構造や性能が確保されれば、家づくりは、内外装のコーディネートという作業に入ってきます。
私たち「木の香の家」では、お客様になるべく、天然木や自然系の素材をお勧めしております。以前から、天然の木を表した住まいを何度も見る機会があり、やはり天然木が創り出す住空間の豊かさ、そして時間とともに飴色に焼けていく味わいには惹かれるものがありました。なぜ、天然木の住宅が少なくなってしまったのでしょう。
それは、天然木が痩せたり反ったりするためです。現在は天然木でも乾燥材を使っているため、昔ほど痩せたり反ったりはしませんが、それでも完全に防ぐことはできません。
量産住宅をめざす大手ハウスメーカーさんにとって、木が痩せたり反ったりすることは、大きな問題。年間、何千棟というお客様から、「反った、痩せた」と言われたら、その対応に会社がパンクしてしまうという企業論理が働くのは当然です。そのため、営業マンが天然木を繰り返し否定し続けざるを得ませんでした。
天然木をふんだんに使う「木の香の家」でも、1枚1枚の天然板の性格は違いますので、やはり、痩せや反りは完全には除けません。しかし、それが構造強度に影響することは、全くと言っていいほどないのです。ですから「木の香の家」に住まわれるお客様に限らず、自然の木を使われる皆様には、多少ですが、大量生産の家づくりとは違う考え方をもっていただく必要がございます。
子どもの頃、私の家は、昔からあったカヤ葺き屋根で、柱や梁の見える家屋で過ごしていました。その頃、雨戸の板が長年の日射で、洗濯板のようにざらざらになっているのを見て、面白いなぁと感じたことを覚えています。夏になると、カヤ葺き屋根の家屋が何故か涼しくて、よく天井を見上げながら、ぼ~っと昼寝をしたり、いろいろな木の節や木目を見ては、じ~っと何かを考えている自分がいたことも記憶しています。
子どもというのは、あるとき、あるきっかけで、何かに自然の法則を見い出そうと観察力や感性を磨いていくもののような気がします。自然の木がそうさせてくれたのかどうかは断言できません。しかし、そのような効果が少しはあるような気がしますし、また自然の木の中で育つお子さんは、感情や感性が豊かになるような気もします。