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木の香の家 展示場 兼 実験住宅 建築物語  第23話:エコテクノルーでのチャレンジ―その①―

第23話:エコテクノルーフでのチャレンジ-その①-

 

 ソーラーは三位一体ソーラーパネル(ソーラー発電+ソーラー集熱・実験的にソーラー給湯をプラス)で決まりました。以後、商品名「エコテクノルーフ」で記述いたします。

それがそのまま屋根仕上げ材なので、屋根も一体となり四位一体でしょうか(^^;)。

 

 

 そして基礎工事もスタートしました。

  6月の梅雨入りと同時に基礎はスタート・・(^^;)。基礎としては最も嫌な時期とされてますが、大丈夫!大丈夫(^^;)!

 

 
 基礎工事スタート直後に、エコテクノルーフについて実験内容や施工方法の打ち合わせが持たれました。

 

 

 その会議の問答の中で、着手中の基礎の仕様変更も出てくることになるのです。

 


 単純にソーラーと思いましたが、その中には「面白い実験内容」と「わずかなリスク」もあり、私からの要望も入れて問答をしました。

 

 

 それらをご紹介いたします。

  

 

実験①:屋根角度3寸勾配で雪が滑り落ちるのか?

 

 今回の実験住宅は3寸勾配(10:3)です。

 


本当はデザイン的にもう少し緩く・・、2.5寸勾配(10:2.5)にしたかったところなのですが、

パッシブハウス認定を目指す過程で3寸勾配となったためです。

 


勾配比較 2.5寸勾配.jpg勾配比較 3寸勾配.jpg


 ソーラーにとっては少しでも急勾配のほうが真冬に雪が落ちるので都合はいいです。

 

 しかし、3寸勾配というのは多くのソーラー発電では雪が滑り落ちません。 4寸勾配でもギリギリ滑り落ちないかもしれません。

 

 

 しかも、北上市は岩手県内の中でも多雪地域であり、ソーラー発電は真冬に活躍しない状況が多いのです。

 

 急勾配の大屋根デザインにすれば雪も滑り落ちますのでソーラーも働きますが、無理やり急勾配にしてデザインバランスの悪い家になっていることもしばしばあります。

 

 

 今回は片流れデザインのため、できれば急勾配は避けたいという思いがありました。

 北側の屋根を上げ過ぎたくなかったのです。

 デザイン的に妥協できる限界が3寸勾配でした(出来ればもっと緩くしたいくらい)

 

 

 

 

ここから会議の内容を少しご紹介します。

 

 会議には、「鎌田先生」 ・ 「私」 ・ 

ソーラーの研究者「 I さん」 ・ ソーラー集熱の研究販売元「K社さん」 で行われました。

何度か会議は開かれました。

 

 

 私 「3寸勾配で雪って滑り落ちますかねぇ...。雪が滑り落ちないと、冬期間のソーラー発電は発電しなくなります。それは覚悟の上なのですが、肝心のソーラー集熱が全く作動しないと本当に無駄になってしまうので心配ですねぇ。」

 


 I さん「3寸勾配は実績がないです。3.5寸勾配では滑り落ちることを確認しています。微妙な勾配ですが・・多分、大丈夫かなと思われます。」

  

  


 ここからが面白い話です(^^)

 

 

 I さん 「たとえ雪が積もっても、天気が晴れて太陽光パネルの表面が温まれば雪は融けます。

    そうしますとその上にある雪は滑り落ちると思われます。

    屋根一体ソーラーパネルのジョイント部分で、雪を滑りやすくする対策はしてありますので。」

 

 私 「え・・?なんで雪が積もった状態で、その下にある太陽光パネルの表面の温度が上がるんですか?」

 

 

 I さん 「太陽から出る赤外線の波長で遠赤外線は雪を貫通してソーラーパネル面まで到達します。

          そうすれば、ソーラーパネル面の温度が上がり雪は融けます。

     あとは、実験したことはないですが3寸勾配で滑るかどうか・・です。

     一部が融けて滑り落ちれば、あとはソーラーパネルの裏面の空気が暖められるのでどんどん雪が解けていくと思います。」

 

ソーラー融雪.jpg

 
 私 「へぇ・・雪が積もっていてもその下には熱線が到達するんですね・・。面白い理屈ですね!。

    3寸勾配で雪が滑り落ちたら、日本初の実績になりますね!

    落ちるかるかどうか楽しみになってきました。

    うまくいかなかったときは、メーカーさんとして3.5寸行勾配が限界ですと言えますね・・・。

    滑り落ちてほしいですが・・(^^;)。」


 

 


 実験②:落ちた雪の量の処理1

 私 「この屋根面で雪が落ちたらすごい量の雪山になりますね...。リビングの窓に押し寄せてきそうです...(--;)。」

 

 ソーラー雪滑り.jpg

  これについては、全員であ~だこ~だと議論を重ねました。

その結果・・

 

 

 玄関ホールの南側もタイルで土間続きにした(下図オレンジ部分)ので、

そのまま延長してリビング前もウッドデッキではなく、タイル土間(黄色い部分)にすることにしました。

ソーラー雪山対策土間テラス化.jpg

 かつ、雪山が積もるだろうという位置と段差を大きくして雪山の多くが南に延びていくことを意図することにしました。

ソーラー雪山.jpg

 

 玄関前のテラス土間がそのままリビング前まで連続性もできるので空間的にもすっきりしますし、

落雪&積雪対策にもなるので一石二鳥で即決でした。

 

 基礎工事進行中・・ぎりぎりで仕様が変更なっていくような綱渡りの状況がつづきます(^^;)。

 

 

 このあとも、エコテクノルーフの会議で、とっても面白い実験が発案されてきて、

基礎の仕様が同時進行的に仕様変更していくのでした。

 

 

ある意味・・恐ろしいくらいギリギリのやり取りでした。

 

 

基礎やさんごめんなさい(^^;)。

 


 
つづく

 


【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】

 

 

Posted at: 2016.6.15(水)

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