木の香の家 展示場 兼 実験住宅 建築物語
第10話:家づくり構想-その1-
土地が決まったことで、いよいよ家づくりの基本構想がスタートしました。
私は流れに従って生きようとするタイプの人間なので、『この土地になったこと』 や 『ここ数か月の私のまわりで起こっていること』から 自分は何をするべきなのだろうか・・と考えていましたが、その時点である程度の方向性は、ぼや~っとですが感じていました。
〇 実は、その年の1月・・私は、何かに導かれるように10数年ぶりにドイツに行きました。
定期的にある新住協の海外研修なのですが、ここ10数年は私の子供が小さくて「1週間も家を空けるのはダメ!!」と・・かみさんの許可がおりず、スタッフの勉強のためにとスタッフを行かせていました。
ただし、今回のドイツ研修は 『新住協がNPO法人として最後の海外研修』 と 『鎌田先生の室蘭工業大学退官記念』 という名目があったため、私が行くべきかな・・と感じ、10数年ぶりのドイツ視察となったのでした。子供が小学校の高学年になったということで、かみさんの許可が超~珍しく出たことも大きな理由でした(^^;)。
そのドイツ&オーストリア視察では、サッシまわりの考え方に刺激を受けたり、昨今聞くようになった 『パッシブハウス』を提唱しているファイスト先生 と 日本で『キューワン住宅』を提唱している鎌田先生 の ダブル講義を聴くという二度とあり得ないような体験をしました。
この講義の中で一番印象に残ったことは・・断熱や性能ではなく・・、ファイスト先生と鎌田先生が実は30年ほど前に 「同じ時期」 に 「同じ大学」 で 「同じ研究者の下」 で学問を学んでいたという事実と・・、その後、それぞれ、日本とドイツという違う地域で、住宅の高性能化に取り組んで、同じような住宅性能計算ソフトまで開発していたことでした。
(パッシブハウスの計算ソフト:PHPP と キューワン住宅の計算ソフト:Q-PEX)
しかも、お互いに全く知らない間柄ということで興味深さを感じました。
このお2人の研究者も何かに導かれて生きてきた運をもっているのだろうか・・と。
〇 次にその数か月後の5月・・私はNPO法人新住協の登別総会で研究発表することになりました。『NPO法人としての最後の研究発表会』 かつ 『鎌田先生の退官記念』ということもあり、室蘭工業大学の講堂で初めて行われたものでした。
北海道の室蘭&登別での総会は約20年ぶりです。
この登別にはそれなりに縁がありまして・・、私が新住協で初めて研究発表したのが実は20年前の登別総会だったのです(当時25歳くらい)。
その当時、20代半ばで約200人のプロを前に発表するのはかなり緊張したことを記憶しています。
そんなゆかりのある地域で行われるNPO法人としての最後の総会での発表・・しかも最後の発表者ということでおおとりを任されました。
こんな不思議なことが続いてからの土地取得だったので、家づくりには、「パッシブハウス」と「キューワン住宅」に関係する何かをするべきなのだろうと感じていました。
そんな初期構想をしている11月・・タイミングよくというか・・青森の平野商事さんより
「今年ドイツに行った続きのセミナーがあるけど来ませんか?」という連絡が入ったのです。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】