今回の実験住宅はパッシブハウスの認定取得を目指すという目標を持つことになり、まずはクーラーさんからある程度のコツを聞き設計をスタートさせました。
クーラーさんとの話し合いの中から感じた、「パッシブハウス」 と 新住協で展開している「キューワン住宅」との違いは次のようなものでした。
① サッシのレベルを上げる必要がある。
② 南面の開口をいつも以上に大きくとる設計を意識する
③ 出来るだけ総2階に近い形を目指す
④ 気密ラインの連続にかなりうるさい(「真壁」や「柱あらわしのデザイン」が通りにくい感じ )
あとはキューワン住宅のグレードⅣを建てれば、認定を取れるのではないか・・という感じでした。
私は「そんなに難しくないな」・・という感じでスタートしました。
隣の市でパッシブハウスの認定を取った家があるということを耳にしたので、これだけ日射取得を邪魔するものがない最高の立地条件で、私の今まで培ってきた高断熱知識をもってすれば、認定を取れないはずがないという自信がありました。
そんな意気揚揚で設計を始めましたが、③の総2階 と ④の柱表しを控える ・・というポイントだけは少しだけ崩そうと思いました。
プランの大きな骨格は確かに総2階ですが・・総2階に見えない1階がどっしりしたプロポーションにしたかったのですし、柱を表すデザインもしたかったのです。
理由は次のようなものです。
〇 ドイツよりは気象条件が良いだろうから、総2階でなくとも認定が取れるという事例にしたい。(外観デザイン的に可能性の幅を広げるチャレンジ。)
〇 日本では2世帯住宅もありますし、LDK+和室などが来ることで1階が少し大きなプランが普通に多く存在するため、今後、そんな設計でもパッシブハウス認定取れるという可能性を示したい。
〇 我が家も親と同居する可能性があるので、和室の関係で1階が少し大きくなるため。
〇 日本では真壁という伝統もあります。その日本伝統を拒絶するような認定では今後も広がらないと感じたのです。
そんな理由もありつつ、かみさんとの意見も生かしつつ、パッシブハウス認定取得を意識しつつ、キューワン住宅グレードⅣを意識しつつ、奮闘してできた第1案が下の図です。
(内部の間仕切り壁は消去しております)
プランニングで意識したことは・・
① どれだけダイナミックに風景と冬の日射を取り込めるか(丸印の窓部分など)
② 冬だけのことを考えるのではなく、夏、できるだけエアコンを使わずに涼しい住環境にできるか
(日射遮蔽 と 通風排熱計画)
③ 最近、家づくりから消えつつある「広い軒下」
④ 量産住宅さんでは絶対にしない空間演出(サッシを使わないガラスのみの開口細工)
など他にもいろいろありますが、
「家づくりはこんなことまで可能なんですよ」
「こんなに冒険しても超高性能な家が出来るんですよ」
という可能性の幅を示そうと思いました。
この1回目のプランをもとにクーラーさんとパッシブハウス認定を目指しての
打ち合わせ⇒調整作業 が始まりました。
そして・・ノイローゼになるほどの仕様調整が何度も出てくることになるのです・・(--;)。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】