第36話:屋根工事 ソーラー
今回から「三位一体ソーラー」の解説をしていきたいと思います。
「ソーラー発電」 ・ 「ソーラー給湯」 ・ 「ソーラー集熱」
を1つの屋根面ですっきり見せる工事です。
完成写真は下のようになります。
また、このソーラー設置状況を図にして真上から見てみますと下図のようになります。
屋根面の各機能を大まかにご説明しますと、
〇 ★マークのパネル列が「ソーラー発電」です。80枚のパネルがあります。
〇 左から3列目・・表面的には同じガラス面なので見た目は同じですが「ソーラー給湯ゾーン」です。
〇 ソーラー集熱ゾーンは細かく見ると3つで構成されます。
1つは、ソーラー発電の裏面を通って少し温めるゾーン(①ゾーンとします)
2つ目は、ソーラー給湯パネルが設置されているゾーン(②ゾーンとします)
そして、メインとなるのはガラス面に直接日射を入れて、積極的に空気を加温するゾーンです
(図の「MAXソーラー集熱ゾーン」)(③ゾーンとします).
ソーラー集熱で温まった空気は、ネオマフォームで断熱されたチャンバーBOXで1か所に集められて、床下までダクトで送りこまれるという方法です。
ちょっと複雑ですが・・なんとなくイメージできましたでしょうか・・(^^;)。
ここから少し詳しく見ていきましょう。
詳しく見ていくと、悩む部分も出てきます。
ソーラー集熱は南側の軒先端から空気が入ります。ここでは「第1通気層」としておきます(図-A)。
( 図-A )
屋根断熱には、壁と同じように屋根内部の結露を防ぐための「通気層」が必要です。ここでは「第2通気層」としておきます。
ここで1つ、メーカーさんと鎌田先生で議論が分かれました。
メーカーさんの見解:
「ソーラー集熱(第1通気層)」を「屋根の通気層(第2通気層)」と兼用してOKです。
鎌田先生の見解:
長い目で見て、通気層を2つに分けておいたほうが万が一の漏水のときにいいのでは・・・。
この2つで意見が分かれました。工事費(手間や部材)を考えると兼用したほうがいいです。30年~50年スパンの「万が一」・・を考えると通気層を別に設けるべきかな・・とも思います。
結論は、「通気層をソーラー集熱と兼用せずに別ルートで設ける」・・に今回はしました。
しかし・・
そうしますと、実は別の問題も見えてきます。
先ほどの(図-A)を、もう少し拡大してみましょう(下図)。
緑の部分が「ソーラー発電パネル」です。
その裏面のオレンジの部分が「ソーラー集熱①ゾーン」です。
そこである程度空気が温まる予定なのですが、屋根下地合板12㎜厚を挟んでその下に冷たい空気が流れる通気層があるのです。
お気づきになりましたでしょうか・・。
下の通気層が、「ソーラー集熱①ゾーン」で温まった熱を奪うのです・・。
どれくらい熱が逃げるかは測定いてみないとなりませんが、集熱だけを考えると「屋根の通気層」は「ソーラー集熱と兼用」したほうが良いということになります。
今回は、建物の断熱性能が良いので、発電パネルの裏面の加温はサブ的要素と考え、それでもいいだろう・・という判断になりました。
しかし、「MAXソーラー集熱ゾーン③」となる積極的に空気を温めるゾーンにおいて、
このままではダメです!
さあ・・どうなりますでしょうか・・。 どんな案が出されたのか・・次回ご説明いたします(^^;)
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】