「楽しようとして苦労している」こともあります。
そのたびに思い出します(--;。
「人間、楽しようとすると、その分、苦労する」
*【流れに従って生きる】は毎月1日に更新していきます *
次回最終話です