先日、東京・鎌倉・小田原に行ってきました。
東京では一度は訪れたいと思っていた、江戸東京たてもの園にある「前川國男邸」を見に行きました。
大きな切り妻屋根の和風デザインになっている住宅は、1942年に建てられ、1996年に再建されました。
吹抜けのリビングを中心に左右に水回りや寝室が設けられています。
リビングは吹抜けまで延びる大開口や南北に開口があり庭とつながっているため、より開放感を感じました。
1間幅の連続した開口を計画している物件があるので、納まりなども参考になりました。
寝室は窓の下に暖房機が設置され、天井近くには通風窓が設置されているなど、
意匠性だけではなく、熱環境も考えられていました。
収納の引き出しも半分空いていることで、中のものが確認でき、把手を付ける必要がなくなるので、
コストを抑えながらシンプルなデザインで勉強になりました。
キッチンへの建具は上部がアーチ状になっていたり、脇には配膳口が設けられていました。
対面式のキッチンでLDKを1ルームで設計することが多いですが、
汚くなりやすいキッチンは来客からは見えないようにするのも良さそうです。
酸化させた銅の水切りや雨樋、玄関のベンチ、大きな回転建具、雨戸の収納方法など参考になるものばかりで、
他の建物を見る時間が無くなってしまうほど、見入ってしまいました。
秋田県美郷町で進んでいる「六郷大町プロジェクト‐木粋‐」の構造見学会に参加して来ました。
新築の平屋2棟と改修が1棟の計3棟を一度に見学することができました。
企画・施工は小田島工務店がされており、設計は西方設計、もるくす設計舎、やまと建築事務所の三社がしています。
西方設計の住宅は南面のFIX+ドレーキップの大開口が印象的でした。
大開口を設ける場合の構造上の重要なポイントも教えていただきました。
もるくす建築舎は第3種換気を使用しており、住まい方と熱環境について改めて伺いました。
天井に近い位置に排煙窓や、西から風が吹くことが多いことを考慮した設計など、
気候・風土を考慮した設計を体感することが出来ました。
やまと建築事務所さんは改修の物件なのですが、改修前と比べると屋根形状も全く異なり、
3棟が並んだ際に景観にも配慮されたデザインになっていました。
今回の構造見学会には、大工さんや設計者、経営者など様々な立場の方が参加していました。
大工さんは納まりを気にしていたり、経営者はプロジェクトの資金面を気にしていたりと、
様々な角度での話を聞くことができて、勉強になりました。
新規のお客様のプランをご提案するにあたり、模型を作成しました。
久しぶりに内部まで作れたので、楽しくて時間を忘れてしまうぐらい作業してしまいました。
今回は平屋で寄棟にし、栗原の令和クリニックのような深い軒の出にしたいとご要望をいただきました。
カーポートも一体にし、ボイラーなどの設備機器は木塀で隠すようにしています。
模型は1/100のサイズなので、住宅部分は手のひらに乗る大きさです。
図面だけでは伝わりにくい、空間のボリューム感を模型ではお伝えできるのが良いですね。
お客様にも喜んでいただけて、とても嬉しかったです!
模型は下から覗き込むように見ることで、実際に敷地に立った目線で見ることが出来ます。
今後も模型でご提案できるようにしたいと思います。
12月に10年ほど前にお引渡しした栗原市のOB様のメンテナンスに大工さんと一緒に行ってきました。
大工さんに作業してもらっている間に、当時のお話などを伺いながら、
現在の生活についても教えて頂いたのですが、
「パイナップルを家の中で育てている」と言われ驚きました!
