第14話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その3-
クーラーさんより言い渡された目標数値・・
Q-PEX上で 暖房負荷=5.0 KW/㎡
そんなことできるのだろうか・・と半信半疑な状態で、建物の仕様をいろいろ変えながら、家の性能計算を繰り返していく作業になりました。
サッシについては、UW値=0.8W/㎡Kという高性能サッシが輸入物の木製サッシしかなく、通常サッシの3~4倍くらいの値段がするため、とりあえずサッシ以外でどこまで性能を上げられるか・・に挑戦してみました。
いつも使っている 『樹脂サッシ+トリプルガラス』で、仮に家1軒のサッシ価格が150万円前後だとしますと、全部の窓を0.8W/㎡Kの木製サッシにするだけで、なんと・・サッシ代が500万円前後に跳ね上がるのです(@@;)
非現実的な金額で、とてもやれません・・(--;)
ステップ①:まずは、なるべくプランを変更しないでどれだけ性能が上がるかに挑戦しました。
***** ステップ①の調整内容 *****
ステップ①-1:2階の屋根をわずかですが10㎝上げました。
(冬の日射を少しでも多く取り入れるため。庇の影を極力無くす)
ステップ①-2:屋根の断熱厚さをあと10㎝厚くして、48㎝⇒58㎝にしてみました。
(単純に断熱性能UPのため。)
【ステップ①による計算結果】
暖房負荷12.5KW/㎡→12.2KW/㎡
わずか0.3KW/㎡ですが性能が良くなりました。
【 私の心の中 】
〇 庇による窓に掛かる影を少しでも減らすと効果があるなァ・・
〇 屋根断熱を厚くするのは、20万円くらい掛かりそうだなァ・・
それでも、暖房負荷の数値が減ったことは間違いないので、意気揚揚と次のステップに進みました。
***** ステップ②の調整内容 と 計算結果過程 *****
ステップ②は、本当に細かい寸法調整による性能の変化が見て取れます。
ステップ②-1:まずは、2階の南側のサッシを変更しました。
奥まったサッシはマイナスに作用するということで、全部のサッシを南面に配置して、
1500角の大きなサッシ5台に変更しました。
(風景もダイナミックに取り入れられるし、日射取得もよくなるので。)
しかし・・ここで、プラン上、諦める内容も出てきました。
2階の雨に当たらないバルコニーです。
雨に当たらないバルコニーの場合、出入り用のサッシはどうしても奥まるため日射取得には不利になり、
今回はパッシブ認定を目指すため、やむなく諦めました(;_;)
(当初の2階平面図 概略図)
↓
( バルコニー部分を無くした2階平面図 概略図)
【 計算結果:暖房負荷 12.2KW/㎡→12.5KWと逆に悪くなりました。】
( 窓は大きくしたのですが、庇が深いため、その影の影響によるものです。)
ステップ②-2:その窓に断熱ブラインドを設置
【 計算結果:暖房負荷 12.2KW→12.1KWと改善。夜間のサッシの断熱性能UP 】
ステップ②-3:その窓に影響する庇を20㎝ほど短くする
【 計算結果:暖房負荷 12.1KW→11.9KWとさらに改善。日射取得量の増加 】
ステップ②-4:1階の庇も短くする
【 計算結果:暖房負荷 11.9KW→11.7KWとさらに改善。日射取得量の増加 】
ステップ②-5:北側の子供室のサッシに断熱ブラインドを付ける
【 計算結果:暖房負荷 11.7KW→11.6KWとさらに改善。 】
庇をちょっと短くしたり窓の位置を下げたりすると、暖房負荷の数値が随分良くなるんだなァ・・という印象は持ちました。
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この間も、サッシをいろいろ調べたり、ガラスの資料を取り寄せたりして、「断熱性能が高く かつ 日射透過率の良い ガラス」 や 「 枠の性能が高いサッシ 」など、ノイローゼになるくらい探して、価格とのバランスを探っていました。
一般的にお勧めできそうなサッシはUW値=1.0くらいが限度で(これでもすごい性能だと思います)。UW値=0.8といのは価格的に負担が大きいので、サッシの答えはなかなか見つけられない状況でした。
さらに、ステップ① ステップ②で「庇の寸法」や「断熱厚さ」、「サッシのサイズと設置高さ」など、10㎝単位で調整を繰り返して、暖房負荷を0.1KW/㎡減らす努力を積み重ねているのです・・。
ボクサーが計量目前で10g体重を減らすには・・と過酷に苦労しているような印象です。
それでも・・右往左往しているのは・・暖房負荷11KW/㎡台・・
とてもクーラーさんの言っている5.0KW/㎡には遠く及びません・・(;_;)
頭が変になりそうです。
多分、クーラーさんが目標数値を勘違いして言ったんだろう・・と思うほど答えが全く見えない状態でした。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】