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木の香の家

教えて「断熱さん!」断熱コラム 断熱勉強講師を務める、木の香の家代表白鳥顕微志の書きおろしコラム〜牛一頭いれば家一軒が暖かくなります

【ACT2-1】防湿層の役目

ポイント① 「ポリシートの役割」と「通気層の役割」
下の「写真A」は断熱材の室内側にポリエチレンシート0.2mm厚(以後ポリシート)を施工した状態です。
このポリシートの役目とは、いったい何なのでしょう?
「気密をとるため」と思われる方が多いと思います。不正解ではありませんが、十分な正解でもありません。
根本の目的は『防湿層』なのです。
内部結露の原因は、【ACT1】で見たように、室内で発生する生活水蒸気が、石膏ボードやその隙間から壁の中に進入して、冷やされるために起こりました。
そのことから、逆に生活水蒸気を壁の中に入れなければ、内部結露の可能性は低くなってくるのです。

ポリシートの施工状況

それにしても、初めて上記の写真を見ると、柱がビニールで包まれているように錯覚して、腐りやすくなるんじゃないのだろうか・・と視覚的には感じますよね・・。私も理屈を考えないで初めてみたときは、そのように感じましたから。
しかし、この「写真A」を図に描き直してみると「図ア」のようになります。

グラスウールは簡単に水蒸気を通します。構造用合板も見た目以上に水蒸気を通します。つまり、室内に面する1面はポリエチレンシートに密着しているため、確かに、その面からの木の「吸放湿」は期待できませんが、残りの3面からは十分な「吸放湿」が期待できます。

吸放湿

またまた、ちょっと小休止です

よく、この木の「吸放湿」活動を「呼吸」という表現を使うことが多いのですが、人間の「酸素を取り入れる」活動の「呼吸」とは違うので、言葉のイメージによって混同してしまうと、ここからも誤認識が生まれてきます。 「1面でも塞がれていれば窒息するでしょ?」 「グラスウールや構造用合板で口を塞がれて、あなたは呼吸できますか?」

これも、不勉強な住宅営業マンや不勉強な住宅評論家の方から、一般ユーザーを自社の商品に向かせる目的で使われる言葉です。この方々は、「吸放湿の呼吸」と「酸素を取り入れる呼吸」を取り違えているのです。