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木の香の家

教えて「断熱さん!」断熱コラム 断熱勉強講師を務める、木の香の家代表白鳥顕微志の書きおろしコラム〜牛一頭いれば家一軒が暖かくなります

【ACT7-4】基礎断熱の悪い事例

下の写真は、近所でやっていた有名フランチャイズの基礎です(平成17年に撮影しました)。「地熱を利用する」というようなコマーシャルをしていたので、どんな工事をするのか興味津々で現場を見続けていましたが、工事が進むにつれて「???」だらけでした。

「写真1」は基礎の断熱材をして、途中まで埋めもどした写真です。基礎は布基礎のため、外周基礎と内部の基礎は当然つながっています。

基礎の断熱材をし途中まで埋めもどした写真

ここまで埋め戻すと、内部側に枝となる基礎に先述したような断熱補強はしませんので、「写真1」の○の部分は、全て断熱欠損になります。その後の経過は、下の「写真2」です。

基礎の断熱材をし途中まで埋めもどしたその後の経過写真

「写真2」を見ると、そのまま配管していますので、いまさら掘り直しません。ユニットバスの下が外気温の影響を一番受けそうなので、お風呂のお湯が冷めやすいのではないかと心配になります。ちなみに最後まで基礎の外側にも断熱施工をしませんでした。

さらにもっと驚いた施工が、玄関まわりでした。
下の2枚の写真は、玄関付近の基礎の施工状況です。

玄関付近の基礎の施工状況

玄関付近の基礎の施工状況

玄関ドアの付く位置が、写真の楕円の部分なのに、基礎の断熱ラインが全く違います。玄関の中は外部と考えているのでしょうか?玄関の中は当然室内ですので、基礎断熱の正しいラインは点線の位置になります。

このハウスメーカーさん、基礎断熱を上の写真のように間違っていますが、施工を知っている側から見ると、別の見方も出来てきます。つまり、「勘違い」なのか「意図的」なのか?という視点です。

1 まず、基礎断熱を基礎の内側にする理由は、普通は、打ち放し仕上げなどのデザイン上の理由が一番ですが、ここは、普通のモルタル仕上げでした。ここから、予想すると、ハウスメーカー側の考え方は...

「断熱材の上に塗る仕上げ用モルタルは高価だから、
安く済ませるために内側に断熱材を貼ろう。」
「基礎断熱用の水切りは高価だから、コストカットしよう」

2 基礎断熱を内側にして、内部側に枝となる基礎に断熱補強をしないのは、(ハウスメーカーレベルではほぼ100%の会社が知っていますので。)
ハウスメーカー側の考え方は...
「作業が面倒だから手を抜こう・消費者は知らないんだからごまかそう」

3 玄関ドアのラインで断熱しなかったのは、【ACT6】の床断熱にも書きましたが、
「玄関内部で基礎の断熱材が出っ張ってくると納まりが面倒くさい」
「消費者はそこまで分からないんだからごまかそう」

この程度だと予想されます。

ちなみにこの基礎断熱に使われている断熱材を見たら、「B類1種」とも「B類3種」とも印字されていない珍しいスタイロフォームでした。私も初めて見たのですが、これではプロでも見分けがつきません。
なぜ、断熱性能を示す印字が無いスタイロフォームをわざわざ使わなければならないのか?普通には流通していませんので、このフランチャイズ本部で、ダウ化工(スタイロフォームのメーカー)につくらせているのか?その意図は・・・。