ポイント① 「ポリシートの役割」と「通気層の役割」
下の「写真A」は断熱材の室内側にポリエチレンシート0.2mm厚(以後ポリシート)を施工した状態です。
このポリシートの役目とは、いったい何なのでしょう?
「気密をとるため」と思われる方が多いと思います。不正解ではありませんが、十分な正解でもありません。
根本の目的は『防湿層』なのです。
内部結露の原因は、【ACT1】で見たように、室内で発生する生活水蒸気が、石膏ボードやその隙間から壁の中に進入して、冷やされるために起こりました。
そのことから、逆に生活水蒸気を壁の中に入れなければ、内部結露の可能性は低くなってくるのです。
それにしても、初めて上記の写真を見ると、柱がビニールで包まれているように錯覚して、腐りやすくなるんじゃないのだろうか・・と視覚的には感じますよね・・。私も理屈を考えないで初めてみたときは、そのように感じましたから。
しかし、この「写真A」を図に描き直してみると「図ア」のようになります。
グラスウールは簡単に水蒸気を通します。構造用合板も見た目以上に水蒸気を通します。つまり、室内に面する1面はポリエチレンシートに密着しているため、確かに、その面からの木の「吸放湿」は期待できませんが、残りの3面からは十分な「吸放湿」が期待できます。

これも、不勉強な住宅営業マンや不勉強な住宅評論家の方から、一般ユーザーを自社の商品に向かせる目的で使われる言葉です。この方々は、「吸放湿の呼吸」と「酸素を取り入れる呼吸」を取り違えているのです。