第45話:20年間の時間(とき)を経て
内部の造作工事が進む中で、カウンター類に使う1枚板が何枚か必要になり岩手県森林組合(以後:県森連)の土場に行きました。
県森連のOさんには5~6か所くらい1枚板材が欲しいとお話してあり、その分の良い板材をなんとか調達しようを考えていました。
土場の広い敷地に大量の丸太があり、うっすら雪が積もっていました。
1枚板も山積みでいろいろあります。
この中から使い道を考えて1枚板を選んでいくのですが・・
県森連のOさんが、「白鳥さん、実はタイミングよく掘り出し物がちょうど出てきまして、木の香の家の展示場に良いのでは・・と思って取っておいたんです。見ていただけませんか」と言って案内してくれました。
そこに出てきた板材はこれです。
なんと・・年輪がミルフィーユばりに細かいすごい板材です。
しかも芯去りの柾取りの板材です。
Oさんが言いました。
「これは樹齢200年以上もある北海道のタモ材なんですが、今後、一生お目にかかることは出来ない・・というか、一生手に入らないくらいの板材です。」
「実はこれ・・20数年も前に板材になって、20数年間も「一番良い保管方法」である「新聞紙に何重も包まれて」大切に保管されていたんです。
私「え!20年間もですか!?。なんで20年も?」
Oさん 「実は20数年前のバブル時代に、この板材を買った人は、これを120万円で購入したんだそうです。」
私「えええ!120万円(@@;)」
Oさん「この板材を関東や関西に持って行って売ろうと思ったのだそうですが・・、バブルがはじけて誰も買う人が居なくなり、宙ぶらりんになったのだそうです。
それでも、数年後にバブルが戻るだろうと信じ、一番いい保管方法で大切に保管していたのだそうです。
しかし、20年経ってもバブルが戻る気配がない・・ということと、ご自身も年齢が高くなってきたので、この板材を持っていてもしょうがない・・という理由で、手放したわけです。
タモ材でこの幅でこの年輪の細かさで1枚板は、二度と手に入らないと思います。
是非、これを購入していただいて展示場に使いませんか?」
私「え・・これっていくらで売ってくれるの?」
Oさん「木の香の家さんの展示場ということで・・この価格でどうでしょうか・・」
そう言って、Oさんは電卓で金額を見せてくれました。
私「えええ!マジで!!。 買った!。」
私は、即決でこの板材を買いました。
そしてOさんと使い方のイメージを話して、厚すぎる板材は2枚にスライスして使うことにしました。
<厚い板をスライスする作業>
これらの板材がどんな加工になって展示場にセットされるのか楽しみです(^^)。
つづく
【木の香の家 展示場 兼 実験住宅 物語は 5日 15日 25日 に何とか更新していきます。】