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木の香の家

教えて「断熱さん!」断熱コラム 断熱勉強講師を務める、木の香の家代表白鳥顕微志の書きおろしコラム〜牛一頭いれば家一軒が暖かくなります

【ACT1-1】オイルショック後の木造住宅

「高断熱高気密」という理論を見る前に、はじめに、「何故、断熱材が効かなかったのか」、「何故、家が内部結露で腐ってきたのか」・・ということを捉えることが大切です。これを、捉えておきませんと、高断熱高気密の『本当の姿』も、『必要性』も理解できないからです。

オイルショック以降の一般的な構造「図A」をご覧ください。

この図が、オイルショック後に日本の木造住宅で一般的に広まった構造です。漠然と図にしますと、何が良くなかったのか理解しにくいので、ポイントを何点か整理してみましょう。

ポイント①:通気層が無い
現在では、ほぼ100%の住宅に通気層といって、断熱材と外壁の間に空気が流れる層(正確に言うと、水蒸気を外部へ排出する層)を設けていますが、以前は、通気層がほとんど無く、柱や間柱の外面に防水紙を直接貼り、すぐにモルタル下地と外壁仕上げを施工していました。

ポイント②:断熱層の室内側に防湿層がない
下の写真は、断熱リフォーム時の壁をはがした写真です。当然ですが、防湿層はなく、袋入りグラスウールは押し込まれた状態で施工されています。(正確に言うと、袋の字が書いてある面には防湿性があります。)100mm厚の断熱材なのですが、反発力が少ないため、つぶれたまま薄くなっています。

断熱層の室内側に防湿層がない

ポイント③:床下の空気と間仕切壁や断熱層の壁がつながっている
下の写真では、床の断熱材が根太の間にきちんと施工されていますが、断熱材下面の隙間から、間仕切壁へ床下の空気がつながっていることが分かると思います。

床と断熱材の隙間で床下と間仕切壁の中は繋がっている写真

ポイント④:断熱層の壁の上部と小屋裏がつながっている
壁の断熱材は、つぶれている部分が多いため、そこの空気と、小屋裏の空気はつながっている。

断熱層の壁の上部と小屋裏がつながっていて天井には袋入りグラスウール

ポイント⑤:間仕切壁の上部と小屋裏がつながっている
間仕切り壁の下地である間柱を最初に立ててから、天井下地を組んだり、天井の断熱工事をしていたため、間仕切壁の上部は、ほぼ小屋裏とつながってしまう。

小屋裏の天井断熱材

そして・・断熱材に使われているのは、袋入りのグラスウールがほとんどでした。
現在でもローコスト住宅を中心に使われている断熱材ですが、正直、断熱性を確保するには、施工上、非常に難しい材料です。これを使っているハウスメーカーでは、住宅を建てないことをお勧めします。袋入りのグラスウールと袋無しのグラスウールでは、施工精度が全然違いますので、後ほどご説明いたします。

ちょっと小休止して、次の言葉を読んでみてください。

【もっともらしい名文句】

「日本の木造は、壁や軸組みの間に適度な隙間があり、そこを空気が流れて、木材を乾燥させるため、日本の高温多湿な気候風土の中に適している。壁の中を空気が流れることが、長い歴史の中で培われてきた日本の伝統的な木造なのです。」

一見、正論のように聞こえます。建築のプロと自称している立場の人がこのように言うと、もっともらしく聞こえます。実際、現在でもこのように言っている人もいます。

実は、これがウソなのです。

日本の伝統工法には、壁の中を空気が走る...などと言うものは無かったのです。
図Bのように伝統的な日本の木造は、柱と柱の間に水平方向に貫き材を設置し、小舞竹という竹で格子状に組んだものを設置し、そこに、土壁を粗壁、中塗り、仕上げ(漆喰など)...と施工していたのです。その壁の中は、土で満たされており、風が通る隙間などありませんでした。

伝統的な日本の木造

<本当に伝統的な日本の壁構造>
壁は芯まで全部が調湿材である「土」で満たされ、その両面は大きな空間に開放されています。
ただし、断熱性能という点では、かなり低いですので、板戸など建具の隙間と合わせて考えると
寒い家だったことは容易に想像できます。

戦後、土塗り壁がボード状建材に移行していった過程のどこかで、壁の中の空洞を「空気が走る」...というような説が発生し、あたかも伝統的なものだという誤認識として定着していきました。
この誤認識が、先述のポイント②~⑤のような隙間を公然と施工させていた原因なのです。

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