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木の香の家

教えて「断熱さん!」断熱コラム 断熱勉強講師を務める、木の香の家代表白鳥顕微志の書きおろしコラム〜牛一頭いれば家一軒が暖かくなります

【ACT5-3】「外断熱」の注意点 

外断熱とは、「柱の外側に断熱をする」という方法です。
柱や間柱の「外側」に主に硬質発泡系の断熱材(ウレタンやスタイロフォーム)を貼る施工方法なのです。柱の外側に貼るため、先述した木材のヒートブリッジの影響がないと言えるメリットがあります。

外貼り断熱 構造断面図

ただし、これも「どういう断熱材」を「どれくらいの厚み」で施工するかが大切になります。

使う断熱材を「1種」にしたり、厚みを「20~30mm程度」にしたりと予算を削りますと、断熱性能はガタ落ちになりますので、外断熱だから安心とはなりませんので、「外貼り断熱比較」で違いをご覧ください。

【 外貼り断熱比較へジャンプ 】

そして、外断熱での注意点としては、主に次のような点が上げられます。

【注意点1】外壁をタイルなどの重量のあるものにしたときの外壁のずれ下がり
外断熱の場合、断熱材自体に荷重を支える力がないため、「下図」のように断熱材部分が空洞状態を考える必要があります。その部分がビスや釘が浮いているということです。
そうしますと、外壁が重い場合、そのビスや釘が曲がってしまい、外壁がずれ下がってしまいます。
最終的にはサッシに外壁の荷重が掛かり、サッシの開きが悪くなるという現象につながります。

外断熱:外壁が重いとビスや釘が折れてしまい外壁が下がってしまう

この解決方法としましては次のような方法があります。

方法1:ところどころに木の下地(横桟)を入れる。
この方法ですと、その下地の分がしっかりと荷重を支えるので、外壁が重たくても支える力を発揮します。ただし、外壁の荷重計算をして下地のピッチを決めないといけませんし、外断熱なのに熱橋の影響ができる・・という本末転倒な話になりますので、あまりお勧めはできません。

方法2:断熱材の厚みを減らす。
これは、ただ厚みを減らすと断熱性能が落ちますので、より高性能な断熱材を使って、その分、厚みを減らすという方法が良いと思います。たとえば、スタイロフォームB類3種→ネオマフォームにするなどです。

方法3(推奨):パネリードを使用する
施工方法の中で最もおすすめなのが、東日本パワーファスニング社で出しているパネリードを適切な本数を使用することです。パネリードは、折れ曲がりに非常に強いうえ、錆びにくいという特性を持っております。外断熱用に開発されたビスということもあり、外壁がタイルでも通常使用本数くらいで支える力があります。

パネリードⅡ+

すべての方法に共通することなのですが、外壁にタイルなど重量素材を使用する場合、荷重計算して、ビスや釘が折れ曲がらないかどうかを検討する必要があります。
 
【注意点2】垂木の付け根の断熱処理
外断熱をやっている会社さんで、もっとも曖昧なのが、「垂木の付け根の処理」です。カタログにもほとんど掲載されず、手法は千差万別です。

外断熱の屋根断熱

垂木を先に組んでしまいますと、壁の断熱材が上がってきたところで施工が難しくなります。
垂木がたくさんあるので、その形なりに断熱材を切るのが大変な作業なのです。

よく見かける方法としましては、

方法1:本当に垂木なりの形に断熱材をカットする
方法2:その部分だけは現場発砲ウレタンで処理する

などです。
どちらにしても、いずれ木は痩せるので、その際の断熱欠損が心配(冷気自体の侵入経路となる)。しかも、外断熱なのに垂木のヒートブリッジが発生するということになります。

外断熱の屋根断熱

この部分の処理としましては、「二重垂木にして断熱ラインはつなげる」というのが良いと思います。そういう意味で、この部分の処理はソーラーサーキットの施工方法が正しいと言えるでしょう。

左:外断熱の屋根断熱 右:外断熱の屋根断熱