基礎断熱をする場合、次に問題になってくるのが、シロアリ問題です。東北地方では「ヤマトシロアリ」が生息していますので、木が乾燥していれば食べられないと言われています。
しかし、稀に、乾燥している窓枠材などを食べられたという話も聞きますので、安心は出来ません。
特に関東以西ですと、「イエシロアリ」が多いので、自分で水分を運んで木を湿らせて食べますし、「アメリカ乾材シロアリ」などは、読んで字のごとく、乾燥した木材を食べる厄介な性質を持っているので十分な注意が必要です。
何故、シロアリが問題になるのか・・・と言いますと、シロアリは発泡系断熱材を食べるからなのです。これは、住宅業界の人であればほとんど知っていると思いますが、あらためて実験の様子を載せますと、下のような写真になります。
(実験はグラスウール協会で行ったため、結果は、多少割り引いて見てください)

また、一般的に基礎の外面に断熱材を貼る場合、現場工程の順番から、断熱材の仕上げモルタルは、地面に少し入った位置までで終わらせるケースが圧倒的に多いと思います。(下図)

そうすると、基礎断熱が土に埋もれている部分から、発泡系断熱材を食べて蟻道になる可能性もあります。
新住協の秋田の会員さんからは「2〜3軒、風除室にシロアリが出てきた」という報告が出されています。何故、風除室が出やすいのか原因は分かりませんが、その会員さんは、その後、土を埋め戻す前に、地面に埋もれて見えなくなる部分もモルタル仕上げしているそうです。ちなみに、普通のモルタルを発泡系断熱材の仕上げに使うと割れやすいですので、CFモルタルなど、割れにくいタイプのものを使うと良いと思います。

当社でも、この地面の下にある断熱材は、何となく気持ちが悪いので、地面より下はダイライトというシロアリが食べない面材をブチルテープで貼り、対応していました。ただし、これでも完璧とは思っていません。シロアリ対策は、皆さん頭の悩みどころだと思います。

そして、平成17年途中からは、防蟻性の断熱材を使用することにしました。次の写真は、沖縄で1年半、同じ試験体で実験した結果だそうです。シロアリ実験の様子と結果から見ますと、押し出し系発泡ポリスチレン(スタイロフォーム・カネライトフォーム)は食べられても、こちらの基礎断熱材はシロアリ被害が皆無でした。この結果を受けてからは、この材料に切り替えています。ちょっと高いのが難点です。
防蟻性ビーズ発泡のお問い合わせ先:東北資材工業(株)019-696-2511
また、最近商品化されたものでグラスウールの基礎断熱も出ています。
雨の影響はほとんど無いように開発されています。シロアリ対策にはこれも抜群ですが、施工に手間が掛かりそうでしたねぇ(^^;)