3年目になるとの事で、今後の成長も楽しみです。
和室の奥に土間空間があり他にも、左からグレープフルーツ、レモン、アボカドなども育てていました。
1年目のパイナップル↓
コーヒーの木↓
パイナップルやコーヒーなどは温暖な地域でしか育たないと思っていたので、
改めて住宅性能の重要性を感じさせていただきました。
また、コーヒーの木の下に写っているぬれ縁は10年前に大工さんが作ったものなのですが、
一般的には雨風にさらされて傷んでいることもあるのですが、
定期的に塗装をして大事に使っていただいていたので、
まだまだしっかりしていて大工さんも喜んでいました。
山形縦断建築巡りも最後になります。
山形県の北部を巡ってみると、豪雪地域のためか基礎が高い住宅が多く見られました。
積雪が2mにもなることがあるようで、1階をカーポートや蔵のようにしていました。
窓には雪囲いと呼ばれる板材を取り付けられるようになっていたり、室外機なども高い位置に取り付けれていたりと、豪雪地域ならではの暮らしが垣間見えました。
金山町は街並みを守るために真壁のようにみせる外壁で統一もされていました。
金山町では益子義弘さん設計の火葬場にも行きました。
林の中に建っているのですが、プロポーションがとても綺麗な印象を受けました。
新庄では屋根の形状が特徴的な英照院本堂を訪れました。
正面から見ると手前の軒の高さが抑えられているため、平屋のようにも感じたのですが、
側面に回ってみると、高さと奥行の大きさに驚きました。
久しぶりに山形を訪れることができ、とてもいい経験が出来ました。
山形市では「山形ビエンナーレ」という2年に一度開催されている芸術祭を見てまわりました。
山形市内には五堰と呼ばれる農業用水路が流れており、そのうちの一つである「御殿堰」は市民の憩いの場として整備されています。
周辺はビルが立ち並ぶ中、突如現れるので自然と奥に足を運んでしまう魅力的な場所です。
山形に来ると毎回訪れるのが、旧県庁舎の「文翔館」です。
作品は隣の旧県会議事堂に展示がされていました。
山形盆地が大昔は湖の下だったという歴史などを様々な解釈と表現がされていて、おもしろかったです。
街中では工事現場見かける仮囲いも作品になっていたり、社会実験として、車道と歩道の間にベンチなどを置いて、人が滞在できる場をつくる取り組みなどがされています。
山形市内はリノベーションが活発に行われており、移住者も多いみたいです。
芸工大の卒業生もコーヒースタンドをオープンさせたりと小さな変化が街中で起きているので、訪れるたびに新しい店舗などが出来ています。
そのコーヒースタンドの「Day&Coffee」でこだわりの一杯を味わってきました。
旧山形市立第一小学校をリノベーションし、9月からオープンした「Q1(キューイチ)」にも行きました。
旧校舎前には先ほどのコーヒースタンドの代表をしている追沼翼さんなどが学生時代にデザインした「山形ヤタイ」を使って屋台が立ち並んでいました。
1階はキレイに塗装されていましたが、2階以上は解体された状態が残されていました。
第一小学校に通っていた人や近隣に住まわれている方たちが、「ここが自分の教室だった」とか「取り壊されなくて良かった」などと話し声が聞こえてきました。
市内で最後に向かったのは、2000席規模の大ホールがある「やまぎん県民ホール」です。
ここ数年で山形、秋田、仙台では2000席規模の大ホールが建設・計画されていて、
山形は本間利雄設計事務所が手掛けており、大きな切妻屋根が特徴的です。
山形は伝統工芸として組子も有名で、エントランスの脇には様々な組子が仕上がっていました。
仙台市で活躍されている菊池佳晴さんの自邸を見学させてもらいました。
パッシブハウス協会が主催で見学会が開催され、セミナーでも様々な取り組みを紹介していただきました。
仙台ではプライバシーの問題が多いため、「閉じつつ開く」デザインをしているとの事で、
外からの視線はカットしながらも、1階は大きなガラス面を設け日射を取り込んでいました。
1階南面には外付けブラインドも取り付けられ、日射遮蔽の計画ももちろんされていたのですが、
ブラインドを隠す納まりなど、勉強になりました。
その他にも、窓を「景色」「通風」「出入り」と役割ごとに設けられたデザインや、
除湿型放射冷暖房1台で冷房をしていたり、給湯用の薪ストーブが設置されていたりと、
初めて拝見する機器もたくさんありました。
新住協でお世話になっている方々や、私の地元福島市でパッシブハウスを建てた工務店さんともお話しする機会があり、学びが多い見学会でした。
南陽市の次はさらに南下して米沢市に向かいました。私の地元福島県との県境に位置しています。
まずは山下設計による「市立米沢図書館 ナセBA」に行きました。
外部は地元の杉材を外断熱として使用し、コンクリート躯体を蓄熱材としているようなのですが、
木材の厚みが100㎜程度だったので、断熱効果があるのかは、いまいち分からなかったです。
残念ながら内部は撮影禁止でした。
ギャリースペースから階段を上って図書館に入るのですが、
階段の天井高さが抑えられている分、図書館の4層分の吹き抜け空間がより開放的に感じられました。
住宅でも最近は天井高さを抑えるご要望が多く感じますが、用途や空間の大きさにあった天井高さを探っていきたいです。
次に「伝国の杜(置賜文化ホール・米沢市上杉博物館)」に向かいました。
米沢市は江戸時代に上杉謙信の子孫が治めていたため、歴史ファンが多く訪れていました。
軒先の水平ラインがきれいな印象です。
