ACT60 (第1幕 最終話):「オンリーワン」
いろいろな試練を乗り越えながらも、2001年 私は本当の意味で独立することができました。
Ho建材の社長はじめ多くの方のご協力もあり、多くの困難を乗り越えることが出来ました。
新会社のスタートダッシュには菅原さん(現かみさん)の人脈営業力という幸運にも恵まれました。
新会社のスタートは順調と言えるものだったと思います。
そんな穏やかな気持ちで仕事をこなしている土曜日の昼です。
当時視聴率の高かったテレビ番組、「どっちの料理ショー」の再放送(1999年9月放送の再放送)をしており、たまたま昼ご飯を食べながら1人でそのテレビ番組を見ていました。
「食材のテーマ」が、「鶏肉 vs 豚肉」・・ということで、ふと気になりテレビ画面を見ていました。
「偶然だけどHAさんの牧場と同じ食材だなぁ・・。HAさんの牧場もいつの日か、特選食材としてこの番組で出演してくれればいいのになあ・・。」と、ボーっと見ていました。
ところがです。
その再放送の「どっちの料理ショー」の特選食材の供給先として登場した牧場は・・、なんとHAさんの牧場だったのです。
あまりの唐突な展開に、口の中に入れたお米を噴き出してしまうほどびっくりしました。
HAさまとの家づくりの打ち合わせの時期に、そんな話を一度も聞いていなかったのです。
「すぐに菅原さんに電話しなきゃ!」と即座に思いました。HAさんがどういう人だったか菅原さんは知らなかったためです。
ところが、HAさんの牧場がテレビに登場すると同時に、偶然、菅原さんの方から電話が掛かってきました。
私は大声で「今、家!? テレビ見てるか!?」
菅原さん「家だけど、テレビ見てないよ」
「早くテレビつけて、どっちの料理ショーつけて!!」
「え・・え・・」
ちょうどそのタイミングで、テレビ画面に亡くなられたHAさんが映ったのです。
私「この人が、前に何度も話していたHAさんだよ。まさか、今日テレビに映るとは思っていなかった・・」
そのとき、私は、菅原さんと結婚するんだな・・と直感で思いました。
そして、2002年の日韓サッカーワールドカップの年に私たちは結婚しました。
ところが、長男が誕生する2003年の冬2月ごろ、焦る時期がありました。
春からの仕事が全く見えてなかったのです。
子供が生まれるのに仕事が見えない・・。
正直、焦りました。
住宅の路線が世の中のニーズと合っていないのか?
私の宣伝方法がおかしいのか?
ローコスト規格商品で進むべきなのか・・。このまま、お客様がこだわる住宅で進むべきなのか・・。世の中は、どっちを必要性としているのか・・。
ホームページの表現方法、チラシの出し方に自信はありました。しかし、結果が見えてこなかったので、悩んでました。まさに「どっちの家でショー」・・である。寒っ(‐_‐;)・・・。
しかし、またも救われることになるのです。
子供が運を持って生まれてきたかのように、長男が生まれて2週間後の見学会で、一気に5軒もの契約が見えたのです。
以前からホームページを見てて、見学会を機に相談に来たというお客さんがたくさんいました。
仕事が見えないプレッシャーから解放された思いで、精神的には、またしても九死に一生を得た感じでした。
創業時は、かみさんに助けられ、2年目の危機は子供の運に助けられました。
雪が融け始めた3月・・。私は、HAさんのお墓の前にいました。HAさんの命日に、「なんとかやってますよ」という近況報告をしたかったのです。
そのお墓のとなりには大きな石碑が立っており、そこには町長からHAさんに宛てた文章が書かれてありました。
その長い文章の中に、ひときわ目立つカタカタの文字が刻まれていた。
「オンリーワン」
生前、HAさんが、事業をするときに常に口にしていた言葉だといいます。いつも、「オンリーワン」でなければならないとHAさんが語っていた・・と、その石碑には刻まれていました。
お亡くなりになったあとも、HAさんには事業の道しるべをいただいくこととなりました。
「オンリーワンの家づくり」
わたしの目指すものは、このとき、これで決まりました。
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エピローグ 「何かをあきらめることが大人になることじゃない」
今までの環境から脱却するのは、やはり勇気が要ります。今までの慣れた環境にいる方が、ず~っと楽なのです。私は、そういう人生の岐路に立ったとき、よく聴いてた歌があります。
DEENの「少年」という歌です。
(文末にアクセスボタン付けております)
その一節の詩が、いつも迷った私を勇気づけてくれました。
「何かをあきらめることが大人になることじゃない。捨てるもの一つもなかった、あの日の僕らのように・・自由に・・」
この詩を聞いて、何のために生まれてきたのか・・、何を残すのか・・、社会的な存在意義は何なのか・・、どう進めば目指すものに近づくのか・・、そんな自問自答を繰り返してきて、直感で感じ取った「流れ」に勇気を持って乗ってきました。
結果として、ここまでは「流れ」に従って正解だったと思いたいです。
そして、今後どういう「流れ」が待っているのか、それも期待して決して焦ることなく平凡に過ごしています。
今回、このレポートを書くにあたり、自分の人生を振り返る機会を得ました。はじめは軽く書くつもりでしたが、書いていると面白くなってきて、作家になった気分でどんどん書くことになってしまいました。これも何かの「流れ」なのでしょうか・・。
もうひとつの夢である「漫画家」・・。今後の人生でなれるのでしょうか・・。あきらめることなく目指していきたいものです・・。
記述 平成17年2月
追記:第1幕の「流れに従って生きる」は今回で終了いたします。
しかし、第2幕の私の人生は、これ以上の波乱に満ちた出来事が次々を起きます。
人生の第2幕「流れに従って生きる」もまとめていきたいと思います。