先月お引渡ししましたSa様より、これは絶対読んでおいた方が良いとオススメされた本があるのですが、あまりにも感動したのでご紹介します。
岩手県遠野市出身であり宮大工の菊池恭二さんが書かれた著書。恥ずかしながら、この本と出合うまで菊池さんのことを存じ上げませんでした。
色々と調べてみると、菊池さんは日本を代表する社寺建築に精通した名匠の一人であるのは間違いなく、「法隆寺の鬼」と呼ばれた西岡常一さんのお弟子さんでもあります。
何百年、何千年とその地に建ち続ける社寺建築を創りあげるのに様々な苦悩が伴っているのがわかる一冊です。
木の癖、人の癖を読み、木も人も全てが一つになって初めて、後世に受け継がれていく社寺が建立していく。
社寺建築を建立するのに、技や経験はもちろん、木も人も「適材適所」に配当するのがなにより大事だとおっしゃているように思います。
棟梁は木を選定するとき、山に入り、実際に木が立っている状態を見て伐採する木を決めるという。使う樹種の特徴や用途、その木の癖を熟知してなければならない。
東にねじり返す癖がある木は、西にねじり返す癖がある木と組み合わせ、ねじれの力を相殺し、その癖をプラスの力に変えて生かしてあげる。
人も同じで、一癖も二癖もある職人の癖を読み適材適所に配して、心を一つに組み上げる。
『塔組は木組み、木組みは木のくせ組、木のくせ組は、人を組め 人組は人のこころを組め』 西岡棟梁の言葉です。
そして、人育てについても言及しています。弟子を育てる基本は「教えないこと」。
大事なのは手取り足取り教えることではなく、「なぜ、こうなるんだろう」とウズウズしてくるのを待つこと。
失敗したら、「なんで失敗した?」と問う。弟子自身が自分で考える姿勢が大事なんです。
一般住宅にも共通している部分もあり、様々な気づきがある本でした。
木も人も「癖」があるから面白い。癖を生かし、心で建築を建てていきたいと思います!!