今日は、私の記憶に残る一番最初の建築に触れた日のことについて書きたいと思います。
それは、私が9歳の頃に両親が家を建てた時の「上棟式」です。
建築中の記憶は全くないのですが、上棟式の日のことだけ覚えています。
それはなぜかというと、私はその上棟式をすっぽかしたからです!
私はその日、早く帰るように母親から言われていたのにそれをすっかり忘れ、その日図工の授業で作った工作の飛行機を放課後友達と気が済むまで飛ばして遊んで帰ったのでした。
帰る途中に思い出し、建築中の家が遠くに見える角を曲がると、その辺りには人がたくさんいて、もちまきも終わった頃でした。案の定私は母親に姿を見られるや否や、大勢の人の前で怒られるのでした。
建物の中では大工さんたちが並べられたお膳の前に座っていて、しゅんとして下を向きながら母から渡された箸やコップをお膳に配って歩く私に、大工さんが「お手伝いして偉いねえ」と声をかけて慰めてくれたのを覚えています。
それでようやく顔を上げた私の視線は大工さんのにこにこ顔から、大工さんの後ろのまだ柱・梁だけの大空間に移り、屋根がかかった一番上の棟まで見上げると、それは今見るよりもっとずっと高かったように思います。