<その1:悪い例>
ポイント①:断熱する壁と床の接合点
ポイント②:間仕切り壁と床の接合点
床断熱を採用する際、最も重要なポイントの一つがここです。
ここは【ACT3】でも記述しましたように、ここのポイントは「気流止め」が出来ているかどうかが生命線です。気流止めが出来ていなければ、厚い断熱材を使っても壁の床付近の冷えは止りませんし、燃費も悪くなります。
まずは悪い例を見てみましょう。下の写真は、典型的な悪い例です。当社の現場の隣にあった現場だったんですが、平成17年に撮影しました。(仙台市)

悪いポイントは、断熱層となる外周部の壁に根太(床の骨)がささっている点です(土台に根太が乗っている)。これが、基礎断熱+外貼り断熱であれば問題ありませんが、この現場は下の写真のように基礎断熱ではありませんでしたので、高い確率で断熱材の効きはがた落ちになります。
下の写真のように根太を敷ききった状態ですと、入れる断熱材は根太と根太の間に50mm厚のサニーライトのような発泡系断熱材になると思います。


現場を知らない営業マンであれば「発泡系の断熱材をきちんと入れますから隙間なんて出来ません!!!」と言い、お客様を説得しようとするかもしれません。しかし、現場はそんなに単純ではありません。
施工写真で、もう少しポイントをおさえてみてみると、この現場は、床の断熱材や下地合板を通して施工する前に、間仕切壁用の間柱を設置しています。

そうすると、床の断熱材や床合板は、高い確率で間柱とぶつかった位置(上の「写真A-A」や下の「写真B-B」)で止まります。

そうすると、床の断熱材は下面があいていたりしますので、そこから冷たい空気が、断熱層や間仕切壁の中に進入してきます。これでも、施工中に上からだけ見ると、断熱材がきれいに敷かれているように見えてしまいます。

仮に、間柱とぶつかる部分で、断熱材をきれいに切って施工するとしても、間柱は何十本とあるわけですから、相当丁寧な大工さんでも、下の写真のように冷気が入る隙間が出来てしまいます。ましてや、床下地合板をノコギリで間柱の形に全箇所を整形するのは気が狂いそうな作業になります。特に量産住宅会社さんでこの施工方法をとりますと管理しきれませんので、断熱性能がガタ落ちの現場が量産されると思います。筋交いのまわりなどは、隙間だらけになる可能性が非常に高いです。

以上のような理由から、この現場は高い確率で断熱材の効きが悪くなります。
ちなみに、この現場は、有名大手ハウスメーカーさんの現場です。現場の大工さんにお断りして見せていただきました。