ここから天井断熱の危険性について見ていきたいと思います。主に、「パターンA」の施工方法に関する危険性です。
ポイント①:断熱する壁と天井の接合点
パターンAの施工方法で最も危険性が高く、管理をしっかりしないといけない部分は、ACT3でご説明した「気流止め」です。
下図が正しい施工方法で、断熱する壁の上部(ポイント①)と間仕切り壁の上部(ポイント②)の空気が逃げる隙間を塞がないといけません。

問題なのは、図では簡単なのですが、現実は非常に手間が掛かり、いい加減な施工をされるケースが多いです。特に袋入りのグラスウールを使用しているハウスメーカーさんでは要注意です。
下の写真は、ポイント①の部分で悪い例を小屋裏から撮影した写真です。
(この写真の現場は、高断熱時代以前の建物ですので、大工さんが悪いわけではありません。)
 
一見、壁に断熱材が詰まっているように見えますが、断熱材には多くのシワや隙間が存在しているため、壁から熱が逃げていきます。
そこで【ACT3】でも気流止めについて簡単に説明しましたが、何が難しいのかもう少し解説してみます。
下の写真をご覧ください。ポイント①の気流止めの説明用の写真ですが、天井下地を組んだ時点で、右側の赤丸部分は気流止めが出来ています。逆に左側の青丸は気流止めが出来ていません。しかも、天井下地を組んでしまったこの状態では、ほぼ気流止めは施工出来なくなります。
つまり、天井下地を組む前に、しっかりした処理ができるかどうかが生命線です。
袋入りグラスウールを使うハウスメーカーさんは、ほとんどが天井下地を先に組んでしまって、左側のような状態になります。この状態のところに、いくら袋入りのグラスウールを突っ込んでも、シワや隙間が塞がらず、暖房した熱は逃げていきます。その隙間が小屋裏につながっていると、熱はそのまま外部に漏れていきます。