少し前になりますが、東京都小金井市にある「江戸東京たてもの園」に行ってきました。
文化的価値の高い歴史的建造物を移築し、復元・保存・展示する野外博物館ですが、一番のお目当ては「前川國男自邸」。
ル・コルビュジエの元で学び、モダニズムの精神を日本で広げ日本建築界をリードした建築家です。最高傑作と言われる前川國男の自邸を見学できるということで、建築好きとしては行かない手はないわけです。。
1942年(昭和17年)に建てられましたが1973年(昭和48年)に解体され、軽井沢の別荘で解体材の状態で保管されており、23年のときを経て1996年(平成8年)に江戸東京たてもの園に再建されました。
大きな切妻屋根のファザードに瓦を乗せて、外壁は縦板張りといった和風なデザイン。中心に立つ丸柱は当時の電信柱を使用したのだとか。
重心が低く、どっしりとした佇まいがかっこよすぎる。。
大谷石を積み重ねた塀がお出迎え。直進させないこのアプローチはより一層わくわく感を高めます。
大きな扉を開けて家の中心に位置するリビングへ。。感動して言葉がでませんでした。
大屋根中央部分で天井の最も高い場所を二層吹き抜けのリビングとして、南面全面を開口としています。
大きな窓から入る障子を通した柔らかい光が部屋いっぱいに広がり、明るさ・開放感は想像以上でした。
太陽高度を計算して軒をしっかり出しているのと、リビングを少し引っ込めていることで大開口ながらも落ち着きのある空間になっています。
リビングに障子もありだなぁ。。
リビング北側に位置するダイニングと、二階ロフト、それにつながる階段。
北面にも開口を多くとっていて風が通って気持ち良かったです。ロフトを支える片持ち根太を表しにしているところがまた絶妙です。。
階段手すりのデザインも使えそう。。
こちらは書斎。少しの間設計事務所としても使われていた部屋です。
風呂、トイレ、キッチンはシンプルでタイル仕上げとしており、西洋の文化が反映されているのかなと。
この住宅は戦時体制下に造られており、建築資材の不足、厳しい建坪の制約などの中で建てられたわけです。
そんな中で建てられたものとは思えないほど、豊かで、力強く、味わい深い、ほんとに素晴らしい住宅でした。
今は様々な新建材が出回っており、豪華な建材で着飾っている住宅が流行していますが、少し疑問を覚えます。
無垢材や自然素材を品よく使用し、簡素で豊かな普遍性のあるデザインが何十年もの間大事に使われ、愛され続ける住宅なんだろうなと、この住宅に身を置くことで改めて考えさせられました。
東京に行った際はぜひ足を運んでみてください。一見の価値ありです!