第19話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その8- ついに出た! 暖房負荷=5.0KWh/㎡
SEさんのところに行って燃費ナビという計算ソフトでの計算結果で「パッシブハウス認定には程遠い」と判断された私は、帰りの車中で諦める気持ちが70%・・何とかならないものかと諦めない気持ちが30%・・という状態だったと思います。
そんな悶々とした頭の中に、最後のあがきでしょうか・・。ふと・・最後の手段が浮かんできました。
その最後の手段とは・・、
設計の平屋ゾーンを切り捨てて、総2階ゾーンだけで申請するというものです。
下図のようなイメージです。
間仕切り壁はともかく、上のような図面のうち右側の平屋部分を切り落とすのです。
本当の設計では平屋の部分も残りますが、玄関ホールから総2階部分に行くドアのラインのところで断熱的に切って、総2階で1つの断熱ゾーン(赤い部分)にするという考え方です。
以前にクーラーさんから「こういう手法もありますよ」・・とアドバイスされていたのですが、玄関ホールからリビングに行くときに、いちいち断熱ドアを開け閉めするのは不便ですので、話をまじめに考えていませんでした。
しかし、ここまできたら最後の手段と思い、ついに大ナタを振り落して総2階の建物と図面を変更してQ-PEXで計算してみようと思ったのでした。
ついでに、最高の計算結果を見たかったので、南面以外の窓を全部無しにしてみました。
つまりは、窓は南だけ・・です。
半分やけくそになっている感もあり・・何のために家を作ろうとしているのか、根本的な家づくりの目的が見えなくなっていく感じを覚えました・・。
Q-PEXの計算結果・・
暖房負荷=5.0Kwh/㎡!
5.0Kwh/㎡・・!
ついに 5.0Kw という数値をたたき出しました!!
私はしばし呆然としました。
ようやく追い求めていた数値である 暖房負荷5.0Kwh/㎡ という数値を出せた思いと・・、
5.0Kwh/㎡ってこんなレベルを指すの?・・という思いと・・
もし、これならパッシブハウス認定クリアしますと言われても、
こんな家・・とても住みたいとは思えない家だなァ・・という思いと・・
暮らしやすい家にするために努力して設計しているのに、
認定を取るためには東西北の窓を全部無くした・・住みたくもないような家になるの・・?
なに・・この認定レベル?・・という、パッシブハウス認定のレベルに対する疑問と・・
とにかく、ようやく出た暖房負荷5.0Kwh/㎡ の数値によって、今までにないくらいのいろいろな思いが頭の中をぐるぐると巡りまわっていました。
しかし、こんなに苦労して出した5.0Kwの数値です。しかも、Q-PEXという計算ソフト上での数値ですので、本場ドイツの熱計算ソフト(PHPP)との計算結果も違ってくるので、とりあえずこの資料をクーラーさんにメールで送ることにしました。
私「ようやく5.0Kwh/㎡を出せましたが、南面以外の窓を全部無くしてたどり着きました。このままの仕様ですと、通風は悪い、夏は死ぬように暑い、北の部屋は暗い・・など、住みたくない家になります。
パッシブハウス認定を取得しながら東西北面に設置できる窓の面積を計算してほしいのですが・・」というお願いもしました。
そこから・・2週間ほどの日数が経ちました。
なかなか返事が来ない状況下で、実は基礎着工も迫っていました。
地鎮祭は3月に終わらせておりました。
パッシブハウス認定のための仕様調整と、そのほかもろもろの施工実験するため鎌田先生とも並行で研究の話を進めており、着工のタイムリミットも設定しながらの図面調整だったのです。
着工するにあたり、基礎の新しい施工方法の計画図も完成していました。
クーラーさんからなかなか返事が来ないが、とりあえず基礎だけは着工してしまおう。
その間に建物の窓仕様などを調整すればいいや・・と、ギリギリの判断を迫られていたときでした。
クーラーさんからようやく国際電話が入りました。
そして、クーラーさんからの熱計算ソフトPHPPによる計算結果と
パッシブハウス認定の可否についての結果が伝えられました・・。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】