前述した部分までで、住宅性能は計算されますが・・実は、当社では計算値に影響のない部分での施工の配慮が多くあります。それが、超低燃費住宅に一役買っているとも思っております。
よく充填断熱において、コンセントやスイッチの付く場所が、施工の丁寧さを要求される部分です。それは、グラスウール断熱で指摘されがちですが、実は発泡系断熱材のパネルでも盲点です。グラスウールでは、電気屋さんが配線やボックスを施工するため、断熱材を抜き取ってしまい、パネル系では断熱材を外部側から削り取って、そこの断熱気密処理を忘れる・・というケースがあります。
当社では、断熱気密層をなるべく傷付けないように、誰が作業しても性能を安定して発揮できるように「配線層」というのを設けております。
この配線層は、胴縁という下地材と設置作業のコストUPとはなりますが、性能を確実に安定させます。気密コンセントBOXを使うことはありませんし、配線作業がしやすくなり、なんといっても大量のコンセントやスイッチによる性能低下を無くします。そして断熱厚を壁いっぱいに確保できるという点でも、メリットが多くあります。配線層を設置しないハウスメーカーさんでは、それに掛かる部材費と作業費を抑える目的が優先するわけですが、時代とともに配線層は普通の施工になっていくのだと思っております。
これも、断熱層を守るために給排水用の配管を通す「配管層」というスペースを確保します。こうすることで、断熱層の中を給排水配管などが通らず性能が安定します。
これは、意外とハウスメーカーさんではしない作業ですが、天井部分の「仕上げ面」と「天井断熱層」を分けるため、2重に天井下地を組みます(断熱用の下地と仕上げ用の下地)。そうすることで、ダウンライト・電気配線・換気ダクトなど、多くの設備系の部材が断熱層を壊すことなく設置できます。言い換えれば天井の「配線層」「配管層」です。詳しくは、断熱コラムACT-8(天井断熱)をご覧ください。
この部分は、数年前から施工しているポイントです。断熱性能の計算には全く反映されない部分ですが、ユニットバスや、キッチンのレンジフードの換気が停止しているとき、外部の冷気が風に押されてささってくるのでは・・と気づき、「防風ダンパー」と「配管の断熱巻き」をしております。
性能計算に反映されないという理由で、ほとんどの会社さんでは軽視されるポイントかもしれません。
平成25年から、サッシまわりの設置方法にも一工夫を始めております。トリプルガラスが主流になってきた昨今、サッシの枠の断熱性能が気になり始め、研究と測定を繰り返して、サッシの枠の中に発泡注入をしたり、サッシの設置方法に一工夫をしております。サッシメーカーさんに言われております・・。「サッシの枠の中に発泡注入するなんて考えるのは、日本で木の香の家さんだけですよ」・・(^^;)
住宅性能は、探求が尽きません。20年以上も研究しているのに、次々と新しいテーマが生まれてきます。そういう意味で、当社も毎年のように進化しています。
その探求の中に、「あまりコストアップをさせないで」「多くの方に手の届く高性能」・・というテーマも含まれるため、これからも、日々、試行錯誤し続けていくのだろうと思います。