木の香の家 展示場 兼 実験住宅 建築物語 WEB見学会
- 乾燥ストレス・ゼロの家を目指して -
第52話 湿度コントロール
今回は初回ですので、テーマの1つである「冬の乾燥ストレス・ゼロ」を目指して
「湿度コントロール」状況についてレポートいたします。
実験ハウスはパッシブソーラーを目指して、南面は「窓」「窓」「窓」というデザインになっております。
冬の日射取得状況は、私の予想よりも効果があり、陽射しのある日は暖房を動かさなくても過ごせます。
(真冬のパッシブソーラー効果状況)
一冬目の温湿度測定グラフをご紹介いたします。
【 グラフ解説 】
赤い折れ線が「湿度」です。
12月は「訳あり」で湿度が高めに推移しております。湿度50%~60%
1月・2月は 湿度50%前後をうろうろしてます(1月は計測器の故障で少し低めに記録されました)
暮らしてみて、「乾燥感」ということを意識したことがないくらい気になりません。
1年目は「乾燥ストレス・ゼロ」で暮らせました。
大事なのは来冬の2年目です。
※一般的に1年目は湿度が高めに出ますので、
2年目に湿度45~60%のデーターが取れれば、
まさに「乾燥ストレス・ゼロ」を言えると思います。
そして、多くのハウスメーカーさんは、グラフのレッドゾーン「湿度30%前後」をうろうろします。
乾燥に弱い体質の方・喉の弱いお子様には注意が必要な環境です。
【 湿度が急激に下がる1つの要因 】
おおむね湿度50%前後をうろうろしてますが、細かく見ていくと「A」「B」「C」で一瞬、湿度が急激に下がっているポイントがあります。
この部分をもう少し詳しく見てみましょう。
上記はポイントAの拡大グラフです。
湿度が一瞬30%以下に落ちました。
原因は窓を開けて熱を逃がしたことによるものです。
日射熱だけで室温が28℃超えしてしまったので、オーバーヒート気味になり、窓を開けて温度調整した際、水蒸気も一緒に排出されたものと考えられます。
上記はポイントBの拡大図です。
この部分も理由はAと同じです。
【 気づくこと 】
実験・測定とは面白いもので、この現象から気づくことがいくつかあります。
① 空気の移動による「移流」と呼ばれる水蒸気の移動は予想以上に多いこと。
水蒸気の移動には、じわじわと浸透しながら移動する「透湿」と、空気の移動に乗って運ばれる「移流」があります。「透湿」より「移流」による「水蒸気の移動量」がかなり多いことが分かります。
② そうすると、そこからもっと見えてきます。
中気密の家は乾燥する。
よく「中気密」=「自然の家」をうたって、てきとぉ~に隙間をつくる家づくりがあります。
中気密の家は、隙間風で「冬の温度差換気」が過剰に行われておりますので、乾燥になりやすくなります。
③ もっと見えてきます。
一時期流行った「蓄熱暖房器」で毎日オーバーヒートして、帰宅後に「暑い暑い」と窓を開けている家庭は、間違いなく乾燥します。
④ もっともっと見えてきます。
薪ストーブは乾燥しやすくなります。
ここでクイズです:『 その理由はどうしてでしょう(^^)。』
今までの測定結果から、自分なりの理論を立ててみましょう!頭の体操です(^^;)
※ 木の香の家では、平成27年頃から、「薪ストーブの家でも乾燥感無し」がほぼ出来ております。
【 「湿度のV字回復」】
ポイントA・Bのように、一時的に湿度が乾燥ゾーンに入りましたが、もう一度グラフを見ると、「湿度のV字回復」が起きております。
これは、加湿器を使っているわけでもありません。
正直、予想外の結果にびっくりしました。
塗り壁が効いているのかもしれません。
※「塗り壁を使えば乾燥しない」というトークはウソです。塗り壁を使っても「乾燥する住宅構造」では乾燥するのです。
【 湿度はコントロールできる 】
グラフをもう一度見てみますと、12月の湿度が50%超えしており、1月から急に下がった状況があります。
12月は「訳あり」で湿度が高めに推移しました。と書きました。
つまり、湿度はコントロールできるのです。
今年の冬にOB様宅でいろいろ検証していきたいと思います!
レポートするのは、そのあとになりますm(__)m