夏の暑さの原因のひとつに、天井面からの熱の伝わりが問題視されています。
いったい、屋根裏の温度って、何度くらいになるのでしょう?外壁と同じなのかなぁ・・。
ということで、初夏の現場で屋根の通気層の温度を測定してみました。
測定期間:平成16年7月下旬の5日間
測定場所:岩手県北上市屋根
仕様:野地板+ガルバリウム鋼板縦ハゼ葺き
通気層サイズ:約30mm
測定通気層長さ:約8m
記録測定器設置の様子です。
黒い線の先端が温度センサーです。1つが軒裏に、1つが通気層の中にあります。
<右の写真>
実験は、ちょうど梅雨明けの時期にあたり、顕著な結果が得られました。 下のグラフは、横軸が日時を示します。 縦軸が温度を示し、23℃・33℃・・63℃と示されています。グラフの一番下の線が軒下の温度、中間の線が通気層入り口付近の温度・一番上が通気層出口の温度を示します。
梅雨明けした7月21日の日中の軒下最高温度は、約30℃、そのときの通気層出口での温度は、52℃くらいに達しました。日射の強い7月23日は、軒下の気温で34℃、そして、通気層出口では、なんと65.7℃を記録しています。いかに日射で屋根が熱くなっているかが見えてきました。
<温度の測定記録グラフ:下表にMAXが記録されてます。>
断熱性能を考えるとき、よく冬のことだけを意識して、断熱材の厚みを決めます。外断熱でも、フランチャイズ系の工法のほとんどが、壁も屋根も50mmという厚さです。机上のイメージでは、夏は、壁面も、屋根面も、外気温30~40℃の環境から、家の中を守ろうと考えます。しかし、壁は30数℃でも、屋根は60℃を現実に越えています。軒下の温度が40℃近くになれば、70℃を超えそうな感じです。涼しさとは、断熱材による「防熱」の他に、庇などによる「遮熱」及び「通風計画」など、いろいろな要素で得られるものですが、少なくとも、60℃~70℃に達する屋根面からの「防熱」ということを考えれば、屋根・天井の断熱材の厚みは150mmくらいは最低欲しいものだと思います。(断熱材とは、厚みが一番の生命線です。断熱材の種類と厚みによる性能比較は「①:断熱材の性能の真実」をご覧ください。)