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木の香の家

教えて「断熱さん!」断熱コラム 断熱勉強講師を務める、木の香の家代表白鳥顕微志の書きおろしコラム〜牛一頭いれば家一軒が暖かくなります

【ACT2‐3】夏型結露について

さて、次に夏型結露について見てみましょう。
「夏に結露するの??」と思われる方もいると思いますが、実は、条件がそろえば結露します。
その前に原点に返って何が問題なのかということを考えてみましょう。内部結露、内部結露・・と、問題視しますが、実は、本当の問題は内部結露ではなく、「内部結露による腐朽菌の繁殖、そして構造体の腐朽」が問題なのです。というのは、繊維系断熱材の現場でも、発泡系断熱材の現場でも、一時的な内部結露は簡単に起こりうるからなのです。
よくある一時的な内部結露は、夏に建築中の現場で起きます「図カ」。外壁を施工する前に、繊維系断熱材とポリシートをした状態のとき、強い日差しが外壁面にあたると起こるわけですが、どのようなメカニズムで起こるのでしょう。
原因は木材の沸騰による一時的な多量の水蒸気の発生によるものです。乾燥材といえども、現場での構造材は、20%~25%前後くらいのものが多いのではないでしょうか。外壁を貼る前ですと、強い日差しは直接、構造材の柱や構造用合板にあたります。そうすると、それらの中に残っている水分が一時的に噴き出すように出てきます。図の状態の現場ですと、壁には断熱材が入っているため、室内側が涼しい環境になり、それらの水蒸気は、断熱材とポリシートの間に結露を起こします。

act2_3_1.jpg

この時点で、グラスウールには一部に水滴が付く状態になります。が、これは家を腐らせるほどのものではありません。これは、一時的なものなので、1週間程度で抜けて、グラスウールについた水分も時間とともに抜けていきます。そして、翌年からはほとんど起こらない事、断熱材も乾いた状態に戻る事も経験済みです。初めて目にしたときは、ちょっとびっくりしましたが、その後の経過を経験したことで、自信がつきました。これから取り組もうとする人が、最初にその場面だけを見たら、取り組む意欲もなくなるかもしれませんね。
 
屋根断熱

上の写真は、私の現場で屋根断熱したときのものです。まだ、この工法を始めて間もない頃だったので、通気層の意味を甘く考え、断熱材を強く押し込みすぎて、通気層をつぶしてしまったため、木材から出た水蒸気が抜けず、室内側で大量の結露を発生させてしまいました。その後、通気層を確保するように施工し直しました。そして、翌年の夏に天井裏にもぐり、ポリシートを切って断熱材を調べましたら、工事中に少し濡れていた断熱材は乾燥状態になっており、その年は、夏型結露現象が起こっていませんでした。この現場で学んだのは、通気層は決して飾りではなく、確実に大切な役目を持っている・・ということです。

つまりは、根本の問題である「家を腐らせるほどの内部結露」は、「断熱材の問題」ではなく、内部結露し続けてしまうような「壁の構造」の問題なのです。そして、家を腐らせる結露は、一時的な結露ではなく、数ヶ月間し続けるような結露なのです。一時的な結露であれば、グラスウールでも、ウレタンでも、構造体に問題を起こす前に、水分は抜けてしまいます。