第20話:パッシブハウス認定を目指しての奮闘記 -その9- パッシブハウス認定の可否
パッシブハウス認定を目指した資料をドイツに送って2週間以上が経ち、着工まで約10日と迫っていました。
パッシブハウス認定が可能なのか、部分的な修正が必要なのか・・その修正は基礎にも影響するのか・・、明解な回答がないモヤモヤ感を持ったまま、新型の断熱型枠や鉄筋の製作が始まろうとしていたギリギリのタイミングでした。
ようやくクーラーさんから国際電話が入りました。
私:「お久しぶりです。全然連絡が取れなかったんで心配してましたよ・・」
クーラーさん:「すみませんでした。PHPPで計算したり、パッシブハウス協会の方と相談したりして時間が掛かっておりました。」
私:「それで、パッシブハウス認定を取るために、どこか調整が必要なポイントは出ましたでしょうか・・?」
クーラーさん:「順番に説明しますので聞いてくださいね・・」
クーラーさんは、少し考えたように間を取ってゆっくり説明を始めました。
「まず、パッシブハウス認定ですが・・」
「今回はどうやっても取れません。ごめんなさい。」
私:「 ・ ・ ・ 」
クーラーさん「理由としましては、北上市は予想した以上に冬の日射量が少ないです。」
「私も、太平洋側なのでその点は心配ないと思っていたのですが、日本の気象庁のデーターでも、思ったより日射量が取れてないのです。」
「本当にごめんなさい。最初の段階で、北上市の気象データーをしっかりと見るべきでした。」
私:「・・、北上市ってドイツよりも厳しい環境ということでしょうか・・」
クーラーさん:「そうかもしれないですね・・。
ただ、認定を取れる方法もあるのですが・・非現実的です。
PHPPで計算してみると、壁の断熱厚さを700㎜にするとか・・
基礎の高さを1m以上にして床面積を増やすとか・・。
でも、ナンセンスですね。」
私:「そうですね。それはさすがにコスト的にも技術的にもやる意味が薄いですね。」
私:「そうでしたか・・。でも、スッキリしました。
今まで、どんなことをやっても答えに近づかなかったので、おかしいとは思っていましたので・・。
いろいろとシュミレーションしていただきまして本当にありがとうございました。」
電話を切った後・・私は、強烈な脱力感を覚えました・・。
スッキリしたという気持ちも確かにありましたが・・努力が報われないという結果に、自分の「人生の流れ」が変わったのでは・・という不安も感じ始めました。
言葉でなんと表現したらいいのかわからないほど、
とにかく仕事をする気がなくなり、家で悶々としていました。
無駄な努力は無い・・という価値観を持っている私です。
パッシブハウス認定を取ろうとして、かなりの労力と精神的にノイローゼになるくらいの日々を過ごしたことに何か意味があるのという事なのだろうか・・、
それとも、やはり人生の流れが悪い方向に変わっていく兆しなのだろうか・・。
自問自答しても答えを悟ることが出来ず、翌日・・仕事を休んで、ご先祖さまへのお墓参りと、HAさんのお墓参りと、鎌田先生へのお詫び行脚をしました。
鎌田先生にも、性能値を上げるためのアドバイスを何度ももらい、Q-PEXでの性能アップのコツも相談させていただいていたので、パッシブハウス認定を取れないということの報告も兼ねてのごあいさつでした。
家づくりの大きな目標の1つを失いパワーも失いかけた私でしたが、
なんと・・このあいさつ行脚で、もう一度パワーをもらえるような展開が起こるのでした。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】