エントランスには可動式の能舞台が設置してありました。学生時代に所属していた研究室で仮設能舞台を福島の設計事務所と一緒に計画するプロジェクトがあったことを思い出しました。
「伝国の杜」の隣には「上杉記念館 庭園(上杉伯爵邸)」があり、庭園は無料で見ることが出来ます。
庭園も良かったのですが、上杉伯爵邸の簾による日射遮蔽や中庭に魅力を感じてしまいました。
「上杉神社」は米沢城跡地にあり堀に囲まれています。
武将のコスプレをしたスタッフが歴史などについて説明してくれます。
山形は日本酒も有名なので、昔使われていた酒蔵「東光の酒蔵」を見学しました。
外国人も見学しており、たくさんの種類を試飲していて羨ましかったですね。
一番人気の日本酒だけ買って帰りました。
酒樽の蓋を再利用したテーブルや麹づくりをするための蔵、直径で6尺ある大きな酒樽などあり、
日本酒の作り方などを少し教えてもらいました。
蔵の中には乾湿計が設置されており、温湿度の調整が重要なんだろうと思いながら、
麹にとっての快適な環境は人とは異なるんだろうなと考えながら見て回りました。
酒蔵でも土間と中庭があり、風が抜けて中庭の効果を実感しました。
米沢市では最後に学生時代にお世話になった井上貴詞建築設計事務所の「李山の家」を見学させてもらいました。
写真を載せることは出来ないのが残念ですが、井上さんはこれまでに2軒の旅館をリノベーションをしており、
それぞれの土地に合った落ち着く空間づくりを体験することが出来ました。
意匠や性能はもちろん、建具にあえてソフトクローザーを付けないこだわりなど、細かい部分の配慮がとても勉強になりました。
2年に1回山形市で開催されている芸術祭「山形ビエンナーレ」や、 主に山形県でご活躍されている設計事務所のオープンハウスに参加させてもらいながら、山形県内の建築巡りをしてきました。
これまでも何度か山形に行っていますが、縦断は初めてしました。 初めに向かったのは、南陽市の高級旅館「山形座 瀧波」です。
オープンハウスを開催された設計事務所がリノベーションした旅館です。
1枚目の写真だけみると郊外にありそうですが、
県道102号線のすぐ横に建っています。すぐ近くには国道も通っています。
街の中心部に建っているので外部からの視線や各部屋のプライバシーなどが気になりそうですが、
塀や中庭が設けられ、配置が工夫されているため、プライバシーは確保しながらも外部とのつながりを感じられるようになっているようです。
一度は泊まってみたいですね。
次に向かったのは、木造コンサートホールで世界一席数が多いことなのでギネス記録を持っている「シェルターなんようホール」です。
市の芸術文化の向上や地域振興を図ることを目的に、芸術文化の創造拠点として設置されました。
エントランスを入ると大きな8本の柱と吹抜けが印象的な交流ラウンジがあります。
奥のホワイエから交流ラウンジを見た写真です。
左手には会議室やワークスペースが並び、右手にホワイエがあります。
ホワイエには工事中の写真や木造耐火認定を取得するための柱のモックアップなどが展示してあります。
柱は三重構造となっているようで、内部の「荷重支持部」は木材を使用し、中間部の「燃え止まり層」は石膏ボードを4枚重ね、「表面材」は木材などを巻いています。
中心部の石膏ボードは2枚でも大丈夫だったようなのですが、耐火試験を1回で合格する必要があったために、4枚重ねて3時間耐えられるように強化したそうです。
パネルなどを見ていると職員さんに「建築好きなの?」と声をかけてもらったのですが、これはチャンスだと思いました。
大ホールなどは基本的に一般公開していないので、受付でも見ることが出来ないと言われていたのですが、
岩手から来ていることなどを伝えると、少しだけ大ホールの中を見せてあげるよと言っていただけました。
防火認定を取得するために苦労した点やホール全体を一つの楽器として考えて設計されていることなど丁寧に教えて頂きました。
職員の方にはお忙しい中、時間をつくっていただいてありがたかったです。
ステージから見た写真です。宝塚なども公演が出来るようにステージ上のバトンなどが多く設置されているようです。
南陽市の最後に訪れたのが、「熊野神社(熊野大社)」です。
GoogleMapで立派な茅葺屋根だと思い行ったのですが、着いてみると違和感を感じました。
縁結びで有名な神社だったようで、周りの痛い視線をひしひしと感じながらもお参りをしてきました。
有名な神社に行くときは下調べが必要だと教訓を得ました。
破風部分も萱で葺くのは、山形県独自の建築様式で県内最古の茅葺屋根建築みたいです。
拝殿の裏にまわると風鈴と短冊のトンネルにミストの演出までされていました。
今回一泊二日で山形を回ったのですが、「自然風の気持ちよさ」と「場所に適した温湿度」を感じる場面が数多くありました。
熊野神社ではじめっとしているように感じたのですが、大木に囲まれているので日影ができ風も抜けるので、不快感はあまり感じることはなかったです。
住宅内でも一定の温湿度だけではなく、不快感を感じない範囲内で温湿度の起伏や自然風を上手く取り込めないかと考えていきたいです。
八戸の美術館などを見に行きました。
八戸美術館はジャイアントルームと呼ばれる巨大な吹抜け空間が特徴的な建築でした。
可動間仕切りやカーテンなどで空間を仕切ることが出来、ワークショップやフリースペースなどを区切って使用していました。
複合施設の「はっち」と八戸まちなか広場の「マチニワ」にも行ってきました。
二つの建築は道路を挟んで向かい合っていています。
ギャラリーやスタジオなどがあり、ものづくりやイベントなどが出来るようになっています。